2025.03.07

なんとかしたい! 親の介護での家族間トラブル ~解決のヒントと気持ちの整理~

なんとかしたい! 親の介護での家族間トラブル ~解決のヒントと気持ちの整理~

大切な親の介護で、介護を担う家族間での意見・役割の違いから起こる「感情的な対立」に悩む方がたくさんおられます。 介護は、担当する人に時間・体力・精神面で負担が続くため、できれば家族で助け合って協力し合えると、よい状況が生まれやすくなります。 今回は介護で起きる、家族間のよくあるトラブルについて、解決のヒントをお伝えします。

介護でよくある家族間のトラブル

家族で問題になりやすい状況として、たとえば


1.介護の費用負担について

2.介護(ケア)負担の偏り

3.介護の方針・方向性の違い

 

などが挙げられます。

 

まずは話し合いの場をつくる

 

家族間のトラブルは、まず「話し合いの場をつくる」ことが重要です。

なかなか時間が取れない、話してもきっと分かってもらえない、言いづらい……等、事情はさまざまにあると思いますが、そうした行き詰まった関係性に対してこそ、何らかの変化のきっかけが必要と言えます。

 

とはいえ、全員がそれぞれの立場や事情を主張し合っても、解決の糸口を見つけることは難しいでしょう。

それをやると結局は、家族の誰かが我慢や無理をし続ける状況になりかねません。

 

話し合う際には全員が、下記のポイントを意識して「相手の話(意見)を聞く」機会をつくりましょう。

 

【注意するポイント】

・人によって、介護に対する意識は違うことを知っておく

介護について「こうあるべき」と決めつけてしまうと、それを負担に感じる人もいます。
自分の「こうあるべき」な介護状況を目指すことは「ご自身の希望の介護像」と言えます。
ですので「私はこうありたい、こうしてあげたい……と感じている」など、『私の希望』として説明すれば、言い争いになりにくいので、話し合いを続けやすくなります。


・経済状況や生活状況の違い

それぞれの生活や経済状況を、外から見たイメージで決めつけないことが重要です。「余裕があるはず」「楽なはず」といった先入観を持つと、過度に期待してしまったり、相手に過剰な負荷をかける恐れがあります。

 

・これまでの関係性(かかわり方)

過去の関係から、感情面での『しこり』があるご家族もいます。傷ついた心や記憶は、すぐには消えてなくなりません。まずは「しこりがあるな」と感じる、その気持ちを否定しないことです。お互いに否定はせず、ただ単に『今回は家族の介護の話し合いであって、兄弟(姉妹)の感情をぶつけ合う場でない』と意識しながら話すことが大切です。

 

 

1.介護費用の負担:お金の問題は「ていねい」かつ「冷静」に

 
 お金の話はデリケートではありますが、できるだけオープンにすることで、皆が意見を出しやすくなります。
話し合いの前に、要介護者の現在の介護費や生活費、今後、必要になると思われる費用などを計算しておきます。そして全員で、その分担方法について話し合いましょう。

介護費用は原則、本人の収入(年金)や預貯金で費用をまかない、足りない分を家族が支援する考え方が一般的です。

このとき、皆で一律の額で分担することが、必ずしもよいとは限りません。遠方である、仕事が忙しいなどの理由で介護ができない人は、その分の負担を多くするなど、介護への貢献度で負担割合を変える考え方もあります。

 

親が安心して生活できるかどうかは、ある意味、ご家族全員の問題と言えます。のちの「財産」「遺産」云々の話とは別ものであると考え、まずは「現在と先々の、親の生活に必要な費用の話が大事」と割り切りましょう。

 

また、「もめたくない」「言い争いになるから」と消極的になって話さないままでいると、未解決の状態が続くかもしれません。話し合いの参加者全員が「何がいちばん良いのかを相談する場」と意識し、『本音』を感情的にならずに打ち明けることが大切です。

 

どうしても話し合いがうまくいかない場合には、法律の専門家(弁護士や司法書士、行政書士など)等の第三者へ依頼し、間に入ってもらうのも一つの方法です。また、「成年後見制度」のことは地域包括支援センターに問い合わせできます。

 

2.介護負担の偏り:「どうして私ばかり?」


「介護の負担」は人それぞれ違います。同じ介護度、同じ病気でも、または同じ人への介護を担当しても、人によって「たいへんさ」の度合いは変わります。介護者自身の心身の状態によっても、負担が日によって違うように感じる場合もあるでしょう。

また、身体のつくりが大きい要介護者へ対する介護では、介護者の体格や技術によって、違いが生まれます。さらに親との関係性が良い人と良くない人では、精神的な負担も違ってきます。

個々人の介護負担度の違いは、金銭負担のように「金額」などで表せないため、説明して共通理解を得ることが大切です。

 

介護の負担について話すときは、居宅サービス計画(ケアプラン)を参考にして、現在の介護内容をまず共有しましょう。

それぞれが一日・一週間・一ヶ月単位でどのように介護しているか整理し、

・「何を・どのように」しているか

・「なぜ」困っているのか

などをそれぞれの介護担当者が書き出しておかれることをおすすめします。

 

通院や、日常生活での介護についても「近くに住んでいるから、長男だから、娘だから」という理由だけで担わせているかもしれません。

実際の介護で無理がないか、過度な負担がないか考え、出来る限り「家族内で1人だけ介護負担が大きい」という状態にならないよう話し合います。家族で力を合わせても出来ない部分は、積極的に介護サービスを利用しましょう。

 

その上で、主に介護を担っている家族をきちんと精神的に支えることも大切です。

「○○ができていない」「もう少し○○してあげて」と、心配になる気持ちはわかりますが、毎日の生活の中で「満点」の介護を求められ続けるというのは、とても辛いものです。

万が一、きちんと介護ができていないようであれば、「介護負担が大きいのかもしれない」と考えてください。

そしてまずは「大丈夫?」「辛くない?」と声をかけてあげてください。介護を担う方には「自分が介護を引き受けたから」と責任を感じ、自らを追い詰めてしまう人が少なくありません。

また、全員が「介護の状況は変わる可能性がある」ことを覚悟し、変化に合わせて役割の交代・分担調整をすることが大切です。

 

3.介護の方針・方向性の違い

 
 介護を続けていると、「施設に入所する?」「在宅介護を続ける?」などや、「デイサービス、ショートステイを利用するかどうか」等、家族間で意見が対立することがあります。

特に認知機能の低下があると、本人の意思を確認することが難しいため、兄弟姉妹・親子間で感情的な対立が生じる恐れもあります。

 

この場合も、まずはそれぞれが良いと思う介護方法や施設について、できるだけ情報(メリット・デメリットなど)を集め、いったん全員で共有しましょう。主観的感覚でなく客観的な情報をもとに、各自の考えや状況を整理していきます。こうした介護方針や施設入所などについての問題は、ケアマネジャーや主治医など、専門家の意見を参考にすることをおすすめします。介護施設については単に入所を勧めるだけでなく、皆で一緒に施設見学へ行くのもよいでしょう。

また、施設や介護方針に関して疑問や質問があるときはケアマネジャーへ事前に相談し、関係者全員で話し合える「サービス担当者会議」を開いてもらいましょう。その場でお互いの現状を認識し合い、考え方の違いを理解してみることで、ズレが埋まることがあります。

 

4.家族の絆を大切に

 
介護をきっかけに家族の問題や利害関係が一時的に浮き彫りになってしまうと、嫌な思い、辛い思いをすることがあるかもしれません。

逆に、過去にはいろいろあったご家族同士が、親の介護をきっかけとして協力し合えるようになる場合もあります。何年も疎遠だったご兄弟が連絡を取り合うようになった、家族間で過去にわだかまりがあったものの、何度も話し合うことで誤解がとけ、それぞれがお互いへの思いを素直に伝えられた、という話もあります。

 

もちろん家族内にはさまざまな事情があり、すべてがそんな簡単に解決できるわけではないでしょう。

ですが、介護に関する家族会議は「誰が正しいか」「誰が悪いか」を決める場ではないですし、誰かを断罪する場でもありません。

介護担当でも費用負担でも、できないことでお互いを責め合うのではなく「どうすればいいか」を一緒に考えていくために会議を開くのです。大切な親のため出来ることを皆で持ち寄り、「皆で助け合う」という考え方が重要になります。

 

 

親の介護をきっかけにお互いを思いやり、尊重し合い、助け合う。それを実現するための話し合いの場を、外部の助けなども借りながらつくって、皆で積極的に問題解決へ取り組んでいただければと思います。

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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執筆・監修者

管理者

竹本さん

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