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2024.12.20
家族への介護を始められるあなたへ:不安を減らし穏やかに暮らしていくために
大切な家族を介護することになったとき、誰しもが「これからどうすればいいだろう」など、何らかの不安を抱かれることと思います。介護を始める際の不安を解消し、少しでも穏やかな生活を送るために大切なことをお伝えします。
まず、現在の国内の介護状況をお伝えすると、厚生労働省の調査では、75歳以上になると要介護認定を受ける人の割合が高くなるとされています。
要介護認定のきっかけとしては、最も多いのが認知症、ついで脳血管疾患(脳卒中)が多く、70歳以上になると各リスクが高くなります。
親やパートナーなど家族に高齢者がいる場合、誰もが、いつ介護が始まるかわからない状態と言えます。
そして、これから介護を始める人にとって、不安に感じる点はいろいろあることでしょう。その主な例を挙げていきます。
・介護で「何をどうするか」、そもそも想像しにくい
介護や介護保険制度についての知識が少なく、何をどうしていけばいいかよくわからない、また、介護を上手くできるのだろうかなど、介護をする暮らしをイメージできない不安
・介護負担への不安
仕事への影響(時間的両立、休暇や離職による収入減、人間関係など)はどうなるか、家事・育児と両立していけるか。介護費用を先々まできちんとまかなえるか。身体的・精神的な負担はどの程度か……といったように、介護を担うことで今後、増えそうな、さまざまな負担への不安
・家族関係への影響に対する不安
誰がキーパーソンになるか、金銭管理をどうするかなどの問題で、家族・親族の意見が分かれるかもしれない。そうした「介護を巡る家族・親族間の関係性」の変化、トラブル等に対する不安
・病気の進行や症状の変化に対する不安
病気を抱える方がご本人の希望で在宅生活となった場合には、介護を続けるうちに症状が悪化しないか、病気が進行したらどうなるか、等、大切な家族の健康を支えていくことに不安が生じやすい
できるだけ介護に関する情報を広く集めてみましょう。
書籍やインターネット検索を活用すれば、知りたい情報や分からなかった点の情報などが入手できます。
また、身近なところでは、市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センターなどに問い合わせてみるのもおすすめです。介護の内容だけでなく、その地域のサービスや現在の状況なども詳しく教えてもらえます。自治体によっては、介護保険の紹介パンフレットなどを用意しているところもあります。
こうした情報収集を、できれば介護を意識したときから始めるようにすれば、「いざ、介護開始」となったときも慌てずに済みます。
介護保険の制度は3年ごとに見直しが行われ、地域の状況も刻々と変わるので、定期的に新しい情報へアップデートさせることを意識しましょう。
介護保険や医療保険制度では、利用者の負担軽減策として、いろいろな支援や補助制度を設けています。
しかし、それらを利用するためには申請が必要で、その事務手続きを面倒だ、あるいは負担だ、と感じる方も多いようです。
介護を受けるご本人が入院中であれば、その病院のソーシャルワーカーや地域包括支援センターへ相談してみましょう。状況によっては「居宅介護支援」の看板を掲げる事業所で、ケアマネジャーさんが介護保険の申請から関わってくれることもあります。
各種介護サービスの利用、ケアプラン、地域の社会資源等について、上記の相談先を積極的に活用しましょう。いろいろな支援を活用できれば、その分、介護の負担軽減につながります。
在宅介護前には、必ず、介護を受けるご本人の主治医に「在宅介護で生活していく」ことを伝えておきましょう。これからの介護で気を付けることや、必要な介護・医療の支援について、主治医にも相談できれば安心です。
ここで、介護者として心に留めておいていただきたいことを、いくつかご説明してみます。
・被介護者(介護を受ける人)の尊厳を守る
介護をするうえで、介護を受けるご本人の思いはとても大切です。
介護を「する人」と「受ける人」という関係になっても、受ける人が「1人の人間である」という尊厳の部分は変わりません。
・介護者も、自分を大切にする
介護を担う人は、自分自身を守ることも重要です。
睡眠時間を確保すること、入浴や趣味、運動など、気分をリフレッシュできる時間をこまめに確保すること、食事をしっかりとることなどは、自分の心や身体のために必ず実行してください。
介護保険のサービスを利用するなら、できれば最初から、介護者が自分の時間を持つための支援(たとえば通所や外出サポート、短期入所など)も、ケアプランに組み入れてもらうよう検討しましょう。
介護者が心身ともに健康でいることが、介護生活を安定させる重要なポイントと言えます。
また、介護者自身も高齢である、あるいは持病がある、といった状況なら、病気の治療や健康管理を優先されても良いと思います。介護で無理をしすぎないことも、継続のポイントです。
・介護を1人で抱えない
さまざまな事情で、どうしても主たる介護者として介護を担うことになっても、決して1人で抱え込まないようにしましょう。1人だけで行う介護には、いろんな無理がかかってしまいがちです。
他の家族や親族、知人の助け、介護サービスの支援などを受け、「ひとつのチームで介護」を行えれば、みんなで助け合いつつ悩みを共有できますし、問題点があれば一緒に解決へ取り組めます。
・相談相手や話し相手は必須
介護者、被介護者ともに、お互い以外の話し相手、相談相手を持たれることをおすすめします。
デイサービスに行く、ヘルパーが訪問するなども、他者との交流という点で効果が期待できます。
介護者は、介護にまつわる家族関係の悩みや介護疲れ、戸惑いなどについて、同じように介護経験のある人や、介護の専門家に相談してみるのもよいでしょう。親身な共感や参考になるアドバイスが受けられるかもしれません。
・お金の話はオープンに
介護生活では、お金に関する悩みを持たれる方は多いようです。
被介護者の年金や預貯金が少ないときに、生活費・介護や医療にかかる費用を誰がどう負担するかがあいまいなままだと、家族・親族間でのトラブルにつながる可能性があります。逆に資産があっても、介護を始めたタイミングで疎遠だった家族や親族から、通帳や資産内容について頻繁に連絡が入るようになり、対応に困ったというお話もあります。
「お金の話はどうも苦手…」と思っていても、安定した介護生活を送れるよう、初めのうちに問題点を洗い出し、解決したいところです。介護を始める前に、どれくらいの収入や預貯金があるのか、最初は大まかでもいいので確認しておきましょう。
また、生活費や介護費用の負担が必要な場合は、誰がどれくらい補填するのかなどについて、あらかじめ決めておかれることをおすすめします。直接的な介護負担と金銭的負担、両方のバランスを考えて皆で負担を配分できれば、のちにトラブルが起こるのを避けられます。
・状況の変化を受け入れる
介護者・被介護者、周りのサポート役の方々。その全員が、健康状態や経済状態、家族の状態などで、状況を変化せざるを得なくなる可能性があります。
介護の状況と生活状況は常に、「変わるかもしれないもの」と心得ましょう。
心身ともに、同じ状態がずっと続くことはないと考え、変化に合わせて柔軟な考え方・対応ができれば、在宅介護が少しずつ楽になるかもしれません。
介護に限らず、暮らしの中では「○○でなければならない」と決めつけてしまうと、時に、ご自身や周りを責めることにつながりかねません。
「こんなふうに過ごしてもらいたい」「こんな介護がしたい」という思いを持つのは良いのですが、思った通りにならないことで自分を責めたり、周りへの失望を続けていくと、介護生活にマイナスの影響を与えます。介護を「仕事」のようにとらえて「完璧」を目指し、頑張る! という形ではなく、「その時できる精一杯を心がける」ことが、上手に継続できるポイントと言えるのではないでしょうか。
介護の在り方はいろいろです。
同じ病気の人でも、症状や進行具合が違います。
当然ながら、ご本人の望みやこれまでの生活、家族構成、生活環境など、人によって本当にさまざま、違いがあるのです。
ですから、「その人に合った暮らし」を目指していただければと思います。
介護者になられる方は、「母との思い出の時間をつくりたい」「納得のいく介護がしたい」「父母を一緒に過ごさせてあげたい」といったように、さまざまなお考えや事情をお持ちです。
それらを抱えつつ、少しでも「介護の始まり」の不安を乗り越えられますよう、どうぞ無理のない、穏やかな生活を送られますよう、心から願っています。
参考:
・厚生労働省「令和6年版 厚生労働白書-こころの健康と向き合い、健やかに暮らすことのできる社会に- : 図表1-1-15 同居の主な介護者の悩みやストレスの原因」 2024年8月公表
https://www.mhlw.go.jp/stf/wp/hakusyo/kousei/23/backdata/01-01-01-15.html
・公益財団法人 生命保険文化センター:年代別人口に占める要支援・要介護認定者の割合
介護や支援が必要な人の割合はどれくらい?|リスクに備えるための生活設計|ひと目でわかる生活設計情報|公益財団法人 生命保険文化センター
・公益財団法人 生命保険文化センター:脳血管疾患の患者数はどれくらい?
https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/1096.html
・厚生労働省ホームページ:図表2-1-4年齢階級別の要介護認定者率
図表2-1-4 年齢階級別の要介護認定率|令和4年版厚生労働白書-社会保障を支える人材の確保-|厚生労働省
・厚生労働省:2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況/介護の状況
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/dl/05.pdf
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