2024.09.13

高齢者の介護で言われる「キーパーソン」、その役割と、周囲の関係者のかかわり方

高齢者の介護で言われる「キーパーソン」、その役割と、周囲の関係者のかかわり方

高齢のご家族が介護サービスを利用し始めるとき、また入院・入所の際には、大抵「キーパーソンは誰ですか」と確認されます。「キーパーソン」という言葉は知っていても、具体的にどのような役割を果たすのか、はっきりとは知らない方も多いのではないでしょうか。 今回は、介護におけるキーパーソンの意味、その役割や注意点について紹介します。

介護の「キーパーソン」とは

 「キーパーソン」という単語の一般的な意味は、カギを握る人物、重要人物、などです。(コトバンクより)

この言葉はさまざまな場面で使われますが、とくに高齢者の介護や医療では「本人に代わって重要な役割を果たす人」を指します。

介護の「キーパーソン」は、ご本人(要介護者)と何らかの契約を交わすわけではありません。法的に何かを定められる立場でもありません。

 

とはいえ、キーパーソンが入院や入所時の身元保証人、身元引受人を兼ねる場合には、そのルールに沿った法的責任が生じます。

また、キーパーソンがご本人の配偶者や子供である場合、法律上では扶養義務があるとされます。

これらはあくまでも、契約や関係性によって生じる法律上の責任・義務の範囲となります。

 

【高齢者の介護におけるキーパーソンの役割】

 介護におけるキーパーソンは主に、以下に述べる項目で、役割を担います。

ご本人が自分で意思決定を行える状態であれば本来、ご本人が行うものですが、状況によってキーパーソンが補助や代行といった支援を行うことになります。

*ケアプランの作成や変更等*

介護を受けるご本人の意思を確認し、代わりに介護保険の手続き、サービス事業所との契約を行い、ケアプランについて承認・決定をします。
また、家族の代表としてケアマネジャーと話し合い、介護に関する事柄について決定します(ケアプランの確認・承認、サービス担当者会議への参加、支援者との連絡・情報共有)。


*ほかの家族と介護サービス事業者との連絡窓口*

介護サービス事業者と家族間の情報・意見交換の窓口となります。
また、現在の介護状況やケアプランについて、ほかの家族に説明をすることもあります。


*要介護者に何かが生じた場合の緊急連絡先*

在宅介護で、高齢者夫婦の二人暮らし、どちらかが主介護者である場合などに、緊急連絡先がキーパーソンとなることがあります。
要介護者が救急搬送されても、高齢の主介護者が同乗できないような時に、キーパーソンが連絡を受け病院に向かうことも少なくありません。

 

キーパーソンになる方は、ほかにも、下記で説明する主介護者や身元保証人を兼ねることが多くあります。そのため、キーパーソンの役割を担うことで結果的に、大きな負担がかかる可能性があります。

 

主介護者
 主介護者は、介護(食事、排泄、入浴、着替え、掃除など)を担う中心的役割の人で、在宅介護の場合、配偶者や子供などの家族や親族が担うことが多いようです。

身元保証人(身元引受人)
 入・退院(所)の手続き、入院(所)費用や利用料の支払い保証、トラブル時の対応、医療行為の承諾や立ち合い、退院(所)や死亡時の、本人の身柄の引き受け、荷物の引き取りなどを担います。


介護のキーパーソンの役割は上記のように多岐にわたる場合も多く、それだけに「キーパーソンを誰に任せるか」は、ご本人と家族にとって重要な問題です。

  

【キーパーソンを誰にするか】

 では実際に、キーパーソンは、誰にすればよいでしょうか。
理想は、要介護者ご本人がご自身の意思で「この人に担当してほしい」と希望し、選んでいただくことです。
しかしさまざまな事情から、希望した人がキーパーソンになれない場合もあります。
できれば、事前にご本人を含めた家族みんなで話し合って、キーパーソンとなる人を決めておくことをおすすめします。


キーパーソンを決める際には、次のような点を考慮します。

 

*キーパーソンに求められる姿勢*

①ご本人との信頼関係があって人権・尊厳を尊重できる人
 本人の意思確認が必要な時に「本人ならこう望むと思う」「日頃からこんな風に言っていました」などと補助や代行をすることがあるため、ご本人と信頼関係があることが大切です。

②自分の思い込みだけで動かず、他者の意見を冷静に聞ける人
 キーパーソンには、介護や治療の方針を決める際に家族や親せきの意見を取りまとめる役割があります。
現状や、第三者の客観的意見などにも耳を傾け、ほかの家族と一緒に「ご本人にとって何が一番必要か」という話し合いができるよう、キーパーソンは冷静で公平な視点を持つことが求められます。

③介護に関する知識や情報に対して前向きになれる人

④人と話すことが苦痛でない人(サービス担当者会議の参加や、ケアマネジャーなどとのやり取りがある)

⑤時間的な余裕がある人
 要介護者の身体状態が変わると、ケアマネジャーや介護サービス事業者からの連絡が頻繁になります。
また緊急の連絡や、認定調査の立ち合い、サービス計画の変更などで、断続的に時間を取られることが多い可能性があります。

 

なお、⑤の時間的な余裕については、必ずしも誰もが持てるわけではないので、キーパーソンがすべての場面で立ち合う必要はありませんし、ケアプランを書面でやり取りすることもできます。また、サービス担当者会議などは、オンラインで参加する方法もあります。

 

さらに、キーパーソンを選ぶ際には家族それぞれが協力し、何らかの責任や役割を担い、介護に関わる気持ちで取り組むことが大切です。周囲の方たちは「キーパーソンにまかせきり」にせず、どのような役割を持って何を担ってくれているか、ふだんからしっかりと共有しておきましょう。

 

そしてキーパーソンは、家族の皆が納得できる決め方をしておかないと、後々、トラブルになることもあります。

親の近くに住んでいるから、娘だから、他の家族が忙しいから、ほかの人は遠方に住んでいるから、すでに主介護者だから、などの理由でキーパーソンとなった方で、親族からあれこれ言われつつ頑張るうちに「どうして、私ばかり」「みんな好き勝手なことを言う」と強いストレスを感じて、つらい思いをされている方も少なくありません。

 

関係する人全員が、「自分の意見とともに、何らかの責任を負う」ようにすると、ものごとがスムーズに進みます。
自分の都合ばかり言い立てた挙句、他の人に押し付けるようなことは、のちの関係性のためにも、要介護者ご本人のためにも、避けたいところです。

 

【キーパーソンとのかかわり方】

 キーパーソンの負担を軽減することは、介護サービスが円滑に提供され、要介護者の生活が安定することにつながります。

高齢者の体調は変わりやすいため、介護の状況も一定ではありません。

ほかの家族や身内は、要介護者の身体状況が変わればキーパーソンの仕事も一気に増えることを理解しておきましょう。
そしてそのような時にこそ、家族みんなで落ち着いて協力し合いましょう。

問題が起きたときにやっと「どうなっているの?」と状況を知り始め、「あなたがキーパーソンでしょ」と一方的に言い立てるような状況だと、キーパーソンを追い詰めて事態が悪化する可能性を高めるだけです。

 

キーパーソンは途中で交代することも可能ですので、負担が大きい場合は交代も検討しましょう。その場合、関係機関には、いつから誰に変更するかを事前に伝えれば大丈夫です。

 


 問題解決のためには、批判や非難でなく、みんなで冷静に話し合い、意見調整や提案をすることが必要です。

そのためにも、日頃からをキーパーソンと連絡を取り合い、状況に応じてできる支援をする姿勢、連絡時の「ありがとう」という感謝の気持ちを、示していっていただければと思います。

 

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

ケア21の「介護なんでも相談室」は、介護に関するお悩みをお持ちの皆様からのご相談を、簡単な登録のみで無料でお受けします。

コラムトップへ

 

執筆・監修者

管理者

竹本さん

管理者

竹本さん

【経歴】

相談方法

メール、LINEでのご相談は、24時間受け付けています。
電話でのご相談は、平日の9:00~18:00の時間帯で受け付けています。