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2024.11.29
高齢者の安全な歩行のサポートに!歩行器の選びの注意点
高齢者の転倒は、骨折などの大きな事故につながりやすく、とくに腰や股関節の骨折は、それがきっかけで寝たきりの状態になるおそれがあります。 そこで、高齢者の転倒予防対策の一つである「歩行器」の使用、その種類や選ぶ際の注意点を簡単にご説明します。
高齢者にとって「歩く」ことは、ウォーキングのように健康維持を目的とするだけでなく、「目的の場所へ自分で歩いていく」という、生活の質にも関わる重要なポイントです。
年齢を重ねると、筋力の低下、膝や腰の痛み、ふらつきなどが生じやすく、歩行時の転倒リスクが高くなります。この転倒への不安から、外出や買い物に出かける機会が少しずつ減り、閉じこもりにつながることもあります。
高齢者の外出歩行の補助といえば、杖以外には、車輪のついた手押し車のような歩行車が思い浮ぶのではないでしょうか。
歩行車は一見すると、どれも同じように見えるかもしれませんが、ほとんどがシルバーカーと歩行器に分けられます。
シルバーカーは四輪タイヤ付きでカゴが付いているものが多く、座って休憩できるものもあります。また、グリップ(握り)の部分は「横向きに通されたバーを両手でつかむ」形状で、この横棒を押して歩くタイプが多いようです。
それに対して歩行器(歩行車と呼ぶものもあるが、この記事では歩行器で表現を統一)は、その多くで握りのバーの部分が身体の左右に分かれています。車輪付きで自転車のハンドルのような形状のブレーキが付いたものなどもあります。左右の手でバーを握り、軽く持ち上げて前へ進むか、押して歩きます。買い物や手荷物入れのカゴ付きのタイプもあります。
歩行器が「自立歩行が困難な人のための歩行補助具」であるのに対し、シルバーカー(手押し車)は、SG規格により「自立歩行ができる主に高齢者の方が、屋外での移動や買い物などの運搬に使用する製品」とされています*1)。
シルバーカーは「自立歩行ができる」という前提があるため介護保険の対象外になります。
歩行器は歩行補助具として、介護保険を利用してレンタルすることができます。
*1)引用:一般社団法人 製品安全協会ホームページ:SG基準/製品一覧/福祉用具/シルバーカー(0075)https://www.sg-mark.org/product/no-0075/)。
歩行器にはいろいろな種類があります。ここでは見た目の形状で、大きく3つに分けてご説明します。
【フレームだけのタイプ】
◎持ち上げ型歩行器
・シンプルなフレームのみの構造で、安定性があって軽い
・歩くときにはフレームを持ち上げ、歩行器を身体の前に出して身体を支えながら歩く
・病院のリハビリ等で使用されることが多く、主に室内での使用に適している
・折り畳み式と、固定式がある
◎交互型歩行器
・歩行器の左右のバーが、片方ずつずらして動かせる。フレームを少しずつ交互に前へ押して動かし歩行する
・①右フレームを前へ ②左足を前へ ③左フレームを前へ ④右足を前へ、と順に行い、少しずつ前へ進む
・下肢の筋力低下がある人、上記の歩行動作を身に付けられる人に適している
◎キャスター付き(前輪・四輪)歩行器
・前脚もしくは四脚の先に、キャスターが付いている
・筋力の低下等で、持ち上げ型の歩行器の利用が難しい人向け
・グリップに上から体重をかけると、ストッパーが機能して動きを止められる仕組み
【歩行車型】
・四脚の先に車輪がついていて、押しながら歩く
・左右のグリップへブレーキがついているハンドルタイプ、肘置き(アームレスト)タイプがある
・身体を枠の内側に入れ、体重をかけて歩行する
・室内・屋外とも利用可
・座面に座れるもの、荷物用カゴ付き、自動スピード制御機能付き、折り畳みタイプなど、種類が豊富
【馬蹄形(ばていけい)型】
・ひじから先の上腕を、歩行器上部のひじ置き(馬の蹄の形に似ている)に乗せ、ひじを直角に曲げて歩行器へ身体を近づける。上半身を歩行器に預けるようにして、ひじ置きごとつかみながら歩行する
・四脚にキャスター付き
・前側にグリップ(ブレーキ付き握り)があるもの、ひじのずれ落ち防止のひじ当て付きのもの、折り畳みタイプ等がある
たくさんの種類がある中から自分に合うものを選ぶため、注意点をいくつかご紹介します。
歩行器は必ず、使用者の身長や体重など身体の大きさに合わせたものを選びます。また、麻痺の有無、下肢筋力や歩行能力の度合い、ひざ折れ(歩行中にひざがカクンとなること)があるかどうか、上腕で身体を支えながら歩行器を上手に操作できるか、グリップが握れるか、などによって、適応する歩行器が変わります。
福祉用具専門員や理学療法士といった専門家のアドバイスを聞きながら決めましょう。
*居住環境・使用環境に合わせて選ぶ
使用する環境は屋内か屋外か、自宅か施設か、自宅の廊下の広さはどうか(Uターンできるか)、保管場所の面積も確認が必要です。自宅周辺に坂が多いという理由で、屋外用に走行アシスト機能付きを希望された方もいます。
*用途・機能・デザイン別に選ぶ
歩行器は、用途や機能をいろいろと考えて設計されているうえ、デザインも豊富です。
たとえば、単なるカゴ付き以外にも、スーパー用の買い物カゴを載せる専用バー付きで、ショッピングカートを使うように歩行器のままスーパーで買い物できるタイプなどがあります。
室内用でトレイ付きのタイプなら自分でお茶を運べますし、屋外用で座面付き、軽量・コンパクトなものなら休憩も取りやすいので、公共交通機関を使ったお出かけも可能になりそうです。
*介護保険でレンタルの対象になっているかどうかを確認する
歩行器を借りるにあたって注意が必要なのが、福祉用具貸与事業所ごとに、取扱い商品で違いがあることです。たとえば、「友人が使っていて良さそうだから」と希望する歩行器がある場合でも、A社はレンタル対象でB社では対象外、といったことがあり得ます。介護保険を使用したレンタルを希望する場合、可能なら複数の事業者のカタログを確認するのも一つの方法です。
また、事業所によってレンタル料金の違い、メンテナンス対応の違いなどもあるため、ケアマネジャーにきちんと相談・確認してから、レンタルする事業者を選ぶのがおすすめです。
自分に合った歩行器を選んだら、安全かつ効果的に使用するため、次のような点に注意をしましょう。
*正しい姿勢を保つ
身体に負担がかからない程度に背筋を伸ばし、歩行器と身体のちょうどいい距離を確認します。自分に合う使い方を最初にしっかり身につけることが重要なので、専門家のアドバイスを聞きながら練習しましょう。
*歩き方
歩行の基本は「急がないこと」です。急ぐとバランスを崩し、転倒する危険性もあります。顔を上げてゆっくり、一歩ずつ進みましょう。また、すり足にならないよう、足を下ろすときはかかとから地面(床)に着地させ、足裏全体で地面を踏んでから、つま先が最後に離れるように歩いてください(ただし身体の状態に合わせご判断ください)。
*定期点検
車や自転車と同じように、歩行器でも定期点検は必要です。とくにブレーキの効き具合やタイヤの摩耗具合などは、安全な歩行を維持するために必ず定期チェックを行いましょう。
ブレーキの不具合は命にかかわる可能性もありますし、擦り切れた車輪で歩行するとバランスが悪くなって、転倒する危険性があります。
レンタルの場合、貸与事業所が定期的に(利用開始後、少なくとも6ヶ月以内に一度)メンテナンスに来ます。
けれども何らかの異常を感じたときは、点検時期を待たずに福祉用具担当者やケアマネジャーへ連絡し、対応してもらいましょう。
購入する場合でも、不具合があれば早急に購入店に相談します。そのためにも購入時に、不具合対応の連絡先を確認しておきましょう。
歩行器は、高齢者の歩行補助具として有効な手段の一つですが、ご利用者の状況や使用環境に合わせて適切なものを選ぶことが重要です。
福祉用具専門員、ケアマネジャー、理学療法士などの専門家に相談し、自分の状態に合う歩行器を選んでいただければと思います。
*1)厚生労働省:健康日本21 身体活動
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b2.html
財団法人 テクノエイド協会 福祉用具シリーズVol12 歩行補助用具の活用
https://www.techno-aids.or.jp/research/vol12.pdf
健康づくりのための身体活動高齢者版 運動ガイド 高齢者版
https://www.mhlw.go.jp/content/001195868.pdf
一般社団法人 製品安全協会ホームページ:SG基準/製品一覧/福祉用具/シルバーカー(0075)
https://www.sg-mark.org/product/no-0075/
令和6年度介護報酬改定における 改定事項について 【福祉用具貸与・特定福祉用具販売】
https://www.wam.go.jp/wamappl/19YAMANA/19bb01kj.nsf/fb86ad5d31e4d3fe492568200025beba/25d8379a781ee48d49258ae1002c02aa/$FILE/%E7%A6%8F%E7%A5%89%E7%94%A8%E5%85%B7%E8%B2%B8%E4%B8%8E%E3%83%BB%E8%B2%A9%E5%A3%B2.pdf
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