2024.05.17

買うか?借りるか?福祉用具。そのメリットとデメリット

買うか?借りるか?福祉用具。そのメリットとデメリット

福祉用具としてレンタルされてきた一部のスロープ・歩行器・杖が、2024年4月から購入も選べるようになりました。 そこで改めて、福祉用具の実状や、購入でなくレンタルを選んだ場合のメリット、デメリットについてご紹介します。

1.いわゆる「福祉用具」とは

 介護を必要とする人にとって、日常生活を送る助けになるグッズが、各種の介護用品です。
そのなかで「福祉用具」と呼ばれる、歩行や睡眠、入浴などをサポートする用具類は、介護保険を適用した場合には、安く借りたり買ったりできます。

そして2024年の法改正で、これまでレンタルのみ可能だった3種類の用品のうち一部が、利用者の希望によって購入もできるようになりました。

 
 そもそも、福祉用具で介護保険が適用されるというのは、『その用具がこの利用者に必要』と、適切な第三者が認定するからです(この場合の第三者とは、判断の資格を持つ専門家、つまりかかりつけ医やケアマネジャー、役所の担当者などです)。


要介護者の暮らしを助ける一手段として、個人のケアプランへ組み込める「必要な用具」に、介護保険が適用されるのです。

 そのため、レンタルにせよ購入にせよ、「ルールに従いしっかり作られていることが保証されている製品」でないと、介護保険の適用は認められません。また、第三者から見ても「その方にとって、本当に必要」と認定できる用具ということですから、その種類も厳選されます。

そしてそれらを販売・貸与する会社も、あらかじめ自治体の審査を経て、ルール通りに各種の福祉用具を扱うに適正と認められているところのみとなります。
こうした理由から、保険適用される福祉用具が限られていて、福祉用具を販売・貸与する会社もまた、限定されることとなります。

 では、介護保険が適用となる、厚生労働省が定義する「福祉用具」はどんなものかというと、
「要介護者等の日常生活の便宜を図るための用具及び要介護者等の機能訓練のための用具であって、利用者がその居宅において自立した日常生活を営むことができるよう助けるもの」となります。
 
具体的には以下のものを指します。

●車椅子(付属品含む)
●特殊寝台(付属品含む)
●床ずれ防止用具
●体位変換器
●手すり
●スロープ
●歩行器
●歩行補助つえ
●認知症老人徘徊感知器
●移動用リフト(つり具の部分を除く)
●自動排泄処理装置


                                                
 

                                                                                  

これまで上記の福祉用具は、一部を除き、原則、レンタル利用することになっていましたが、2024年4月から国のルールが改定され、「スロープ」「歩行器」「杖」の3種は、一部の製品で介護保険を適用したレンタルか購入かを、選べるようになりました(詳細については後ほど解説します)。

2.介護保険の利用者数も、福祉用具のレンタル利用数も伸長

 そもそも近年は、老齢人口の増加に伴って介護保険の利用者数が増え、それに付随して、保険適用となる福祉用具の利用者数も増加してきました。

まず老齢人口で見ると、平成22(2010)年、人口に占める65歳以上人口の割合(高齢化率)は23.0%でしたが、令和4(2022)年には29.0%に増加しました(※1)。

 また、介護保険を受給する、つまり保険を利用する人の数は、令和4(2022)年の「介護予防サービス及び介護サービスの年間実受給者数」が、 652万4,400人となりました。

平成29(2017)年と比べると、5年間で約48万人増加しています(※2)。

 

そして福祉用具のレンタル利用数は、厚生労働省の調べによると、令和6(2024)年1月に1,114万6,500件ありました。

借りられている用具の種類は、円グラフのようになっています(※3)。

 

※出典・参照・注

1)「令和4年度 高齢化の状況及び高齢社会対策の実施状況 令和5年度高齢社会対策

(令和5年版高齢社会白書)」令和5年6月20日 内閣府

https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/gian_hokoku/20230620koreigaiyo.pdf/$File/20230620koreigaiyo.pdf

2) 実受給者とは「各年度とも、4月から翌年3月の1年間において一度でも、介護予防サービス又は介護サービスを受給したことのある者」のこと。「同一人が2回以上受給した場合は、1人として計上」している。ただし、「当該期間中に被保険者番号の変更があった場合には、別受給者として計上」することとなっている。

「令和元年度 介護給付費等実態統計の概況(令和元年5月審査分~令和2年4月審査分)」 

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/kyufu/19/index.html

「令和4年度 介護給付費等実態統計の概況(令和4年5月審査分~令和5年4月審査分)」

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/kyufu/22/index.html

ともに厚生労働省

3) 同一種目に分類される用具を複数利用した場合には、それぞれを1件として計上(つまり1人の方が、同じ種類に分類される器具を複数借りた場合、その同種分をまとめて「1件」とカウント)している。

厚生労働省 介護給付費等実態統計月報(令和6年1月審査分) 

https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?tclass=000001208240&cycle=1&year=20240&month=11010301

3.買うのがいいか、借りるのがいいか

 もちろん、杖や歩行器といった介護用品は、デパートやホームセンター、スーパーなど、あらゆるところで販売しています。
介護保険の適用も、必須ではありません。

 では実際、福祉用具に限ってみると、買うと借りる、どちらがよいのでしょうか。両者を比較し、主にレンタルした場合でのメリットとデメリットの例を、述べてみます。

レンタルする場合の、メリットの例

①費用が安い。高額の製品でも、介護保険を適用したレンタルなら月々の自己負担(1~3割)内で使える。
※ただし、長期間レンタルする場合は、合計額としていずれ購入と同等か、高額になる場合がある。これについては、次の②・③の定期的な確認・メンテナンス・故障対応、④の用具変更が可能な点などをふまえれば、「そうした、安心付きの利用料として妥当」と捉えることもできる。


②製品の定期メンテナンスが受けられる。
 レンタルでは、定期的なメンテナンスやモニタリングが貸与会社に義務づけられているため、自分でメンテナンスをせずに済む。
たとえば歩行器のゴムなどは、使用頻度によってはすぐにすり減る。

自分で気づかなくても、福祉用具の専門員やメンテナンスの専門家が定期チェックしてくれるので、常に安全な状態での使用を維持できる。

③故障や修理の対応が早い。
 購入品は修理に時間がかかることがあるが、レンタルはたいていの場合、すぐに同等品と交換してもらえる。つまり「無くて困る」ことが少ない。

④自身の「そのときの状態」に適した用具を常に利用できる。
 レンタルでは定期的に状況確認が行われるので、必要に応じて、自分の身体状況に合うタイプのものへ変更できる。

⑤住環境への負担が少ない。
 不要になったときや、入院中などでも返却できる。
また、
レンタル品は家屋の工事不要なタイプがほとんどなので、返却後、家屋の原状復帰が容易。

⑥自分に本当に合うかどうか、レンタルなら気軽に試せる。
 用具を納得して選べる。

レンタルする場合の、デメリットの例

①レンタル用の製品は、ほとんどが使用済み。クリーニングはしっかり行われているが、ほぼ中古品ゆえに、未使用にこだわる方には不向き
(なお衛生用品は購入が必要)。

②上記メリットの①※で述べたように、長期間レンタルすると、合計金額が購入時より高額になる場合がある。


③用具の盗難の心配や、傷・汚れが付くことなどを気にして、せっかくレンタルしたのに用具を使いにくい、と感じる人もいる。


④介護保険が適用されない種類のものは、介護保険を利用しての安値では借りられない。選べる範囲が限られるともいえる。


⑤介護保険が適用となるものでも、好みの色やデザインのものが見つからないときに「妥協して使う」と感じてしまう可能性がある。

4.介護保険を使ったレンタルか購入かを、選べるスロープ・歩行器・杖

さて、先に述べたように、介護保険が使える福祉用具は、これまでレンタル利用が基本で、その種類や型なども、それぞれ定められています。

 

そして2024年の春からは、屋内外の段差をなくす「スロープ」、要介護者の移動を助ける「歩行器」と「杖」で、一部の製品が、介護保険を使ってのレンタルか購入かを選べるようになりました。

3種類のうち、どんなタイプなら購入が可能か、は、表のように決まっています。


上記以外の「福祉用具」は、引き続きレンタルで利用可能ということです。

 

表にあるものを利用する場合は、使い勝手や使用頻度などを専門家に相談しつつ、どの用具を使うか、利用にあたって借りるか買うか、などを順に検討・判断して、ケアプランへ組み込んでもらう流れとなります。

 

具体的には、次のような検討が行われます。

 

●主治医や理学療法士など、リハビリ職の専門家に意見を聞く。
●サービス担当者会議などでの検討
●レンタル(貸与)と販売、それそれのメリット・デメリットに関する専門家からの説明。
 *購入と貸与の金額の違い
 *長期利用で、購入の方が安くなる場合があること
 *定期的な見直し・貸与から購入へ切り替えもできること   など

 

買うにせよ借りるにせよ、福祉用具を上手に利用して、より快適な生活が過ごせますよう、心からお祈りします。

 

なお、ケア21でも一部地域で福祉用具の貸与や販売、住宅改修事業を行っています。気になる方はお気軽にお問い合わせください。

 

ケア21の「介護なんでも相談室」は、介護に関するお悩みをお持ちの皆様からのご相談を、簡単な登録のみで無料でお受けします。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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執筆・監修者

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竹本さん

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