2023.12.01

安全に生活したい在宅介護・冗談では終わらない不慮の事故(誤嚥・窒息)

安全に生活したい在宅介護・冗談では終わらない不慮の事故(誤嚥・窒息)

人は生きていれば、大小問わず事故に遭うものです。できることであれば、回避したいものです。この記事では、高齢者によく起こる事故のうち、誤嚥や窒息に焦点を絞りご紹介していきます。

高齢者に多い不慮の事故

「出典:人口動態調査/厚生労働省(上巻死亡第5.31表)」の調査結果によると、65歳以上(高齢者)の不慮の事故として多いものは次の通りとなります。

65歳以上の不慮の事故

これらの事故が発生した場合、死亡にいたるケースは約5割~約8割となっています。
冗談では済まない事実です。

死亡とならない場合でも、骨折や後遺症となることがあります。

誤嚥と窒息

誤嚥とは

誤嚥とは、食べ物などを飲み込んだ時に※1食道を通らず※2気道に入ってしまうことです。

誤嚥を起こすと、誤嚥性肺炎になることがあります。
肺炎を起こすと様々な問題につながります。

入院をすることで、体力の低下や身体機能の低下、寝たきりとなることもあります。

また、他の病気を誘発する要因となり、最悪は死にいたることもあります。

※1 食道とは、口から胃までの通り道です
※2 気道とは、鼻や口から空気を吸って肺まで送り届ける通り道です

誤嚥性肺炎

窒息とは

窒息とは、何かしらの影響で、口や鼻から入った空気の通り道が塞がれてしまうことです。

必要な酸素が体内に入らない場合、後遺症が出現する可能性が高くなります。

認知機能の低下や昏睡状態、麻痺などを生じることもあり、一命をとりとめても手放しで喜べません。

誤嚥や窒息の要因

人は加齢に伴い、体の機能低下を招きます。
窒息や誤嚥と密接にかかわる機能低下は、以下のようなものが考えられます。

気にかけたい機能低下

咀嚼(噛む力):
・噛み砕けないと、食物を丸飲みしてしまいます

嚥下(飲み込む力):
・飲み込み切れず、スムーズな食物の流れを阻害します

歯の状態:
・義歯(入れ歯)の使用や歯が無いと咀嚼力が低下します
・歯が抜け落ちそうになっていると、歯そのものを飲みむ危険があります

唾液量の減少:
・唾液は、食物を飲み込みやすく形成します
・唾液は細菌の繁殖を防ぎます

咳(反射の機能):
・異物を無意識に吐き出す能力です

喀痰:
・自ら痰を吐き出すことが難しくなると誤嚥を引き起こします

姿勢の崩れ:
・姿勢が崩れることでスムーズな嚥下を阻害します
(寝たきりや猫背など)

舌根沈下:
・舌の筋力が低下し、寝ている間に気道を塞いでしまいます

認知機能の低下:
・認知症に伴い、異物を口にしてしまうことがあります

手足などの筋力低下:
・入浴中に溺水してしまうことで、誤嚥・窒息につながります

今回の記事では紹介しませんが、入浴時の事故は溺水・溺死(窒息)以外にもあります。

これらの機能低下を知っておくことは、かなり重要です。
安全な介護や食事などを提供することができます。

生きるために必要な栄養確保と楽しみである食生活

介護の世界では、「栄養の確保と食事の楽しみ」というキーワードをよく耳にします。

どちらも人として生きるためには、大切なことです。しかし、楽しみを優先しすぎると食物は人の命を奪います。

誤嚥や窒息の事故を起こす要因として、もっとも多い食物は「餅」とされています。
事故の発生は1月が圧倒的に多く、毎年発生しています。

「餅」などによる事故防止の留意点

・口の中を潤す

・細かく切り刻む

・口の中に入れる量を少量にする

・しっかりと、ゆっくり、よく噛んで飲み込む

・誰かと一緒に食べる

・代用品を利用する

誤嚥・窒息しやすい食物

・餅
(かたく、べたつき、まとまりやすく、飲み込みにくいです)

・こんにゃくゼリーやこんにゃく
(噛み砕きにくく、つるんっと喉の奥に流れ込みます)

・飴類
(小さく喉の奥に入りやすく、反射機能で押し戻しにくいです)

・パン類
(パサパサしていることで口の中でまとまり、詰まりやすくなります)

・水分類
(細かく流れが速く、気道にはいりやすいです)

介護生活で気を付けること

ここまで記載した内容に加えて、介護の場面で気をつけておきたいことをいくつか紹介します。

介護生活で気を付けること

・寝ているときの姿勢
(仰向けの場合、舌が落ち込んだり、気道に唾液が入ることがあります)

・口腔衛生
(口腔内が不潔であれば、誤嚥性肺炎のリスクが高くなります)

・トロミ剤
(飲み込みを助けるトロミ剤は、適切に使用しなければ逆にリスクとなります)

・食事介助
(確実に嚥下していることを確認し、口元に食事を運びます)

・座る姿勢
(腰を深く、床に足をつけ、やや前かがみの姿勢を確保します)

・痰の絡み
(痰が絡んでいる場合、吸引などにより取り除きます)

   

食物などを詰めた場合

食物などを喉に詰めた場合、空気の通り道を塞いでしまいますので、詰めたものを取り除く必要があります。

被介護者の機能低下が著しい場合、知らない間に誤嚥や窒息を起こしていることがあります。

対処法

食物などにより、気道が閉塞されてしまった場合どう対処すればよいでしょうか。
早期発見時の対処法をいくつか紹介します。

背部叩打法

  • ①対象者の胸の中心あたりをおさえ、姿勢を前傾(くの字)にします。
  • ②背中よりも頭の位置が低くなるようにします。
  • ③肩甲骨の間あたりを手の付け根あたりで強くたたき出します。

ハイムリック法

  • ①対象者の後方にまわり、抱えるように腕をまわします。
  • ②片手で握りこぶしをつくります。もう片方の手は、握りこぶしを包みます。
  • ③みぞおちにこぶしを当て、対象者と体を密着させます。
  • ④みぞおちを支点にこぶしを押し上げます。

指を喉奥にいれる

反射を狙って指を喉奥に入れる手法があります。「おぇっ」ってなりますよね。

しかし、注意が必要です。
指を入れることで、異物を押し込んでしまう可能性があります。安易に行うと逆効果になります。

食物を詰めたことが早期に発見できた場合の対処法を紹介いたしましたが、冷静に落ち着いて対処することが重要です。

対処法を実践すると同時に、必ず119番(救急)通報をおこなってください。

   救急

まとめ

できることであれば、誤嚥・窒息は回避したいものです。

そのためには、加齢にともなう機能低下や危険が伴う食物や状況などを理解し、食事や介護の提供をすることが重要です。

 

ケア21の「介護なんでも相談室」は、介護に関するお悩みをお持ちの皆様からのご相談を、簡単な登録のみで無料でお受けします。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

執筆・監修者

管理者

竹本さん

管理者

竹本さん

【経歴】

相談方法

メール、LINEでのご相談は、24時間受け付けています。
電話でのご相談は、平日の9:00~18:00の時間帯で受け付けています。