2022.11.17

安心感を与える認知症ケア『ユマニチュード』とは?「4つの技術」と「5つのステップ」を具体的に解説

安心感を与える認知症ケア『ユマニチュード』とは?「4つの技術」と「5つのステップ」を具体的に解説

この記事では認知症の方の具体的なかかわりかたとケアの技法「ユマニチュード」を以下の項目に沿って説明して参ります

安心感を与える認知症ケア『ユマニチュード』とは?「4つの技術」と「5つのステップ」を具体的に解説


 

目次:

 

➀ヒントを集め、感情を受け止める

②認知症の人を理解する手がかり5つの要素

③認知症別対応方法(アルツハイマー型認知症)

④認知症別対応方法(レビー小体型認知症)

⑤認知症別対応方法(脳血管型認知症)

⑥認知症の方に対するケアアプローチ

⑦パーソンセンタードケアとは

⑧ユマニチュードとは(4つの技術)

⑨ユマニチュード5つのステップ

⑩認知症ケアでしてはいけないこと

⑪まとめ









気持ちに寄り添ったケアをするために

 

私達が日頃何気ないサポートのつもりで行うことも、認知症の方の 自尊心を傷つけてしまうこともあるので注意が必要です。 こちらは良かれと思いで助けようとしても、相手にとっては「助けてもらう」=「自分ではできないと思われている」と感じ、自尊心が傷つく認知症の方も中にはいます。

「できないことは要求しない。できることは奪わない」というスタンスが認知症ケアの基本です。「自分がこれをしたら、どう思うだろう?」と常に相手の気持ちを想像しながら、向き合いましょう。








➀ヒントを集め、感情を受け止める

 

認知症の方の大きな特徴として、新しい出来事を記憶できないのに対して、昔の思い出などは良く覚えていることがあります。これは慣れ親しんだ生活習慣にも同じことが言えます。

ですので、出来る限りその方の生活のリズムを受け入れ寄り添ったかかわり方をするようにしましょう。

そのためには、その方の嗜好や性格、習慣などを知る必要があります。

認知症の方が突然、怒ったり、泣いたりされるのも、必ず背景に何らかの理由があります。

認知症の方にかかわることが慣れてない方は、最初はびっくりしてしまうこともあるかもしれませんが、その方がなぜその感情を表出させているかを、生活歴や性格、習慣など、情報のかけらを集めて仮説を立てて、解決にむけて舵をきっていくことが認知症ケアでは重要になります。

 

認知症の方とかかわる時は、相手の感情に振り回されず、ありのままを受け止め、冷静に判断するようにしましょう。






②認知症の人を理解する手がかり5つの要素

 

認知症の方を理解するために役立つ5つの要素について説明していきます。

 

 

  • 脳の状態

 


1つ目は「脳の状態の変化」があるということです。
言い換えると認知機能の低下にはなんらかの原因疾患があり、かかわる人達はそのことについても理解が必要になります。
また、ひとえに認知症と言ってもアルツハイマー型、レビー小体型、脳血管性などあり、それぞれ認知機能の低下にも特徴があります。

 

  • 健康状態

 


2つ目はその方の「健康状態」に影響を受けるということです。
最近の医学では高血圧や糖尿病などが、認知症の症状をより悪化させることが明らかになっています。
かかわる方がどのような疾患や病歴があるか把握するようにしましょう。

 

  • 生活歴

 


3つ目はその方の「生活歴」です。
過去の職業や習慣、嗜好などを知っていくようにしましょう。その方が今まで歩んでこられた人生の中で、物事のとらえ方、考え方が違ってきます。
過去と現在のズレが不安や焦燥の原因になります。

 

  • 性格

 


4つ目はその方が元来持っている「性格」です。認知症の種類によっては大きく性格が変わってしまうものもありますが、元来の性格が短気な方はやはり怒りっぽくなりますし、こだわりが強い方は、こだわりを強く持たれています。その方の訴えることを短絡的に認知症という病気のせいにしてしまうのではなく、その方の性格や生活歴に照らし合わせてみて、考えてみることも大切になります。

 

  • 環境

 


5つ目は「環境」です。
認知症の方は環境の変化にとても弱いのが特徴です。やむを得ず引っ越しをしたとしても、家具の配置など、自宅内の景観を住み慣れた住宅環境に近づけていく必要があります。

また対人面にも同じく、かかわっていく人が顔馴染みの方のほうが認知症の方にとっても安心につながります。



認知症別対応の方法について

③アルツハイマー型認知症の方の対応方法

 

アルツハイマー病は情報整理能力や短期記憶能力が機能しなくなります。

まずはその特性をしっかり把握し、身体で覚えているような動作や作業(手続き記憶)にうまく誘導できるようなケアを行っていくことがポイントです。

 

その方の動作をしている途中で声をかけたりしてしまうと、かえって混乱してしまい、上手く行為を実行できなくなります。

 

介助者本位で行動や動作を細かく指示してしまうと、認知症の方は上手く動作が行えなかったり、他に気が散ったりしてしまいます。

そのため、自分の動作をあまり意識して「どうやるんだっけ……」と考えさせてしまうような、不要な声かけや介助をしないようにしましょう。

混乱させてしまった場合は、いったん間をおいてかかわることが必要です。

 

また、本人の仕草や環境などを注意深く観察して、行動の意味づけを行っていくことが重要です。

個人の生活歴や社会歴などを十分に把握したうえで、その人に合ったキッカケ作り(= 動機付け)を探っていき、認知症の方にかかわる人達でしっかり共有して関わっていくことが重要です。

 

④レビー小体型認知症の方の対応方法

 

パーキンソン症状のような、小刻み歩行やすくみ足が出現します。だからといって行き過ぎたリスク管理で活動量が低下すると、すぐに足が弱り歩けなくなってしまいます。

また精神病薬に過敏反応してしまい活動量が低下してしまったり、食後に失神したり、嚥下機能の低下が起こりやすかったりという特徴もあるので、しっかり把握して観察していくようにしましょう。

 

中には安全判断ができず方向転換の途中で座ろうとしたり、手すりなどちゃんと持ってないのに 体重をかけようとしたりすることもあります。

安全に動作できるよう、かかわる方は声かけだけでなく、手を添えて動作の誘導をしていきましょう。できれば、「立つ」「方向を変える」「止まる」「座る」といった動作を区切っておこなったほうが、確実に動作を行えます。 

 

幻視が出るのもこの認知症の特徴ですが、頭ごなしに否定すると症状を悪化させ、安易に同調すると誤認識のまま進んでいきます。

そのため、不安を取り除くように傾聴したり、出来るだけ話題を変えて、本人のこだわりや関心を違うことに向けてみましょう。



⑤脳血管性認知症の方の対応方法

 

よく脳血管性認知症は良くなったり悪くなったりを繰り返すとされていますが、その理由は脳卒中の再発リスクが高いことにあります。

そのため、脳卒中の再発をいかに予防するかがポイントです。もし再発をうまく食い止めて体調管理できれば、適切なケアで改善が期待できるでしょう。 

 

麻痺などの機能面を含め、できることとできないことがハッキリしています。そのため、それを把握せずに一方的なケアを行わないようにすることが重要です。

また、認知症状にムラがあったり、 脳内の情報処理の速度が遅くなることも特徴で、こちらが相手の動作の実行を根気よく待ち、出来ない部分を援助していくようにしましょう。

 

また、脳血管性認知症は感情を爆発させてしまう方が多いことも特徴です。これはかかわる方が本人のペースを無視して、一方的な介助や助言を行った場合によく起こります。出来る限り本人が安心できる接し方や環境を作っていく必要があります。 


 

⑥認知症の方に対するケアアプローチ

 

次に認知症の方に対するケアアプローチ(パーソン・センタード・ケアとユマニチュード)について説明します。

 

パーソン・センタード・ケアの実践では、認知症の方が

  • 何を必要としているのか
  • 何を求めているのか

といった「心理的ニーズ」を理解することが重要になります。

 

またユマニチュードでは、相手の人間としての尊厳を守っていくといった、かかわるかたの心構えが必要になります。

それぞれのケアの技法について掘り下げていきましょう。

 

⑦パーソン・センタード・ケアとは

 

<パーソン・センタード・ケアとは>

1980年代末に英国の心理学者トム・キッドウッド氏によって提唱されました。

パーソン・センタード・ケアが提唱される前の英国では、認知症高齢者は 「何もわからない人」「奇妙な行動をする人」と考えられていました。相手の立場や想いを考えることもなく、時間になればオムツの交換をし、施設のスケジュールで入浴介助を行うといった、流れ作業のような介護が行われていました。

 

当時、トム・キッドウッド氏は自ら施設に出向き、そこにいる認知症の高齢者を膨大な時間をかけて観察しました。そして、人を物のように扱ったり見下したりする風土を、施設全体で変える必要があると考えました。 また、その人の生活歴や習慣、趣味や性格などの背景に着目し支援することで、悪化しているように見える認知症の状態も改善できるかもしれないと考えたのです。

 

この考え方が、"その人、一人ひとりの視点や立場にたって理解しながらケアを行う"パーソン・センタード・ケアの誕生につながりました。トム・キッドウッド氏は、認知症の方の持っている「心理的ニーズ」を理解する上で「一人の人間として無条件に尊重されること」を中心にし、

  • 共にあること
  • くつろぎ
  • 自分らしさ
  • 結びつき
  • たずさわること

という5つのことが重要であると考え、それを「花の絵」で表現しました。







⑧ユマニチュードとは

次に150の技術からなる魔法のような認知症ケア「ユマニチュード」を紹介します。

 

<ユマニチュードとは>

フランス語で「人間らしさ」を意味する「ユマニチュード」には、「人間らしさを取り戻す」という意味も含まれています。

フランスの二人の体育学の専門家イヴ・ジネストとロゼット・マレスコッティが初めて介護の現場に赴き、1979年から現在までの現場での幾多の失敗から誕生したケア技法です。

 

認知機能が低下した高齢者が、ある時は穏やかにケアを受け入れるのに、別の時は激しく拒絶されてしまうその原因を考え続けました。その結果、ケアが上手くいく時といかない時では「見る方法」「話す方法」「触れる方法」が違っていることに気づきました。そして、人は「立つ」ことによって、生理的な効果だけではなく、その人らしさ、つまりその尊厳が保たれることから、この4つの要素

  • 「見る」
  • 「話す」
  • 「触れる」
  • 「立つ」

を「ケアの4つの柱」と名付けました。

 

誰かとコミュニケーションをとる時、私たちは無意識のうちに「言葉」の他に、「言葉以外の部分」でもメッセージを相手に伝えていますよね。「表情」「目線」「うなずき」などがそうです。これを「ノンバーバールコミュニケーション(非言語メッセージ)」と言います。

ユマニチュードでは、 この言語・非言語メッセージを双方向に交えながら、相手と良い関係を築くことをケアの目的としています。

 

それではこの「見る」「話す」「触れる」「立つ」という4つの技術について掘り下げて説明していきます。

 

「見る」技術

「見る」ことで相手を大切に思っていることを伝える非言語メッセージは、

  • 同じ目の高さで
    「平等な存在であること」

  • 正面から
    「正直であること」

  • 近くから
    「親しい関係であること」

  • 長い間
    「ポジティブさや愛情」

近くから「親しい関係であること」、長い間瞳と瞳を合わせるという見方が 「ポジティブさや愛情」を表現します。

 

寝ている人に立ったままで声をかける時、どんな非言語メッセージが届いているでしょう?そんなつもりはなくても見下すことで、「私の方があなたより強い」というメッセージが届いてしまいます。


「話す」技術

 

  • 優しく、穏やかに、ゆっくり
    優しく穏やかにゆっくり前向きな言葉で話しかけます。
    例えば、「じっとしていてください」や「すぐ終わります」など指示するように言ってしまうと、これは無意識のうちに「私はあなたに命令しています」というようなメッセージを送ってしまっていることになってしまいます。

  • 前向きな言葉で
    優しさを届けるには、低めの声で「安定した関係」を、大きすぎない声は「穏やかな状況」を作り、前向きな言葉を選ぶことによって「心地良い状況」を表現することができます。

  • 相手が黙っていても声をかけ続ける
    無言の状況は、「あなたはここに存在していない」という否定的メッセージを送ってしまうことになりかねません。
    やさしいトーンで時折声をかけてみるようにしましょう。



「触れる」技術

 

  • 身体に触れる時は、点ではなく広い面積を意識して
  • つかまないように
  • ゆっくり触れる

上記の3点が触れる技術のポイントになります。

私たちが高齢者と対峙する時、良かれと思ってついつい相手の腕などを掴んでしまうことがあります。

掴むという行為は、相手の自由を奪っているという意味であって、相手の気分を害し、気分を悪くさせるきっかけとなってしまうことがよくあります。そのため、腕を振り払ったりするようなことも十分起こります。

 

ここでも「あなたを大切に思っています」というメッセージを伝える技術を使います。

掴むのではなく、「広い面積で触れる」「ゆっくりと手を動かす」などで、優しさを伝えることができます。

 

また、触れる場所も重要なコミュニケーションの要素になります。まずはできるだけ鈍感な場所の、背中や肩、ふくらはぎなどから触れ始めてください。その後、次第により敏感な場所である、手や顔などに進みます。 

 

「立つ」技術

 

最後に「立つ」技術です。

 

人は、生物において唯一直立する生き物です。立つことで身体生理機能が十分に働くようになっています。

そして「立つ」ことは「人間らしさ」つまり、知性や人間であることの尊厳を自覚できる手段でもあります。一日20分間立つ機会を作ることで筋力が保たれ、寝たきりになることを防げるとジネスト氏は提唱しています。

 

トイレや食堂、洗面、シャワーの時など、できるだけ立って歩くことを心掛けてください。そうすることで、歩く機会を増やすことができます。





⑨ユマニチュードの「5つのステップ」

次にユマニチュード一連の手順を「5つのステップ」で実施します。

ユマニチュードはケアの実施に用いられる技法ですが、例えば認知症を患ったご両親やお知り合いなどと関わる際にも十分応用が利きますので、是非ご活用下さい。

 

Step1.出会いの準備

自分の来訪を告げ、相手の領域に入って良いと許可を得ます。ドアは3回ノックして3秒待つ、また3回ノックして3秒待つ、それでも反応が無ければ1回ノックしてドアを開けて室内に入ります。

ノックと声掛けと部屋に入るのを一緒に行ってはいけません。 



Step2.ケアの準備

ケアの準備で相手との関係性を築きます。

これから行うケアの話をすぐにしないで、「あなたに会いに来た」というメッセージをまず伝えましょう。

正面からゆっくりと近づき、視線を合わせ、瞳を捉えてから3秒以内に話始めましょう。ポジティブな言葉だけを使って話し、「見る・話す・触れる」の技術を用います。

もしも、3秒以内にケアへの同意が得られない時は一旦諦めましょう。 

 

Step3.知覚の連結

知覚の連結とは心地よいケアの実施のことです。

ケア中は、「見る・話す・触れる」のうち、少なくとも2つ以上を同時に使って、あなたを大切に思っていますというメッセージを送りつづけます。

気を付けたいのは、「優しく見つめて話しながら、手を掴んでしまっている」というような矛盾のメッセージを送らないようにすることです。 



Step4.感情の固定

相手に良い感情が残るようにアプローチします。

「ケアがとても心地よかった」ことや「あなたと一緒に過ごせて嬉しかった」というようなメッセージを発信し、ケアを素敵な経験として感情記憶に残します。

実は、「感情に伴う記憶は、認知機能が低下した人にも最後まで残る」 ことが証明されています。 

 

Step5.最後に再開の約束

最後に再開の約束をして退室します。

認知症の方は、また会いましょうと言っても覚えていないかもしれませんが、「自分に優しくしてくれた人がまた会いに来てくれる」という喜びや期待の感情は記憶にとどまり、次のケアの時に笑顔で迎えてくれるでしょう。

 

次に認知症の方と関わる時にしてはいけないことについて学んでいきましょう。



 

⑩認知症ケアでしてはいけないこと

 

認知症ケアで、してはいけないことを8つにまとめました。

 

 

  • 間違いを訂正する、否定する

 


我々でもやみくもに否定されると嫌な気持ちになるものです。

特に認知症の方は短期記憶の保持が阻害されており、欠落している状態にあります。
認知症の方が「ご飯を食べていない」「お風呂に入っていない」と訴えられるのであれば、その方にとってはそのような認識であるので、事実「ご飯はすでに食べた」「お風呂にも既に入った」という状況でも、頭ごなしに否定するのではなく、まずは相手に寄り添い、執着から離れて別のことに興味を持ってもらえるように話題を少しずつ転換していっていくようにしましょう。

 

 

  • 会話をおろそかにする。

 


認知症の人は、相手の態度や言動に非常に敏感です。認知症の方とお話をする時、うわのそらの様な態度で軽い相槌をするなど話を流すように聞いていると必ず相手に伝わってしまいます。お話をする時は、目線の高さをあわせ心も相手に寄り添い、相手が語りかける話に傾聴するようにしましょう。

 

  • 子供扱いする。

 


認知症の方も、病気や障がいによって脳の機能が阻害され、健常者の方と比較すると出来ないこともあるかも知れませんが、一人の人間であり、若人からすると人生の先輩にあたります。

認知症の方にも当然、感情もプライドもあります。我々は、相手の尊厳を大切にするようなかかわり方をするべきです。

 

  • 後ろから急に声をかける。

 


認知症の方に対し、急に後ろから声をかけると、驚かせてしまい、それが相手に不安や怒りの感情を生ませることになります。
また、高齢で足が弱っているような方の場合だと、驚いてバランスをくずして転倒につながるリスクもあります。

声をかける時は、驚かせないように余裕をもって正面にまわり、本人の視界に入ったうえで優しく声をかけるようにしましょう。

 

  • 出来ることまで介助してしまう。

 


認知症高齢者とかかわる時、親切心でついつい、あれもこれも手伝ってしまいそうになりますが、例え高齢者でも、認知症を患っていたとしても、その人に残された能力(残存機能)があります。
我々が相手にとって出来ることまでお世話をするのは相手にとっての生活への参加の場を奪うことになります。

せっかく出来ていることでも、長年しなければ出来なくなってしまうのが人間です。相手が何が出来て、何が出来ないかを見極めたうえで、出来ない部分を手助けしていくようにしましょう。

 

  • 何も言わずに介助する。

 


まずは声をかけて、相手の了承をえてから介助することは、認知症に限定したことではなく、すべての介助に共通して言えることです。声もかけずに相手の身体に触れたり、何かを実行に移すことは、相手に対して不安と恐怖心を与えてしまうことになります。

介助をする時は、必ず目線をあわせ、これから何をするか優しく説明し、了承を得たうえで、実行にうつすようにしましょう。

 

  • 叱る、せかす、強制する。

 


認知症は短期記憶が保持出来なくなっても、プライドや自尊心、感情が残り続けるということはこれまで説明してきた通りです。

また段取りを組んで、それを実行に移すまでに時間が健常の方よりずっと時間がかかってしまいます。こちらがせかしたり、何かを強制させたりしようとすると、混乱を生み、相手に恐怖と不安を感じさせることになります。

せかしたり、叱ったり等攻撃的な態度は控え、暖かく見守っていく姿勢が大切になります。

 

  • 身体の自由を制限する。(身体拘束)

 


身体拘束とは、認知症の高齢者の身体の自由を奪ってしまうことです。

認知症があるからと言って、徘徊、転倒のリスクを防ぐために、ベッドで動けないように縛ったり、車椅子から立ち上がれないようにしたり、部屋に閉じ込めたるようなことをしては絶対にいけません。
高齢者はこのように不当な拘束を受けないために高齢者虐待防止法によって身体の自由が守られています。


また直接的な身体拘束をしてはいけないのはもちろん、「ちょっと待ってください」「椅子から勝手に立ち上がらないでください」という言葉で相手の行動や身体の自由を不当に制限する行為もスピーチロックといって拘束行為の一種になりますので注意が必要になります。



 

⑪まとめ 

 

➀認知症の高齢者に寄り添ったケアをするには、相手が言われたことに対してどう思うかという想像力を働かせてアプローチする。

 

②認知症の方からの強い抵抗があった時は、まずは感情を受け止め、なぜ拒否があるのか、その方の嗜好や生活歴から予測、分析していく。

 

③認知症の方を正しく理解するには、病歴、性格、生活歴など、その人を構成する多角的な要素を加味して判断する。

 

④認知症別によって症状の特徴も違い、対応するポイントも違う。

それぞれの認知症の特徴を学び、適切な対応が求められる。

 

⑤パーソン・センタード・ケアでは、認知症の方の持っている「心理的ニーズ」を理解する上で「一人の人間として無条件に尊重されること」を中心に、共にあること・くつろぎ・自分らしさ・結びつき・たずさわることの5つの要素が重要であると定義されている。

 

⑥ユマニチュードはフランスで生まれた認知症の方に接する技法で2012年にも日本で初めてケアに導入された。見る、話す、触れる、立つをケアの4つの柱とし、相手に寄り添い、尊厳を大切にすることの重要性がうたわれている。



⑦認知症の方の言動に対してやみくもに否定してはいけない。また安易に行動を宣言するようなことがあってはならない。高齢者の身体の自由は、高齢者虐待防止法によって守られている。







あとがき

 

これまで、認知症の方へのかかわり方、アプローチ方法について説明してまいりましたが、勿論正しいケアの手法を知り実践することも大切なのですが、対応する人の心が寄り添えてなければ、不思議と相手にも伝わってしまい、相手との信頼関係を構築することが難しくなります。

逆に介護技術が未熟でも、好意的に相手に寄り添い、感情を肯定的に理解しようと歩み寄ることが出来れば、きっと相手にも思いが伝わり、信頼関係を結ぶことが出来るのではないでしょうか。

これは何も認知症の方に限定した話ではないですね。

 

最後までお読み頂きありがとうございました。

この記事が皆様の日常にお役に立てば幸いです。

 

執筆者 吉本達志

執筆・監修者

管理者

竹本さん

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