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2024.10.25
高齢者の住まいの防犯対策:安全で安心できる暮らしのために
高齢化社会に伴い、65歳以上の一人暮らしは男女共に増加傾向*1)にあるとされます。 そんななかで高齢者を狙う窃盗や特殊詐欺などのニュースも最近は増えていて、防犯対策がとても重要となっています。 ここでは、高齢者が安心して自宅で生活するための、心がけや具体的な防犯対策を考えていきます。
令和5年の警視庁「治安に関するアンケート」によると、日本の治安について「良い」と回答した人は全体の64.7%でしたが、ここ10年間で日本の治安が「悪くなったと思う」という回答も全体の71.9%にのぼったそうです。
実際に、「令和5年の刑法犯に関する統計資料(令和6年8月:警察庁)」でも、単身・夫婦のみ世帯に対する空き巣の認知件数6,856件のうち、2,681件が65歳以上の高齢者世帯とされています。
高齢者の単身・夫婦のみの世帯が狙われやすいのはなぜでしょうか。
高齢者は、体力や身体機能の低下によって、襲われても抵抗したり、追いかけたりすることが難しいため、犯罪者にとっては、若い人より犯罪を行いやすく、犯行後にも逃げやすい相手と言えます。
また、認知機能の衰えや経験に頼る思い込みなどによって、詐欺の巧妙な手口にかかりやすい傾向があります。
「これまでの生活で何も起きなかった」という経験から、無意識のうちに「自分(達)は大丈夫」と過信してしまう人もいるようです。
「どうせ盗られるものなんてない」と言う方は多いのですが、窃盗では、宝石や大金の入った金庫ばかりを狙うわけではありません。犯罪者の事情や目的はわからないため、誰もが防犯意識を高める必要があります。
さらに外出の機会の減少、「昔なじみのご近所さん」もまた高齢化され施設入居されるなどして、以前より居住地域で孤立しがちになっていることも、狙われやすい理由の一つと考えられます。
防犯対策は自ら意識して行うことが大切ですが、高齢などの理由で難しいときには、ご家族や周りの人の支援が必要です。
窃盗などを目的とした自宅への侵入ルートは、ほとんどが玄関、勝手口、窓からです。これは一戸建てでも共同住宅(マンション等)でも同じです。
侵入窃盗はその種類として「空き巣:留守宅を狙う」「忍び込み:住人が就寝中などに侵入」「居空き:住人がいる時に(日中などでも構わず)侵入」などがあります。
いずれの窃盗でも、最も多いのが『無施錠』の出入り口・窓からの侵入だそうです。次いでガラス破り、施錠開け、ドア錠破り(鍵付近のドアをバールなどで壊し、鍵の機能を破壊する)などがあります。
無施錠については、習慣や無意識の感覚が問題点と言えますが、鍵を交換・強化することで、施錠を意識する効果も期待できます。
侵入者は、侵入までの時間が5分以上なら7割、10分以上ならほとんどが、あきらめるそうです。*2)
侵入口となるドアや窓の防犯度合いを強化し、簡単に侵入されないようにしましょう。
*1)厚生労働省「令和4年高齢者白書」による
*2)警察庁:住まいる防犯110番 https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki26/theme_a/a_b_1.html
【ドアの強化】
◎防犯性の高い鍵に交換する
従来の住宅で多かった、鍵のふちに山谷の凸凹が付いているシリンダーキーは、開錠されやすいとされています。
費用はかかりますが、簡単には開錠できないタイプの鍵への交換をおすすめします。
開錠されにくいとされる種類はいくつかあります。
・ウェーブキー(鍵の表面に雷のような縦溝がある)
・ディンプルキー(表面に縦溝と多数の大小のくぼみがある)
・キーレス錠(ドア周りに取り付けた電卓のような機械へ暗証番号を入力する)
・カード式錠(読み取り部分にカードを押し当てて施錠・開錠)
◎1ドア2ロック(1つのドアに2つの鍵)にする
最近の玄関ドアの多くは、鍵の2個付けが標準仕様のようです。もし、自宅のドアに鍵が一つしかない場合は、鍵の追加取り付けを検討しましょう。賃貸住宅用の、工事なし・後付けの鍵も販売されています。
また、ドアのこじ開けや破壊を防ぐため、ドア枠を強化する、ドアノブ周辺に保護プレートを取り付けるなどの対策方法もあります。
ドアチェーンなどの補助錠があれば、それらも必ず使用するようにしましょう。
【窓の強化】
◎面格子の設置
雨戸やシャッターがない窓には、面格子(窓の外側に設置する金属製の格子)などを取り付けると、侵入されにくくなります。その際、取り付けネジとして防犯仕様の特殊な形状のものを使えば、より効果的です。
◎防犯ガラス・フィルム
普通の板ガラスや網入りガラスは破壊されやすいので、何らかの補強が必要です。防犯ガラスに変えれば防犯性能が高くなりますが、ガラス交換にそれなりの費用がかかります。
ホームセンターなどでは防犯フィルムが多数、販売されています。とはいえ「防犯フィルム」という名称がついていても効果の薄い商品もあり、貼り付ける手間もかかります。ざらざらした手触りの窓ガラスには貼れない場合もあります。できれば「CP」マーク(防犯性の高い建材部品に付けられる標章)付きのフィルムを、専門業者に依頼して、貼ってもらうのが安心です。
【玄関や門扉周りの対策】
◎外玄関の周りには、植木など「目隠しになるようなもの」を配置しない
◎家屋周辺の雑草や庭木を手入れし、見通しよくする(侵入者が隠れられるところを無くす)
◎玄関灯と門灯は毎日、外が暗くなったらつけておく(夜間に家の周りを明るくする)
◎玄関ドアスコープ(覗き穴)の室内側へ、紙などで覆いをつける(ドアの外から室内をのぞかれにくくする)
◎センサーライトや防犯カメラを設置する
◎家屋侵入の足掛かりとなるようなものを置かない(エアコンの室外機の位置や、ごみ箱の位置に注意する)
◎庭木の手入れ用の脚立などを、庭へ出しっぱなしにしない
◎敷地内に、防犯用の砂利(歩くと音がするもの)を敷く
万が一のときのために、民間の警備会社による見守り・セキュリティサービスを利用する方法もあります。
センサーカメラや緊急通報システムなどを利用して、防犯や転倒等の事故、体調不良など健康状態の異変にも対応してもらえます。
自治体等が行っている緊急通報システムの場合、自治体によって内容は違いますが、主に健康状態の悪化などによる「安否確認」の要素が強く、警備員の緊急出動サービスなどには対応していないことが多いようです。
また、スマホを使った見守り緊急サービス、防犯アプリも多数出ていますし、見守りカメラ、緊急通報、遠隔対応・操作などは、すでに簡単で安価・便利な機能のものがたくさんあります。
これらは、デジタル機器やIOT*3)に苦手意識があると、現在は利用が難しいかもしれませんが、今後、さらに進化していくと予想されます。誰でも気軽に利用できる状況が、早く実現してほしいものです。
*3)IOT:さまざまな目的から、電化製品を通信で結ぶ機能。高齢者向け商品も多く開発されている。たとえば保温ポットのお知らせ機能は、遠くに住む親が保温ポットを使用したときに、家族のスマホへ知らせることができる。
環境を整え、できる対策をしたうえで、なお、もっとも大切なことは、本人や家族、周りの人の防犯意識を高めることではないでしょうか。
日常的な、ほんのちょっとの外出(近所へのゴミ出し程度)でも、出入り口を施錠するのはもはや当然と言えます。在宅中でも、人のいない部屋の窓、玄関・勝手口などは、必ず施錠しておきましょう。
ほかにも、以下のような点にご注意ください。
・訪問者への対応では、いきなりドアを開けずインターフォン(できればカメラ付き)でまず相手を確認する
・宅配などの荷物の受け取りは「置き配」にして、後から家族やヘルパーさん等、信頼できる人に取り込んでもらう
・自動車のシルバーマークを貼りつけたままにしない(高齢者世帯と思われないようにする)
・夜間は、人のいない部屋でも電気をつけておく(複数の人が住んでいるようにみえる)
・家をしばらく留守にするときには郵便受けなどに新聞・チラシ・郵便物が溜まらないようにする
・留守でも在宅でも、家や庭の灯りを夕方にはつけるようにする(自動点灯など)
また、地域の最新の防犯情報などを入手し、対策を変えていくことも大切です。犯罪の手口はますます巧妙化していて、今までの常識では対応できないことも多くあります。「知らない手口」のままでは、対策もできません。
とはいえ、防犯対策や用心する意味を取り違えてしまうと、近隣や他者とのかかわりを徹底的に避けてしまい、地域の人との関係が薄くなってしまいます。こうなると、防犯としては逆効果になりかねません。
高齢者の防犯対策は本人だけでなく、家族や地域住民にとっても大きな課題なので、隣近所や自治会などの地域ぐるみで取り組めれば、さらに効果が広がります。
日頃からお互いに声を掛け合い、安否を確認し合う。お互いがふだんの様子を知っておくこと、相手が困っていないかを意識し合うことは、空き巣などの侵入強盗だけでなく、特殊詐欺の防止、火事や地震などの防災対策にもつながって、より安全で安心な暮らしを目指すことができます。
参考・引用
警察庁:令和5年の 刑法犯に関する統計資料
https://www.npa.go.jp/toukei/seianki/R05/r05keihouhantoukeisiryou.pdf
総務省:一人暮らしの高齢者に対する見守り活動に関する調査
https://www.soumu.go.jp/main_content/000892187.pdf
令和4年版 高齢社会白書(全体版)3家族と世帯
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2022/html/zenbun/s1_1_3.html
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