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2024.12.12
認知症介護のつらさ、どう伝えればいい? ━━ 要介護認定調査での上手な伝え方
認知症*1)の介護は、身体的・精神的負担が大きいものですが、要介護認定調査のときに残念ながら、その大変さを「十分には伝えられなかった」と感じる方が多いようです。 それらをきちんと要介護認定に反映させるための、認定調査時のポイントと事前準備などについてご紹介します。
*1)認知症とは、いろいろな原因により脳の細胞が死んだり働きが悪くなって、さまざまな障害が起こり、生活面で支障が出ている(それが6ヶ月以上継続している)状態のこと。[参考:令和元年6月20日 厚生労働省老健局 認知症施策の総合的な推進について (参考資料)より改変]
認知症の症状の出方は人によって違います。
たとえば、身体が元気で歩行に問題がなくても、徘徊、幻覚、妄想などがあると、介護者の負担は非常に大きくなります。
また、介護拒否や、同じ動作の繰り返し、火の不始末、鍵のかけ忘れなど、日常生活のいたるところで支障が出ることがあります。
これらの負担を認定調査で正確に評価してもらい要介護認定に反映できれば、日常生活に必要な介護サービスをしっかりと受けられ、介護負担を軽減することができます。
ではここで、認知症によるさまざまな症状や行動によって、介護を担う人にどのような負担があるかを整理してみましょう。
・コミュニケーションの難しさ
意思の疎通が難しく、同じ話や行動が何度も繰り返されることで、介護者のストレスが強くなる
・精神症状による行動への対応
徘徊、幻覚、妄想などへの対応は特別な配慮が必要で、介護者の精神的・肉体的負担が大きい
・感情の起伏への対応
突然怒り出したり攻撃的になる、不安や寂しさから常に誰かがそばにいないと落ち着かない、などの状態のときには、常時の見守りや対応が必要な場合もあり、時間的な負担、その症状に寄り添う精神的負担が大きい
・夜間・早朝の介護
夜間や早朝の頻尿、徘徊などへの対応は、睡眠不足や健康への影響が起きやすい
・介護者の負担
介護者が自分だけである、仕事をしている、ほかにもお世話が必要な家族がいる(ダブルケア)、介護者自身の健康状態がよくないなど、介護者側の状況によるさらなる負担
次に、認定調査が行われる日に向け、準備しておくとよいことをご紹介します。
・日常生活の様子を記録する
少なくとも認定調査予定日の2週間くらい前から、日々の生活の様子を記録していきましょう。
認定調査への対策として、できれば認定申請後~認定調査当日までの記録があれば、さらに現状を伝えやすくなります。
食事、排泄、着替え、入浴、移動など、日常の行動や介護について、いつ、何をどのように介護したか、そしてどのくらい時間がかかったかを、記録します。
・介護や対応が困難な状況については、より具体的に記録
徘徊、幻覚、妄想などがあれば、それはいつ、どのような状況で起こったか。どれくらいの時間をかけ、どのように対応したか。それらをご本人の様子などとともに記録します。さらに週に何日だったか、1日に何回くらいかという頻度と、発生する主な時間帯なども記入しておきましょう。
介護の手間を数字で表してみると、とても伝わりやすくなります。
1日に何回、下着を交換しているか。1日に何回、同じ話を繰り返すか。それらに対応する時間がどれくらいかかるか、などを具体的な数字で示しておきましょう。
・主治医・ケアマネジャーとの連携
要介護認定の申請(更新・区分変更を含む)をしたら、申請をしたことと現在の介護の状態を、必ず主治医へ伝えておきます。
できれば事前に、主治医やケアマネジャーと、認定調査を受ける目的、現在のご本人の心身状態、生活や介護の状況、これからの生活に必要な介護やサービスなどについて、整理してまとめておくことをおすすめします。
・介護の負担
現状、介護者にどのような負担がかかっているか、具体的に説明できるようポイントをまとめます。
たとえば「夜間の排泄介護が毎日あり、介護者が眠れない。翌日の仕事や家事に支障が出ている」、介護拒否が強い場合に「デイサービスの朝の準備や送り出しに時間がかかる」「入浴介助に時間がかかる。適切な入浴ができない」などと、自身がつらいと感じる時間、その長さと頻度などの手間を、メモしておきます。
認定調査には、ご家族が立ち会うことが重要です。
ケアマネジャーに立ち会ってもらうこともできますが、実際に介護を担っているご家族が話すことで、いちばん正確に状況を伝えられます。
認定調査当日は、焦らず、メモを見ながら落ち着いて状況を伝えていきましょう。できれば事前にケアマネジャーや主治医と相談し、介護の手間についてどのような質問があるかを想定して、伝えたい内容をメモにまとめておければ安心です。
要介護認定では、介護の手間がどれくらいかかるかということがキーポイントと言えます。先に挙げた記録をもとに、話をまとめましょう。ただひたすらに「もうとても、たいへんで…」と言うだけでは、状況をしっかり伝える事はできないのです。
逆に、何がどうつらいか、具体的エピソードを交えるのはOKですが、「私の大変な思い」のエピソードばかりを、延々と話し続けると、時間切れになるだけです。簡潔に、相手に分かるようポイントを押さえて話しましょう。
ほかにも、訪問介護やデイサービスを利用されているのであれば、その時の記録を見てもらう、認知症の薬が処方されている場合は、そのことと服薬管理についても一緒に伝えたりすれば、介護の手間の具合を伝えられます。
認知症の状況について、調査員へしっかりと伝えることも大切ですが、介護を受けているご本人の気持ちに配慮することも大切です。
調査を受けるにあたり、前日までに「認知症については、本人の前では……」と調査員に伝えておくことで、離れた場所(違う部屋など)で聞き取る配慮をしてもらえることが多くあります。
万が一、認定結果にどうしても納得がいかないということであれば、「要介護認定の判定の結果の通知を受けた翌日」から3ヶ月以内であれば、不服申し立て(再審査)を請求できます。ただし、申し立てしてもすぐに再調査が行われるわけではありませんし、再調査で希望する認定結果を保証されるとも限りません。
まずは調査の結果について、担当のケアマネジャーもしくは地域包括支援センター、市町村の介護保険の担当課などにご相談ください。
今回、お伝えした内容は結局、要介護認定を受ける際の基本とも言えるものです。
認知症による介護負担は、見た目にはわかりにくい面も多く、介護認定にしっかり反映させるためには、ご家族や介護者が詳しく介護の状況を数値化するなど分かりやすく記録しておくことが大切であること。
そして、事前に、主治医、ケアマネジャー、介護サービス事業者と連携し、客観的な情報を集めて簡潔に分かりやすくまとめてから、調査員に伝えるようにすること。
これらを意識して、ぜひ、適切な要介護認定と介護サービスを受けてください。介護の負担が軽減され、より良い生活を送れることを願っています。
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