2024.06.28

高齢者の転倒事故。ほんのちょっと油断が大ケガに!リスクを減らし安全・元気に暮らすための転倒予防対策

高齢者の転倒事故。ほんのちょっと油断が大ケガに!リスクを減らし安全・元気に暮らすための転倒予防対策

高齢者の転倒は、大腿骨や頭部の骨折といった大きなケガを負いやすく、時には生命にかかわる事故につながるリスクの高い問題です。そこで、高齢者が転倒しやすい状況とその原因について考え、自己のリスクを下げる方法についてご紹介します。

高齢者の救急搬送の原因は転倒がトップ

 例年、「日常生活における事故での救急搬送」の原因として、「ころぶ=転倒」が最も多く、たとえば令和3年中の東京消防庁「日常生活における事故での救急搬送」データでは、総数123,445人のうち、71,086人を占めています。また、そのうち65歳以上の高齢者は45,753人となっており、高齢者の転倒は、大きな事故につながりやすいことがわかります。*1)  

1.転倒が起きやすい場所は?

2009年に出た厚生労働省の管轄事業での予防のガイドラインによると、高齢者の屋内での転倒は、居間や階段、廊下、玄関で多く、屋外では平らな道、坂道、階段で多いとされています。*2)

その中で、最も件数が多いのが屋内の「居間」、屋外では「平らな道」です。
リスクが低そうに思えるこれらの場所で転倒が多いのは、「慣れている」「大丈夫」という気持ちの油断があるためと考えられます。

2.高齢者の転倒の原因

【身体機能の変化】

 高齢になると、加齢による筋力低下や、骨・関節・神経などの疾病による身体機能の低下で、姿勢の維持や歩行が不安定になります。
「とっさに対応できず勢いよく転んで、思わぬ大ケガをした。以前はパッと受け身がとれたのに……」といった話は、わりとよくあるようです。

また、高齢者は、浮腫や関節の痛み、筋力の低下などが原因で、歩くときに足(特に足先)が上がりにくく、「すり足」気味になるため、つまずきやすくなります。
さらに加齢に伴う持病(高血圧や心臓・神経系の疾患、視力・聴力の低下など)、服薬の副作用などにより、ふらつきやめまいが生じて、転倒リスクが高くなります。

【屋内外の環境】

 転倒の原因には、本人の身体的問題だけでなく、屋内外の生活環境も大きな関わりがあります。
高齢になると、日によって足の上がり具合が違う、視野がぼやけて見づらいなど、体調に変化が起こります。
そのため、いつも過ごす部屋の中でも、たまたま障害物に気づけなかったり、避けたつもりでうまく避けられずに、転倒してしまうことがあります。

たとえば、室内の敷居や玄関の段差、床の敷物の端、家具の出っ張りなどは、本人が「障害物」とはあまり認識しません。床上の衣類、新聞・広告などの紙類なども危険です。
また、室内での移動の手間を省こうと、座る場所に、トースターや炊飯器、電気ポット、携帯電話の充電器などを寄せる人も多く、それらの電気コードも転倒リスクの高い障害物になりえます。
さらに古い家屋の場合は階段や廊下などが薄暗いことも多く、足元の見えづらさから転倒事故が起きやすくなります。

3.転倒予防の対策

 高齢者の転倒事故の予防対策は、転倒しにくい身体づくりをすること、住環境を整備することなどが挙げられます。

 

【身体を動かし、転倒しにくい身体づくり】

 骨や筋肉は、高齢者でも運動や食事によって一部、機能を取り戻したり弱まりを防いだりできます。若い頃のようには動けなくても適度に運動を続け、栄養バランスを意識した食事をとることで、転倒しにくい身体をつくることができます。
特に転倒予防のためには、全身のバランスを取る体幹、太ももやふくらはぎ、膝、足首、足の指、足裏などに効果がある運動を意識しましょう。

 高齢者向けのものは、自宅で出来る簡単なストレッチ、主に足の筋肉をきたえる運動など、目的別にたくさんあります。
役所や地域包括支援センターなどで調べて、お住まいの地域での高齢者向けの運動・体操教室などへ参加するのはいかがでしょうか。
書籍やインターネットでも、無理のないものを探すことができます。

現在通院している整形外科や鍼灸整骨院などがあれば、自宅での運動で、体調に合うものを教えてもらいましょう。もっと手軽に、「テレビ体操」「ラジオ体操」なども利用できます。

 ただし、めまいや関節痛など、何らかの症状や疾病がある人は、運動で症状が一時的に悪化する可能性があります。必ず医師に相談し、指示を受けることが大切です。

また、視力や聴力などが低下すると、周りの状況の把握、危険の察知が難しくなります。
体の痛み、動きにくさ、認知機能の低下なども、転倒リスクを高めます。こうした病気に早く気づいて適切に治療を受ければ、転倒も予防できることになります。

 筋肉を増やすための、栄養バランスの取れた食事も大切です。特に筋肉に関わるたんぱく質、マグネシウム・カルシウム・ビタミンD・ビタミンB群などのミネラル群を、毎日しっかり食べられれば理想的です。
通院・服薬中の方は、主治医に相談してから、日々の食事バランスを調整しましょう。
ちなみにたんぱく質は、植物性(大豆・豆腐など)と動物性(肉類・乳製品・卵など)を同時に摂取すると、より効果的に吸収されるという説もあります。量をたくさん食べられない人は、たんぱく質の種類を増やしましょう。

 

【住環境の整備】

 転倒予防には、転倒しにくい環境整備も必要です。
屋内で転倒しないよう、床や足元の整理整頓を心がけます。
「越えない(またがない)・踏まない・よろけない・すべりにくい」状況を目指しましょう。

 


・床に、新聞や衣類、リモコンなどの小物、ゴミ箱などを置かない
・スリッパをやめ、必要なら歩行が安定する室内履き(着脱が楽なタイプもある)を利用
・コード類は壁や部屋の隅に沿わせる等、足に引っかからないようにする
・カーペットの端裏、階段、出入口(玄関、浴室、トイレ、ベランダ等)に滑り止めを敷く
・ベッドが畳・フローリング置きなら、起き上がりや歩き始め注意(足がすべりやすい)
・敷居などの少しの段差、玄関の段差には、スロープやステップを設置
・段差越えや歩行のため、身体を支えられる手すりを設置することも効果的

手すりやスロープなどは介護保険を利用し、福祉用具のレンタル・購入として設置できるので、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターにご相談ください。

屋外では外出時、きちんと足に合う靴を履き、必要なら杖や歩行器などの補助具を使うことが大切です。
杖なども、介護保険を利用したレンタル・購入が可能です。

他にも、ケアマネジャーとして、特に屋外歩行で気を付けていただきたい箇所があります。

 


・道路の側溝や境界ブロック:フタのない速攻が雑草で隠れていると誤って落ちる恐れがあります。また、グレーチングというフタをする網金具は、濡れると大変滑りやすく注意が必要です。

・駐車場の障害物:駐車場では車の下に「ロック板」が設置されていることがあり、乗り降りの際につまづくおそれがあります。同様に後部の「車止め」にも気を付けましょう。

・路面や地面の状態:マンホールの上や、光沢のある防水加工を施した床は、濡れているととても滑りやすく危険です。このような場所では、できるだけ急がず慎重に歩く、杖など支えになるものを使う、人につかまって歩く、などの対策を必ず行いましょう。

 

転倒予防の対策は、一朝一夕では効果が上がらない面もあります。しかし転倒事故は、寝たきりにつながる可能性もあるため、早目の予防・対策をしっかりとることをおすすめします。



 

出典・参考資料

※1)救急搬送データから見る日常生活事故の実態 令和3年
https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/topics/nichijou/kkhdata/data/r3all.pdf

※2)『老健』 2020年2月号「特集 高齢者の“転倒”は疾患(老年症候群)である」内「高齢者の転倒に正しい認識の啓発を バリアフリーよりも予防医療・予防ケア」 公益社団法人 全国老人保健施設協会
https://www.roken.or.jp/wp/wp-content/uploads/2020/01/2020_tokushu-kaisetu.pdf

※3)国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター ホームページ
「病院 健康長寿ナビ 転びやすくなる原因は?」
https://www.ncgg.go.jp/hospital/navi/22.html

 

なお、ケア21でも、一部地域において、福祉用具の貸与や販売、住宅改修事業を行っています。気になる方はお気軽にお問い合わせください。

 

ケア21の「介護なんでも相談室」は、介護に関するお悩みをお持ちの皆様からのご相談を、簡単な登録のみで無料でお受けします。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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竹本さん

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