2023.06.06

認知症者の介護は大変なのに【介護認定の判定結果が低い】のはなぜ?

認知症者の介護は大変なのに【介護認定の判定結果が低い】のはなぜ?

認知症者の介護にかかる大変さは様々です。要介護認定の申請を行っても、大変さと比例せずに軽い介護認定の判定結果となることがあります。この記事では、要介護認定の判定結果が出るまでの過程を踏まえて、認定調査時のポイントなどをご紹介していきます。

認知症の大変さ

認知症者の介護は、携わった方にしか分からない大変さがあります。

しかし、要介護認定の判定に関わる調査では「大変な思い」を伝えるだけでは適正に判断してもらえないことがあります。

判定となる基準はなにか

要介護認定とは「介護を必要とする人が、どの程度の介護が必要かを判定するものです」そして、判定の基準は定量的かつ定性的に判断されます。

定量的な判定※1

認定調査はチェック形式(全国一律の項目)で調査されます。

それぞれ、チェックされた項目によって「どれくらい介護の時間を要しているか」を推計します。(コンピューターが計算結果を出します)

※1 定量的:数値で表すことができる要素

定性的な判定※2

チェック形式の項目に加え、特記事項として調査の項目が設けられています。

特記の内容と推計された介護の基準時間をもとに、定量的に判定された基準時間が妥当か否かを専門職が集って話し合い、最終的に介護認定を判定します。

これらを前提として、認定調査時のポイントは後ほどご紹介いたします。

※2 定性的:ものごとを数値化できない要素

生活での困りごと

認知症者の認定調査の前提として

身近な誰かが認知症になった時、日常が一変することは少なくありません。日常生活のなかで、どんな困りごとがあるのか具体的に少し確認しておきましょう。

項目 内容
お金の管理 隠す、知らない人に渡す、詐欺にあう
徘徊 外出して道に迷う、転倒などの事故を起こす
薬の管理 飲み忘れ、内服拒否、誤薬や紛失
食事の管理 味覚の変化、食事バランスが崩れる、嚥下機能の低下、調理ができなくなる
衛星面の管理 同じ服を着衣し着替えない、清潔や不潔の区別がつかない、入浴しない
危機管理 火の始末ができない、戸締りができない、注意散漫になる
ご近所トラブル 信頼関係の崩壊、傷害事件、賠償問題
健康の管理 暴言暴力、介護抵抗などにより適切な支援がうけれない
記憶の問題 作話、人間関係のトラブル
危機管理 火の始末ができない、戸締りができない、注意散漫になる

認知症者の認定調査

要介護認定を受けるためには所定の申請が必要です。申請を行ったのち、認定調査(調査員による訪問調査)が実施されます。

「明らかな身体機能の低下」「自身で食事が摂取できない」などであれば、明確な情報をもとに調査されるでしょう。

難しいのは「認知症」です。

介護認定の判定には主治医の意見書が必須となり、主治医が「認知症高齢者の日常生活自立度」を記述します。主治医が認知症ありと記載し、虚偽でなければ要支援2以上となります。しかし、要支援2であれば利用できるサービスは限られます。

要介護認定申請後の訪問調査のポイント

見た目に元気な認知症者の場合、本質を伝えることができず適正な判定結果がでないことがあります。認定調査のポイントは「介護の手間」です。

認知症の症状があることで「どれだけ日常生活の中で介護の手間がかかっているか」を適切に調査員に説明することが重要です。

事前に紙に書き出して、調査員に手渡し、口頭で補足説明することがポイントです。

「生活での困りごと」を伝えるだけでなく、困りごとを軸に「どの場面で、どれだけの回数、週や月に何回くらい、何時間くらい介護に時間を要しているか。」を伝えることが大切です。

調査員への説明例

不十分な伝え方例

認知症の影響で夜間は徘徊があり、介護者の心身が休まりません。食事も自分で食べるのが難しく、テーブル回りをいつも汚してしまいます。

適切(具体的)な伝え方例

認知症の症状として徘徊があり、夜間は決まって深夜0時から朝方4時まで毎日外に出歩きます。
足元が不安定でふらつく事や道に迷う事があるので、必ず付き添う必要があります。
転倒の危険があるので、常に腕や腰に手を添えて介助する必要があります。
実際に手を添えないと躓き倒れたこともあります。

昼間は食事を弄び、食物を口へ運ぶことが難しいです。
常に声をかけていますが上手くいきません。
介護者が介助を行い口に運ぶことで、なんとか咀嚼し(噛んで)、嚥下(飲み込む)ことはできますが、毎日、毎食これだけの介助を行っています。

「適切な伝え方」の具体的な内容を短時間の調査時間に伝えるのは至難で、実際には抜け漏れが生じる可能性も高いです。

事前に紙に書き出して、調査員に手渡し、口頭で補足説明することがポイントです。

まとめ

「内臓が元気」「身体機能も問題ない」など、見た目に元気な場合、認知症者の日常生活にかかる「介護の手間」は調査員へ十分に伝わらないことがあります。

認定調査の際は「介護の大変な思い」だけを伝えるのでなく「介護にどれだけの時間を要しているか」をより具体的に調査員に説明することが重要です。

筆者のひとこと

わたしは要介護認定の「調査をする側」と「判定する側」の両者に携わったことがあります。

ご高齢のかたは、不思議と調査の際に元気な姿を見せようとされます。不思議なものです。だからこそ、日頃の状況を詳細かつ明瞭に調査員へ伝える必要が重要となります。

また、特記事項をもとに定性的側面から専門職が協議する際、情報量が少なく判定に悩むことが多くあります。「適切な判定により、介護が必要な方へ、適切な支援を受けていただけますよう」この記事が参考になれば幸いです。

 

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最後までお読みいただきありがとうございました。


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執筆・監修者

管理者

竹本さん

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