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2024.10.04
高齢者の運転免許返納:安心・安全に生活を送るために
高齢化に伴って近年は、高齢のドライバーによる交通事故が社会問題となっています。 その解決策の一つとして、高齢者の自動車免許返納が推奨されていますが、75歳以上の高齢者の申請による運転免許の取り消し件数は減少しています。 ここでは、運転免許返納のメリット・デメリットやそのサポートについて考えていきます。
高齢になると個人差はあるものの、身体機能が低下することで車の運転能力も下がりやすくなります。
警察庁による平成25年~令和5年の交通事故運転者の調査では、65歳未満に比べて65歳以上は「走行車線を越えて電柱・家屋にぶつかる」「崖下に転落する」など車両単独事故の割合が高く、しかも年齢が上がることに単独事故数が増加しています。
また、75歳以上の高年齢層では「操作ミス(ハンドル操作、ブレーキとアクセルの踏み間違い)」による交通死亡事故の割合が高いようです。
近年、このような事故がニュースで取り上げられたことで、運転の限界年齢を決めて早々に自動車免許を返納する人もいます。しかし「自分はまだ大丈夫」と、90歳代で運転を続ける方も、少なくはありません。
自身の運転を客観視するのはなかなか難しいですし、日常生活の移動手段として自動車が必要不可欠な人もいます。とはいえ、高齢者の運転事故リスクを考えると「なんとか運転をやめさせたい」と心配されているご家族が多いのではないでしょうか。
実は、「運転免許の自主返納」は高齢者のメリットになる面もあります。
そうしたメリットやデメリット、返納後の暮らしの変化、ご本人の心情なども踏まえながら、返納を検討されるのがよいと思われますので、順に説明していきます。
運転免許の自主返納とは、運転免許が不要になった方、加齢で身体機能が低下するなど何らかの理由で運転に不安を感じるようになった方が、有効期限内の運転免許証を自主的に返納することです。
では、高齢の方に運転免許の自主返納を促したい場合、どうすればいいのでしょうか。
前提として、家族や周りの人が「運転をやめさせる」「免許証を返納させる」という意識でなく「これからの生活について、安全・安心について、皆で一緒に考えたい」という姿勢で取り組むことが大切です。
もしかするとご本人も、体力や身体機能の低下を感じ、これまでできていたことがだんだんできなくなりつつある、という閉塞感(へいそくかん)や不安感を持っているかもしれません。そのようなタイミングで一方的に「運転をやめて」「免許を返納して」と言われると、自分を否定され能力や財産(車)の一つを奪われるように感じて、反発心や孤立感を感じてしまう可能性があります。
そもそも、高齢ドライバーは全員が必ず危険運転をするわけでなく、健康状態や運転能力にも個人差があります。ですので、できるだけご本人の運転状況を客観的に評価し、まずは安全な運転を継続できる方法がないか、一緒に考えてみてはいかがでしょうか。
(例)
上記の方法などは、あくまで安全に運転を継続するための、ご提案例と捉えてください。
運転をやめるかどうかは、運転者ご本人のプライドに関わるかもしれない決断です。できれば状況が差し迫らないうちから、ご家族内でこうした話し合いを率直に、穏やかに進めておくことが望ましいと思われます。
例えば、帰省などで家族が集まるときに「今後の生活に関すること」として、車の運転を話題にするのはいかがでしょうか。
将来的な生活費の見直し、といった観点から「車の維持費」について話し合い、自主返納のメリットも含めて、話し合われることをおすすめします。
そのためには事前に、免許の自主返納後の生活の変化の予測や、先に挙げた優待・割引等のサービスなどに関する情報を集めて、買い物や通院の方法など、具体的な代替え案も提案できるよう、できれば準備しましょう。
バスやタクシー(介護・福祉タクシーなど)、電動カート、自転車などの各移動時間や費用の予想、配食サービス、買い物代行サービスなどを検討する場合は費用の目安、今の生活パターンに合うかどうか、使いやすさはどうか、などについて、一緒に考えていくことが可能です。
また、運転の目的を「楽しみ」「趣味」にしていた方なら、それに代わるものを、ともに探してみてください。地域包括支援センターや市区町村民センターなどにも、イベント・活動の情報がたくさんあると思います。
一気にすべてを解決しようとせず、ご本人の気持ちを尊重しながら、客観的な意見を伝えていきましょう。さらにご家族だけでなく、主治医やケアマネジャー、友人、知人などからも、中立的な立場で意見を伝えてもらうことは、高齢者には効果的とされています。
認知症の診断を受けていても、症状の内容によっては問題なく運転できる方がいます。
その一方で、症状の特性により自動車運転事故のリスクが高いものもあります。
75歳以上の高齢運転者であれば、免許更新時に認知機能検査が実施されるので、その際に運転適正を調べることができます。しかし75歳未満の方は認知症の診断があっても申告の義務がないため、ご本人が運転をやめる気にならない限り、運転を続られる……というのが、今の国内ルールとなっています。
何らかの症状によってご家族や周りの人が明らかに「運転は危険だ」と感じるのに、ご本人にはその自覚がまったくなくて運転にこだわっている状況であれば、ぜひ、医療機関や公的機関に相談してください。
家族の問題だから、と、ためらわれるかもしれませんが、ご本人だけでなく他者を巻き込む事故になる恐れもあります。どうぞ迷わず、ご相談ください。
相談先として身近なところでは、居住地域にある地域包括支援センター、または運転者の主治医やケアマネジャーでもOKです。
また、直接、都道府県警察の「安全運転相談窓口」へ相談することも可能です。
専用相談ダイヤルの番号は
#8080 (シャープ ハチマルハチマル)
です。この番号で自動的に、発信場所を管轄している都道府県の警察の「安全運転相談窓口」へつながります。
運転免許の返納は、高齢のご家族がこれからも安心・安全に暮らしていくための大きな決断です。
運転免許を返納すれば終りというわけでなく、ご家族や周りの人に助けられながらその後の新しい生活スタイルをご本人がつくられ、それに慣れていただくことも大切です。ぜひ、新しい生活を、皆でサポートしていただければ、と願います。
*参照・参考
*1)一般社団法人 全日本指定自動車教習所協会連合会:高齢運転者支援サイト(運転免許証の自主返納をお考えの方へ 〜各種特典のご案内〜)
https://www.zensiren.or.jp/kourei/return/relist.html
経済産業省:「サポカー/サポカーS(安全運転サポート車)のWEBサイト」
https://www.safety-support-car.go.jp/
警察庁/運転免許の自主返納について
https://www.npa.go.jp/policies/application/license_renewal/jishuhennou.html
警察庁交通局 令和6年上半期における交通事故の発生状況
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/jiko/R6kamihanki_bunseki.pdf
警視庁:防ごう!高齢者の交通事故!高齢者の死亡事故事例と交通事故防止アドバイス
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/kotsu/jikoboshi/koreisha/koreijiko.html
警察庁交通局 運転免許課 令和5年版 運転免許統計
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/menkyo/r05/r05_main.pdf
令和6年度版 交通安全白書全文(PDF版)第1章高齢者の交通事故の状況
https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/r06kou_haku/pdf/zenbun/f-1.pdf
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