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2024.12.06
年末はチャンスかも!? 高齢の親が住む家の片付け、まずは焦らず一歩ずつ
高齢の親が住む実家。その片付けに悩んでいる方は少なくありません。実際に片付けを手伝われている方もいらっしゃるでしょう。 すでに現在、室内が乱雑な場合、「高齢者のセルフネグレクト」*1)と呼ばれるところまでやがて深刻化する可能性もあります。 高齢者が片づけられなくなる原因を考え、また、解決策を考えます。
*1)「高齢者のセルフネグレクト」とは、厚生労働省によると「高齢者が自分らしい生活をしていくうえで必要な介護や医療のサービスを求める行為を行わずに、外部からの勧めに対しても拒否するなどして、地域で孤立し健康的な生活が維持できないこと」。引用;平成 26 年度老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業「セルフ・ネグレクトや消費者被害等の犯罪被害と 認知症との関連に関する調査研究事業」 報告書」 平成 27 年 3 月 公益社団法人あい権利擁護支援ネット
親の家の片付けは、自分の家のようには簡単にいかないことが多いものです。
「片付けよう、整理しよう、いらないものは捨てよう」だけを念頭に置いて一気に作業を進めてしまい、本人の心を傷つけたり、ときには怒らせたりして、かえって話がこじれた……という話もよく耳にします。実家の片付けは、焦らず「少しずつ」取り組む姿勢が大切です。
では、家族が「お互いに嫌な思いをせず、協力して片付けられる」という状態へ、どうすればたどり着けるでしょうか。
親が抱える理由を知るうえで、まず大切にしたいのが「どうして片づけられないのか」を、相手の気持ちになって考えることです。
片付けがそもそも苦手な人は別として、高齢になってから片付けがうまくできなくなった人の場合、いくつかの理由が考えられます。
・身体機能の低下により掃除ができない…
足腰が悪くなると、高い場所へ手を伸ばす作業やかがんで行う掃除などは、身体の負担が大きくて思うように進められません。
また、体力の低下ですぐに疲れてしまい、きちんと掃除できないこともあります。
・汚れや臭いに気づかない…
加齢や疾病で嗅覚や視力が低下すると、室内の汚れやほこり、悪臭に気付きにくくなります。
・ものを捨てられない…
缶や箱、紙袋、リボン、試供品などを「もったいない。何かに使えるのでは」と取っておく習慣がある人は、ものが増えてしまいます。ほかにも、思い出の品、コレクション等、なかなか手放せないものは、整理されずにそのままとなることが多いです。
・ごみの分別ができない、出し方がわからない…
居住地域でごみの分別ルールが細かくなったことで、面倒になってごみを捨てなくなる人もいます。
・認知機能の低下により、判断力や対応力がなくなる…
認知機能が低下して、ごみを仕分けすることや、スケジュールに合わせて出すことができなくなってくると、ごみを何度も戻されてしまう可能性があります。それがきっかけでごみ出しが出来なくなり、ごみ屋敷のようになってしまった、という人もいます。
確かに、片付けには体力も気力も時間も使います。つい面倒な気持ちになるのも分かりますし、親から「そのままでいい。かえって落ち着かないから」などと言われると、子どもは手を出しにくくなります。
しかし、家の中が片付いていないと不衛生なだけでなく、転倒事故や、室内の動線がさえぎられることによる災害時の避難妨害といったリスクも生じます。
さらに家の中にものが増えれば増えるほど、いずれ家の処分が必要になった際に、高額な処分費用が掛かるおそれもあります。
親が片付けを望んでいる場合を除き、強引にスッキリさせようとすると、逆効果になることが多いようです。
まずはきっかけとして、例えば年末なら日本では「大掃除」のイメージがあるので、それを利用しましょう。
早めに帰省して「今年は大掃除を手伝うよ」と、片付けに取り掛かるのです。作業中も「捨てる」という言葉より「片づける」「整理する」などの言葉を使用して、親の気持ちへ配慮する姿勢を保つようにしましょう。
とりあえず、トイレや洗面所、キッチン周りや玄関、下駄箱など、本人ではなかなか掃除がしづらそうな場所を掃除してはいかがでしょうか。掃除後の「気持ちよさ」を感じてもらえれば、片付けや掃除を手伝ってもらうことに対する良いイメージも持ってもらえます。また、掃除のついでに家の中の電球類を交換すると、足元が明るく安全になって、室内の様子もよく見えるようになります。
あくまでも片付けの提案」でなく「掃除のたいへんな部分を手伝う」こととし、それをきっかけに少しずつ、片付けへ取り組む気持ちを相手に作ってもらえるようにすることをおすすめします。
自分のものを片づけるなら自分が割り切ればいいだけですが、たとえどれだけ散らかっていようと、相手のペースに合わせていくことが肝心なのです。
棚にあふれた使っていない食器、古い机や椅子などには、ご本人や子供たちとの思い出が詰まっているかもしれません。
日ごろから「断捨離」ができる人というのは、片付ける感覚をすでにしっかり養っている人であり、いろいろなものがあるということは、それらとの「お別れ」の気持ちを整える手伝いが必要だともいえます。
ほかにも、布団の入れ替え、衣替えなどを理由に、押入れを開けてみましょう。そこで懐かしいものが出てくれば、思い出話をしながら一緒にゆっくり片付けをすすめることは、貴重な共有時間になるかもしれません。
古い写真や思い出の品のうち、どうしても手元に置いておきたいもの以外は、写真に収めてデータとして保管する方法もあります。
場合によっては、リサイクルショップで売れるものや、衣類であれば孫世代に古着として価値があるものもあります。自分の身の回りの物を「いらないもの」とされるより、「価値あるもの」として有効活用をすすめられたほうが、「誰かの役に立てるなら」という前向きな気持ちで手放せるはずです。
また、片付けのタイミングは、大掃除のときだけではありません。
例えば介護保険でベッドの入れ替えをする、ヘルパーさんが入ることになるなどのタイミングも、一つのきっかけにできます。
過去に、片付けができないご高齢者がテレビを買い替える際、以前より少し大きめのテレビを購入したことで置き場所をもっと広げたくなり、さらに観やすくしようと周囲をスッキリ片付けられたことがありました。
ご本人も、快適な環境で新しいテレビを楽しめるようになって、たいへん喜んでおられました。
このようにちょっとした状況の変化がきっかけで、片付けを始められることもあるのです。
別の見方をしてみましょう。片づけられていない部屋は、高齢者のSOSのサインとも考えられます。
先に挙げたように認知機能や身体機能の著しい低下等で、家族がしばらく会わないうちに一気に、家の中がごみやものであふれ返っていた例もあります。
室内にごみや不用品があふれていたり、害虫・害獣が発生している場合、日常生活や健康に支障をきたします。
程度がひどいと家族だけでは対応できないこともあります。とはいえ、そのまま放っておくと、状況がさらに悪化しかねません。
改善策を試してもうまくいかず、「セルフネグレクト」、あるいはそれに近い状態かも、と感じたら、早めに地域の地域包括支援センター、介護認定を受けていれば担当のケアマネジャーなどへ相談しましょう。
身心の具合によっては医療機関の受診も必要ですし、状態が思わしくなければ、不用品・片付けの専門業者に依頼したほうがよい場合もあります。
ご本人の意志を確認しながら片づけを進められることは、手伝う側にとってもよいコミュニケーションの機会となります。
一緒に過ごす時間で思い出を増やす、くらいの気持ちで、年末年始やゴールデンウィークといった無理のない帰省のタイミングで、少しだけでも取り組んでみませんか?
参考・出典
厚生労働省:高齢者虐待対応マニュアル掲載用 高齢者虐待対応関連Q&A
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/2-1.pdf
厚生労働省:セルフ・ネグレクトや消費者被害等の犯罪被害と 認知症との関連に関する調査研究事業」報告書
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000140351.pdf
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