2024.04.08

誤嚥性肺炎を防ぐ大切なお口の中のケア~毎日続ける口腔ケア

誤嚥性肺炎を防ぐ大切なお口の中のケア~毎日続ける口腔ケア

唇から舌、ほほの内側、のどに至る範囲は、口腔(こうくう)と呼ばれています。 口の中のお手入れ「口腔ケア」は、歯の健康や、食べたものを飲み込む際の舌・のどの働きを保つためにも有効です。 高齢者に多い「誤嚥性(ごえんせい)肺炎」(誤嚥=誤って飲み込むこと)も予防できる、この口腔ケアについて解説します。

目次
  1. 口腔ケアは、健康で心地よい生活のもとになる
  2. 高齢になると、食事を噛みくだく・飲み込む力が低下する
  3. 口腔内の衛生状態も悪化
  4. 誤嚥を防ぐケア
  5. 訪問歯科の利用も検討を

 

1.口腔ケアは、健康で心地よい生活のもとになる

 口腔ケアと聞くと、多くの人はまず、「歯の手入れ」が思い浮かぶことでしょう。

そして高齢になると、歯の数が減ったり入れ歯になったりするため、自分にはあまり関係のないことと感じられるかもしれません。

しかし、口腔ケアは、口の中の機能にも関わる話です。このケアで達成できるのは、①食べものを細かく噛みくだいて上手に飲み込む、②口の中を衛生的に保つ、の2つ。これらは誤嚥性肺炎を防ぎ、健康で心地よい生活を保つための、とても大切なポイントとなるのです。順に説明していきます。

 

2.高齢になると、食事を噛みくだく・飲み込む力が低下する

 1つ目の「飲み込み」は、身体の機能面での話です。年齢を重ねて身体の筋肉量が減ってくると、のどや舌の動きも徐々に衰え始めます。

また、歯が抜けたり歯ぐきがやせる(歯ぐきの高さが下がる)などして、自身の歯や入れ歯が安定しづらくなることもあります。

さらに、だ液の分泌量も減っていきます。

 

このように、のど、舌、歯、だ液の状態が変化すると、食事の際、食べたものをしっかりと嚙み砕けなかったり、上手に飲み込めなかったりします。

その結果、飲食物が誤って気管に入ってむせることが増えていきます。

 

3.口腔内の衛生状態も悪化

 2つめは「衛生面」です。高齢になって歯の状態が悪いと食べかすが残りやすいうえ、口の中を清潔に保つ働きをするだ液が減少するため、口腔内の衛生状態が悪化しやすくなります。

食べかすなどが原因でできる、歯の根元・表面・歯間の歯垢(しこう)や歯石(しせき、歯垢が固まったもの)、舌が白く汚れたようになる舌苔(ぜったい) 、これらには、細菌がくっつきやすく、菌が口の中で繁殖するため、歯肉炎や歯周病につながることがあります。

さらに、食べ物や胃液、だ液などに、肺炎の原因となる菌がくっつき、それが誤って気管から肺へ入ってしまうことで、「誤嚥性(ごえんせい)肺炎」を引き起こす場合があるのです。

 

誤嚥性肺炎は、令和3年(2021年)の厚生労働省データでは、かかった人のうち45.9%が死に至り、また、日本人の主な死因の3.6%(第6位)を占めました(※1)。

誤嚥では、必ずしも全員が、むせてせき込むわけではありません。身体の状態によってはほとんどむせたりせず、知らないうちに菌が気道から肺へと移る可能性もあります。

このように健康面からも、口の中を清潔に保つことが重要と言えます。

 

4.誤嚥を防ぐケア

 誤嚥や誤嚥性肺炎が起こる状況はさまざまで、そのため、予防法もいろいろと紹介されています。

たとえば機能面では、唇~舌~ほほ~のどの範囲が、自分で動かして鍛えられる部分です。

 

日本訪問歯科協会によると、口のストレッチとして

・舌を出したり引っ込めたりする。

・ほおをふくらませたり、へこませたりする。

・舌先を左右の口角につける。

・舌先を唇の上と下につける。

・口の中にスプーンを入れ、ほおの内側から外側に軽く押して、ほおの筋肉でスプーンを押し戻す。

・首を前後左右に倒してストレッチし、緊張をやわらげる。

などの方法が紹介されています(※2)。

 

ご自分でできる具体的な動かし方は、ぜひ、歯科医等で尋ねてみてください。

書籍やインターネットにも、口の「体操」「運動」などとして情報が載っています。

 

さらに、ご自身で歯を磨くときは、口すすぎの水を飲み込まないよう気を付けましょう。

また、歯科医で定期的に歯石を取ってもらう等、口腔状態を確認する機会を持つこともおすすめします。

高齢者の場合は、できれば高齢者向け口腔ケアの指導を行っている歯科へ定期的に通院し、自身の口腔や身体の状態に合ったケア方法を教えてもらうとよいでしょう。

 

5.訪問歯科の利用も検討を

 自身での口腔ケアが難しい方に対し、ご家族が歯みがき・口腔ケアを行う場合は、丁寧に行いましょう。

口の中に少量残った口すすぎの水が気管へ流れてしまうことが原因で、肺炎を起こす場合があるので注意が必要です。

 

疾病等により歯科医への通院が困難な方は、訪問歯科を利用する方法もあります。

訪問歯科とは、自宅や介護施設などへ歯科医に来てもらい、治療や専門的な口腔ケア、口腔のリハビリ、日常のケア方法の指導などを受けられるものです。必要な方は、ぜひ検討してみてください。

 

今回の記事をきっかけに、口腔から起こる炎症や病気を、ぜひ予防していきましょう。

口腔内の清潔さと機能の維持・向上を目指していただければ幸いです。

 

 

 

出典:

※1)厚生労働省「令和3年(2021)人口動態統計(報告書) 人口動態調査結果の概要」

※2)日本訪問歯科協会 インターネット記事「今日から始める口腔ケア 口腔リハビリテーション〈1〉 咀嚼のリハビリ」「患者様・介護事業者の皆様へ 今日から始める口腔ケア」

https://www.houmonshika.org/oralcare/c68/

https://www.houmonshika.org/oralcare/

参考文献:

独立行政法人国立病院機構水戸医療センター「誤嚥させない口腔ケア」2020年12月13日公開PDF

https://mito.hosp.go.jp/nurse/documents/Eating_and_swallowing-2.pdf

公益社団法人全国国民健康保険診療施設協議会

「口腔機能リハビリテーションの普及に向けた実践マニュアル」平成16年03月

https://www.kokushinkyo.or.jp/Portals/0/Report-houkokusyo/H15/平成16年03月_口腔機能リハビリテーションの普及に向けた実践マニュアル.pdf

 

なお、ケア21でも「ケア21 メディカル」にて、訪問歯科診療を一部地域で行っています。ご興味のある方はお気軽にお問合わせください。

(※リンク先 https://www.care21.co.jp/search/)

 

ケア21の「介護なんでも相談室」は、介護に関するお悩みをお持ちの皆様からのご相談を、簡単な登録のみで無料でお受けします。

最後までお読みいただきありがとうございました。

 

執筆・監修者

管理者

竹本さん

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竹本さん

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