2023.07.18

【住み慣れた家で生活したい】在宅介護における環境設定の工夫

【住み慣れた家で生活したい】在宅介護における環境設定の工夫

介護が必要な状態になった時、どこで生活をしたいでしょうか?勿論、人それぞれだと思います。この記事では、要介護になった時、在宅で住み続けるための環境設定についてお話をしていきます。

目次
  1. 環境の変化
  2. 環境の工夫
  3. まとめ

在宅で介護生活を送るための環境を考える

国の調査報告(平成28しらべ)によれば、自身が※1要介護者となった時「自宅で介護を受けたい」と、回答した人が約7割と報告しています。

数年前の調査結果となりますが「住み慣れた家で継続して住みたい」と、多くの人が望んでいることがわかります。

※1 要介護状態とは、介護が必要な状態のことをいいます。

環境の変化

一般的に環境とは、人を取り巻く周囲の状態などを指します。
在宅介護を想定したとき、環境はどのように変化するのでしょうか。

身体の状態、認知症、介護者の状況などにより、留意すべきポイントは変わります。

住環境

「住環境」は住まいの周辺環境のことをいいます。家の中の環境や住んでいる地域や場所なども含まれます。

また「福祉住環境」とは、介護を必要とする方が「可能な限り自立した生活を安全に送れる」ように整えられた環境のことをいいます。

福祉用具の選定や住宅改修のほか、地域内を安全に移動できるようにするための道路整備なども含まれます。

衛生的な環境

状態によっては、入浴・換気やごみ捨てなどができなくなることがあります。

認知症者であれば、清潔不潔の判断ができなくなることもあります。

要介護の状態に関わらず、人は加齢により免疫力が低下するといわれています。
また、体温調節機能なども低下します。

感染症などを防ぐため、衛生的な環境の管理は重要です。

清拭

人の影響

在宅介護に限ったことではありませんが、介護を行う上で人は最も大切な存在といえます。
近頃ではAIや介護ロボットの進化により、高齢者の孤独を回避したり、認知症者のなごみとなる存在であるのも確かです。

しかし、親身に寄り添ってくれる人のぬくもりは、何ものにも代えがたい存在です。

一方、取り巻く人の環境が思わしくない場合、介護生活が霞(かす)んでしまいます。
介護に対する意見が一致せず、適切なケアを受けることができないケースは実在しています。

残念なことに※2被介護者の立場を利用して、犯罪行為に至ってしまうケースもあります。
それだけ、介護に携わる人は重要な存在なのです。

※2 被介護者とは、介護を受ける側の人のこといいます。

環境の工夫

筆者の経験則にもとづき、自宅内の環境に絞っていくつか紹介していきます。

自宅内の動線

身体機能が低下すると、短い距離でも移動困難になることがあります。
自宅で暮らし続けるには、安全かつスムーズに移動をしたいものです。

車いす

コンパクトな車椅子を、自宅内の移動手段として利用することがあります。
家屋の作りによっては、廊下が狭く自宅の改修が必要となるでしょう。

筆者がケアマネジメントをしていた10年以上も前の話です。
住まいの環境は狭く、車椅子の利用も住宅改修もできない状況にありました。

『介護者の手を借りてでも、屋内を移動したい。寝たきりの生活は嫌だ。自宅で生活しているのに移動できないなんて・・・)』ご利用者の切なる思いです。

キャスター付きデスクチェアの利用を提案した経緯があります。
デスクチェアは移動の目的で製造されたものではななく、不安定かつ安全とはいえません。
ただ、「人らしく自宅で生活したい」願いは叶えることができました。

近年では、移動を目的としたキャスター付きの椅子があります。

車椅子の不適切設置

安全の確保

慣れ親しんだ家とはいえ、足元がおぼつかない状態では転倒の危険がつきまといます。
動線に手すりを設置する選択肢は有効です。

手すり

転倒は防ぎたいですが、怪我をしないことが重要です。
状況によっては、※3擦過傷や※4裂傷、骨折や脳出血にいたることもあります。

※3 擦過傷とは、擦り傷のことです
※4 裂傷とは、皮膚などが裂けた傷のことです

場面を選びますが、衝撃を緩和するマットの設置も有効です。
材質によっては、歩行時の足の運びを悪くさせ、バランスの安定を阻害します。

衝撃緩和マットの設置例

・足元には設置せず、転倒が想定される方向に設置する

・ベッド転落時の衝撃緩和のため、ベッドサイドへ設置する

家具を伝い、移動(歩行など)することは有効ですが、気を付けるべき点もあります。

家具が軽かったり固定されていないと、様々な危険が発生します。
床などに固定したり、重しなどで安定させてください。

また、棚や机などの「角」に注意してください。
小さいお子さんの安全を確保するために、机の「角」などを保護したりすることと同じ考えです。

環境を変えない選択肢

在宅介護について、環境を変えることがすべて正解とはいえません。

慣れ親しんで生活してきた環境であること、加齢に伴う適応力の低下。
これらを含み、考える必要があります。

ベッドと布団

要介護の状態になると、ベッド生活へ移行することは少なくありません。
ベッドは介護などを行う上で、被介護者と介護者の双方にメリットがあります。

ベッドは転落のリスクがあります。

ベッド転落


ベッド柵の隙間に挟まる事故も注意が必要です。この事故は、専用のカバーなどを設置することで回避できます。

ベッド柵がしっかり固定されていないことで起こる事故もあります。
ベッドは介護においてメリットがある一方、大きなリスクもあることは抑えておくべきポイントです。

ベッド柵

布団を選択する理由

・慣れ親しんだ布団のほうが安眠できる

・場所を取らない、選ばない(狭い部屋ではベッドが設置できない)

・布団から這って出ることで、自宅内を安全かつ自由に移動できる

認知症者

認知症者は、慣れ親しんだ自宅であっても、家具や物の配置が変わると混乱することがあります。

周辺症状が出現したり、認知症が進行したりする原因にもなります。
とはいえ、命を守ることは先決です。

認知症者に対しての環境例

・刃物の管理に気を付ける

・火の気がでないよう気を付ける(発火や一酸化炭素中毒など)

・通帳や高額管理(使い込みや詐欺被害を防ぐ対策が必要です)

・誤飲を防ぐ(磁石や電池と認識できなかったり、部分入歯がぐらつき誤飲する)

援助者のもと、可能な限り変わらない環境で過ごせることが認知症者にとっては良い環境です。

自立支援につながる工夫

身体機能の低下があっても、援助者の支援を受けることで※5残存機能をいかし、自分らしい生活を継続したいものです。

寝たきりでも、指先さえ動けば※6自立支援の幅が広がる時代になってきました。

※7スマート家電を応用します。スイッチのONとOFFができれば、自立支援につながります。ものによっては、安価に導入できます。

スマート家電/スイッチひとつできること

・部屋の明かりを操作する

・カーテンを開閉する

・玄関や窓の戸締りを行う

・空調(エアコンや換気扇など)を操作する

・テレビを操作する

・オーディオ機器を操作する

スマート家電

指先が動かなくても、声で操作が可能なものもあります。
すべての人が利用できるとは限りませんが、自分らしい在宅介護生活を送るためには有効な手段のひとつです。

※5 自立支援とは、出来る限り被介護者の力で生活できるよう目指し、必要な支援を行うこと。
※6 介護が必要となっても、残された体の機能があります。それらを残存機能といいます。
※7 スマート家電とは、通信技術により暮らしを豊かで便利にするための家電です。

まとめ

「住み慣れた自宅で、自分らしく生活するために」できる工夫は様々です。
入浴・排泄の場面や介護者が休める環境などの工夫も重要です。介護サービス等もうまく利用し、在宅介護を継続しましょう。

筆者のひとこと

筆者が老健施設で就労していた時、失語症や麻痺等により呼び出しボタンを押せないご利用者がいました。

ご利用者の行動を詳細に分析、特定のアクションをされたときに呼び出しボタンが鳴る仕組み(環境)を設定したものです。
こういった場合、プライバシーを侵害しないことが大切です。

今は、昔より考え方も使える資源も進歩しています。工夫次第で、継続できる在宅介護があります。

 

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最後までお読みいただきありがとうございました。

 

執筆・監修者

管理者

竹本さん

管理者

竹本さん

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