2022.11.15

在宅における終末期の考え方   最期まで自分らしく生きるためのターミナルケアとは

在宅における終末期の考え方  
最期まで自分らしく生きるためのターミナルケアとは

最期まで自分らしく生きていくための、在宅の看取りの流れについてや、終末期を在宅、病院、施設で過ごすことのメリットデメリットについても解説します。

在宅における終末期の考え方  

最期まで自分らしく生きるためのターミナルケアとは

 

 

 

 

目次

Ⅰ.在宅における終末期の考え方 最期まで自分らしく生きるためのターミナルケアとは

Ⅱ.在宅での看取り介護の流れ

Ⅲ.ターミナルケアの役割分担について

Ⅳ.在宅ケアを行う上でのチェックした方が良い点

Ⅴ.終末期を在宅や病院で過ごすことのメリット、デメリット

Ⅵ.ホスピスという選択肢について

Ⅶ.まとめ

 

 

 

 

 

Ⅰ.在宅における終末期の考え方 最期まで自分らしく生きるためのターミナルケアとは

 

  • 終末期とは

多職種、家族等のチーム医療・ケアとの連携による医師の診断に基づいて、心身機能の障害や衰弱が 顕著で回復不能な状態にあり、近い将来確実に死に至ることが差し迫っている状態のことです。

しかし、終末期は個々の病態において様々であるため、かかりつけの医師が患者の状態や経過を観察し、専門的な医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した者を終末期と認定します。

 

 ※ターミナルケアに対する配慮

・最期を住み慣れた自宅で迎えたいと願う本人に対して行われます。

・全人的な観点から患者の身体的、精神的苦痛の緩和や日常生活の援助、家族へのケアが行われ、本人、家族の生活の質の維持・向上が目標とされます。

・本人の尊厳、家族への精神的支援に十分配慮しながら行われます。

・本人、家族と保健・医療・介護・福祉の各関係専門職種が充分なコミュニケーションをとりながら協力して行われます。

 

  • 緩和ケアとは

緩和ケアとは、WHO の定義上「生命を脅かす疾患による問題に直面している人とご家族」に対して行われるものとされています。また生命を脅かす疾患において治療不可能となった段階でスタートするものではなく、治療をはじめると同時に、一緒に進めていくケアのことを指します。

また、「痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、※スピリチュアルな問題を迅速に発見し、適切 なアセスメントと治療や処置を行い、苦しみを予防し、緩和することで、クオリティ・オブ・ライフを 改善するアプローチ」とも定義づけられており、人が自分らしく最期のときまでを過ごすことができるようサポートすることが緩和ケアの大きな役割となっています。

 

※スピリチュアルとは

英語のスピリチュアル(英: spiritual)は、ラテン語の spiritus に由来するキリスト教用語で、霊的であること、霊魂に 関するさま。英語では、宗教的・精神的な物事、教会に関する事柄、または、神の、聖霊の、霊の、魂の、精神の、超自然 的な、神聖な、教会の、などを意味する。

 

・緩和ケア・ターミナルケアの意義

 

緩和ケア・ターミナルケアは、身体的な苦しみを軽減するケアだけでなく、患者本人や見送る家族の心のケアもトータル的に考えなければいけない、非常に難しく、そして意義のあるケアです。緩和ケアの概念の一部分がターミナルケア ターミナルケア、つまり終末期医療・看護・介護は、緩和ケアの大切な一部分です。

 

・緩和ケアとターミナルケア、看取りケアの違い

緩和ケア ・・・生命を脅かすような病気の治療と同時進行形で進めるものです。

 

ターミナルケア・・・死までの時間がはっきりした段階で、死が訪れる時までの日々を医師や看護師、介護士、家族がケアを行い、本人が少しでも穏やかに過ごすことができるよう、促していくもの。終末期の看護や医療ケアをおこないます。

 

看取りケア・・・近い将来、死を避けられないとされた人に対するケアのことで、身体的苦痛や精神的苦痛を緩和・軽減することを目的として、人生の最期まで尊厳ある生活を支援することです。終末期の看護や医療ケア(点滴や医療器具の装着など)を行うターミナルケアに対して、看取りケアは日常生活上のケア(オムツ交換や清拭など)を中心に行います。

 

Ⅱ.在宅での看取り介護の流れ

 

  • 看取りの開始時期や看取りの開始
    在宅での生活を強く望んでいる本人につき、医師あるいは訪問看護師により本人や家族にその判断内容を懇切丁寧に説明し、その人らしい看取りができるように計画を作成します。
    そして本人や家族から終末期を在宅で医療や介護を受けて過ごすことに同意を得て、開始・実施される。

 

  • 医師による説明
    在宅で看取りを行うためには、突発的な病状の変化について延命治療を行っても本人の苦痛を増長させるだけでになります。死が間近に迫っていることを家族も理解していく必要があります。そのため、医師が病状を把握し、訪問看護師など立合いのもと説明して頂きましょう。この際に在宅で可能または困難な処置、対応時間についても医師に説明してもらいましょう。

 

  • 介護負担軽減のための措置(看取りのための療養環境の整備)
    主治医から看取りに関する説明を聞いた後、在宅での看取りを希望する場合で、人的・物的な支援 が必要な場合には早めに介護保険を申請し、ケアマネジャーを決め、看取りのための療養環境を整備していきましょう。場合によっては管轄の地域包括支援センターに相談しましょう。

 

  • ターミナルケア・看取りの実施  
    家族が在宅で看取りを行うことを希望した場合は、 訪問看護師は医師による指示書に基づき看護計画を作成します。 また、介護保険サービスの利用者にはケアマネージャーが、 医師、訪問看護師、訪問介護員や状況によっては療法士、 薬剤師、栄養士等と協働してサービス計画を立てます。 看取りの実施にあたっては、住み慣れた“家”、慣れ 親しんだ“部屋”が本人にとって最高の療養環境といえます。 在宅における最大の介護者は家族であり、本人の精神的な安定、不安軽減にもつながります。


Ⅲ.ターミナルケアの役割分担について

 

※各職種間の連携について

 

1.訪問看護師…医療的なケア、病院の先生やケアマネージャーとの連携、本人や家族からの健康相談へのフォローなど。身体的な観察や医学的な判断も行う。

 

2.ケアマネージャー…各介護保険サービスの事業所と連携をし、情報の共有を図る。ケアプランを作成し、穏やかに終末を迎えることが出来るように支援する。介護や福祉分野の相談にのって本人や家族をフォローする

  

3.ホームヘルパー…食事、排泄、清潔の保持などの介助全般。水分摂取量の把握、浮腫み、尿量排便量と形状のチェックなど、いつもと違うことがあれば、看護師やケアマネージャーと連携を図る。

         

このように各事業所間で連携連絡を相互で行い、ケアの質を引き上げていきます。同居家族は、気にかかることや、要望などあれば、心置きなく、担当者会議の場や個別の職種に伝えていくようにしましょう。

 

 

Ⅳ.在宅ケアを行う上でのチェックした方が良い点

 

1.栄養補給と水分補給

利用者の食事や水分摂取量、浮腫、尿量、排便量などの確認をおこないます。極端に、水分摂取量や食事量、尿量が少なければ、すぐに看護師さんや医師に相談しましょう。また、色や形状がいつもと違うというのも要注意です。

日頃と比較して違和感を感じることがあれば、すぐ看護師や医師に相談するようにしましょう。

また日数が経つに従って、食事量が減ったり、嚥下能力が低下したりするので、無理のない食事形態や量の食事を出せるよう、細心の注意が必要です。

 

2.清潔保持

本人の身体状況に応じ、可能な限り入浴や清拭を行っていきます。清潔保持が感染症予防に繋がります。特に夏場はこまめに清潔を保持していくようにしましょう。 入浴が本人の楽しみである場合、短時間でも入浴出来るようにすることが望ましいです。

 

3.苦痛の緩和

 

【身体面】

 本人の身体状況に応じて、楽な体位の工夫と援助をしていきます。 終末期が進むにつれて栄養状態は悪くなるため、寝たきりでいると褥瘡が起きやすくなります。痛みを緩和する処置も、日常的なケアに加えて適切に行いましょう。 また呼吸状態が悪化して体に酸素が取り込めなくなると、チアノーゼを引き起こして末端から冷えていきます。血液循環を良くするため、足先を温める意識を持つようにしましょう。

 

【精神面】

身体機能が衰弱することによって、本人にとって精神的な苦痛を伴う場合があります。 終末期の経過によって死が目前に迫ると、本人の心神も不安定になるのです。 手を握る・身体をさする・寄り添うなどのスキンシップや、励まし・声かけによるコミュニケーションを取ります。本人の不安を取り除けるよう努めましょう。

 

4.他職種協働

ケアプランは終末期医療の段階に応じて、その都度更新していきます。 介護職員やケアマネージャーだけでなく、医師・看護職員・栄養士などの多職種それぞれが連携し、一丸となってケアに臨むことが重要です。相互の情報共有はもちろん、毎日の状況を観察し、細やかな報告をお互いにおこなっていきます。

またケアの修正点などあれば、その都度、関係者で集まって話し合い、修正を図っていきます。

 

5.延命措置をするかどうか

ターミナルケアをしていくうえで、医療方針や延命措置をどうするかを事前に決めておくことも重要になります。食事が難しくなったときの点滴や胃ろう、急変時の時にAEDは使うのか、また在宅の場合は緊急時にどこの病院に、どういったタイミングで搬送するかどうかなど、本人が意思決定をできるうちに考えておくことが重要になります。

本人が決定出来ない場合は、家族が代理で決定することになるので、事前にどうするかについて本人の意思を聞いておくことが必要になります。また、万が一の時に備えて、家族間で代表者をきめておきましょう。

 

   

Ⅴ.終末期を在宅や病院で過ごすことのメリット、デメリット

 

1.  病院

メリット

①医療機器が揃っている。希望すれば延命治療も受けることが出来る。

②容態の急変時でも、医療専門職が常駐しているため、治療を受けることが出来る。

③常時病院でケアを受けることが出来るため、家族への肉体的な負担が少ない。

 

デメリット

➀治療によっては、請求額が非常に高額になる。

②面会時間が設けられており、家族と会えない時間が多く、本人が孤独を感じやすい。

③緊急の際、家族が急に対応できず、本人家族共に不安を感じる。

 

2.  在宅

メリット

➀住み慣れた自宅でケアを受けるので、本人にとって精神的な負担を軽減することが出来る。

②自宅で最期を迎えたいという本人の意思を尊重出来る。

③病院と比べると看取りのタイミングに立会いやすい。

 

デメリット

➀介護する家族の負担が増加する。介護疲れや、介護鬱を引き起こす可能性がある。

②本人の容態の変化への対応に限界がある。また対応するのも時間がかかる。

 

3.  介護施設(特別養護老人ホーム、老人保健施設、有料老人ホームなど)

メリット

➀24時間体制で、本人の身の回りの介護をしてもらうことが出来るため本人や家族にとっても安心できる。

②職員が高齢者の介護に特化しており、褥瘡

 

デメリット

➀面会時間などが設定されており、本人様が家族と会える時間に制限がかかる。 

②施設によって金額差が

 

このように、看取りはどこで行うにしても一長一短あります。

ですのでどこで最期を迎えるかについても、元気な時に話し合っておくと良いでしょう。

 

Ⅵ.ホスピスという選択肢について

 

ホスピスとは

ホスピスとは、末期がんや重い病気などの死期が迫った患者がホスピス施設もしくは緩和ケア病棟で穏やかな日常を送れるよう支援することを目的としています。特徴として身体的なケアだけでなく、精神的、社会的な側面からもケアを行います。

また、入居される患者だけでなく、その家族のケアも行います。ホスピスが行われるケア全般を指してホスピスケアと呼ばれています。

 

ホスピスで実施されるサービス内容 

次にホスピスではどのようなケアが行われているのかについて解説します。

まず入居時に本人や家族から、ケアについての意向を聞きとり、ケアの方向性について決定します。

医師、看護師だけでなく、栄養士やカウンセラー、薬剤師、ソーシャルワーカーなど多職種が連携してケアを実施します。がんに伴う緩和治療だけでなく、死に対する不安や心残りが大きくなりすぎないよう、カウンセラーによるメンタルケアや家族と残された時間を穏やかに過ごせるようサポートしていきます。また、費用面においても、相談員が利用出来る制度などがないか、負担が少しでも軽減出来るように支援を行います。

 

  

Ⅶ.まとめ

 

➀終末期とは、医師の診断に基づいて、心身機能の障害や衰弱が、顕著で回復不能な状態にあり近い将来死に至ることが差し迫った状態のことをいう。

 

②緩和ケアとは、WHOで「緩和ケアとは、生命を脅かす病に関連する問題に直面している患者とその家族のQOLを、痛みやその他の身体的・心理社会的・スピリチュアルな問題を早期に見出し的確に評価を行い対応することで、苦痛を予防し和らげることを通して向上させるアプローチである。」と定義されている。

 

③終末期のケアにはターミナルケア、看取りケアの大きく三種類ある。ターミナルケアは必要に応じて、医療器具の活用、医療処置を行うのに対して看取りケアは、オムツ交換や清拭など日常生活上の支援を中心に行う。

 

④在宅での看取りケアでは   

1.  家族間で今後の方向性を予め決めておく

 

2.  医師、看護師などの医療専門職も含めて治療方針や延命治療の有無について話し合い決定する。

 

3.  介護保険の申請を行う。お住まいの地域を圏域とする地域包括支援センターに介護申請の依頼をすることも可能。

 

4.  訪問介護、訪問看護、福祉用具貸与など、各介護保険サービス事業所とケアマネージャーとで、サービスの割り振りや予定、決まり事などを事前に打ち合わせを行いサービス開始となる。

 

⑤各専門職の役割分担について。

看護師…医療的なケア全般、医療や健康相談にのってもらえる。

介護士…オムツ交換や移動、清拭、入浴などの介助を行う。医療判断、医療処置は出来ない。

ケアマネージャー…医師、看護師、各サービス事業者との調整役。介護に対する相談にのってもらえる。介護の申請や更新などの介護保険の手続きも行う。

  

⑥在宅ケアを行う上でのポイントは、栄養状態、水分量、食事量、排泄物の量や形状について日頃の状態を知っておくことが大切。違和感があるときは、医師や看護師に早急に相談すること。

 

⑦延命措置については、本人が希望するかを事前に話し合っておくことが重要になる。でないと、家族が代理で決定しないといけなくなるため。

 

⑧終末期を病院で迎えるか、在宅で迎えるかはそれぞれ一長一短ある。病院のメリットは、医療機器が揃っており、容態の急変時でも治療を受けることが出来ること。また、家族の介護疲れが軽減する。しかし、医療費が治療によっては高くなることと、緊急時に家族が対応できない可能性があるなど、日頃から本人と家族がお互いに会えない不安もある。在宅のメリットは、住み慣れた自宅でケアを受けるので、本人にとって精神的な負担を軽減することが出来ることや、本人の意思を尊重でき、看取りのタイミングに立ち会うことが出来ることが挙げられる。しかし、同居する家族の負担が増大になり、介護疲れを起こす懸念があるという点や、本人の容態が急変した時に、臨機応変に対応することが難しいというデメリットもある。

 

⑨また、病院と在宅の他に、第三の選択肢として、ホスピスに入院することも考えられる。ホスピスは医師、看護師だけでなく、栄養士やカウンセラー、薬剤師、ソーシャルワーカーなど多職種が連携してケアを実施する。また、がんに伴う緩和治療だけでなく、死に対する不安や心残りが大きくなりすぎないようカウンセラーによるメンタルケアや家族と残された時間を穏やかに過ごせるようサポートしていくのを特徴とする施設である。

 

執筆者 吉本達志

執筆・監修者

管理者

竹本さん

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