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2025.03.14
親との面会拒否、介護方針の対立等、介護のトラブル ── 調停で解決できること
介護における家族間トラブルは、深刻な事態になるケースが少なくありません。「費用を誰が負担するか」「親と面会できない」「介護方針で意見が対立する」などの問題で「どうしていいかわからない」「身近に頼れる人がいない」という状況なら、家庭裁判所の調停を利用する方法があります。今回は「介護のトラブル」を調停してもらうことについて、簡単にご説明します。
家族内の介護問題では、ときに根深い対立が生まれて話し合いすらできないケースがあります。また、対立が長引くことによって、意見の取りまとめ役の人が体調を崩すこともあります。
家庭裁判所は、そうした家族間トラブルを「調停」の形で仲裁し、解決のサポートを行います。
「調停」とは、裁判官と調停委員が「当事者間の話し合い」を促し、合意での解決を目指すものです。
裁判官や調停委員が非公開の場で、当事者同士の言い分をよく聞いて、中立的な立場から法的助言や解決策提示をしてくれます。
〇介護の負担や費用の問題
・介護に協力しない家族の存在(負担の偏り)
・親の介護費用を誰がどれだけ負担するか
・メインの介護者が介護離職したことによる収入減少について
〇介護方針の問題
・自宅介護を望む家族と、施設入所をすすめる家族の対立
・介護方針やサービス内容、施設選びなどでのトラブル
・医療方針や終末期の医療行為に関する意見の相違
〇親族関係の問題
・一方的に親との面会を拒否される、親と連絡がとれない
〇財産管理や契約の問題
・親の財産管理、使い道、介護の契約などについての対立
【具体例】
・父親が認知症で金銭管理が難しくなってきた。長男が父の預貯金を管理しているが、父の介護や生活費以外にも使用しているようだ。ほかの兄弟姉妹が不信感を持ち、財産管理で意見が対立している。
・母親の介護で兄弟姉妹の意見が対立。話し合いでは感情的になって意見がまとまらない。
上記のような扶養、財産、成年後見などの問題は、内容が複雑なうえ法的判断も必要です。そのため、調停を受けたほうが冷静に話し合えることがあります。
①申し立て…家庭裁判所に調停の申し立てを行う
費用:調停1件につき収入印紙1200円(ほかに郵便切手が必要)
*詳しい申し立て方法や必要な書類については、家庭裁判所の家事手続案内*1へご相談ください。
*1)「家事手続案内」では,家庭内や親族間における問題を解決するために家庭裁判所の手続を利用できるかどうか,利用できる場合はどのように申立てすればよいかなどを、説明・案内してもらえます。「家事手続案内」の時間は,1件あたり20分以内が目安。案内を受けるための受付時間は家庭裁判所によって違うので,あらかじめお近くの家庭裁判所に問い合わせるか,各家庭裁判所のウェブサイトなどで確認してから窓口へ行きます。
(裁判所:家事手続案内 より改変 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_02-01/index.html)
②調停期日の調整…裁判所が当事者双方の都合を確認し、調停期日を決定
③調停期日…調停委員が当事者双方から事情をていねいに聞き取り、話し合いを仲介
④合意成立…話し合いの上、当事者双方が合意すれば調停成立。合意内容が調停調書に記載される。この調停調書には法的拘束力があるとされる
*調停で合意して調書に記載された約束が,後日、守られない場合は,家庭裁判所に申し出ることで履行を促してもらえます。
⑤調停不成立…合意に至らない場合は調停不成立となり、終了、もしくは審判や裁判へ移行
*自分の思い(主張)を整理しておく
限られた時間で要点を冷静に話すことは、簡単ではありません。これまでの経緯や自分の主張、望む解決策は何かなど、わかりやすく簡潔に説明するための整理と準備は必要です。
*話し合いでは相手の意見も受け止める
調停は、どちらが正しいかを審判されるのでなく「話し合いの場」であると理解しておきましょう。自分の思いや主張だけでなく、相手の意見も冷静に聞き、解決するためにお互いが歩み寄る姿勢が大切です。
*調停委員のアドバイスを受け入れる
トラブルを解決するため、調停委員の公平中立な立場からの意見を受け入れる姿勢が大切です。「家族にしかわからない」面があるのは当然ですが、主義主張にこだわると状況が変わりません。
*調停には時間がかかることがある
調停は一度で合意できるとは限らず、合意に向け何度も話し合いが行われることもあります。その場合、日程の調整にも時間がかかることがあります。
*「調停」そのものが家族・親族関係をぎこちなくすることも
ほかの家族や親族に調停の目的・意義を理解されないと「家の問題を大ごとにして」などとマイナスにとらえられ、関係がぎくしゃくする可能性があります。
*必ず解決するとは限らない
調停は「当事者間の合意を目指す手続き」であるため、合意に至らないこともあります。
調停では、対面での話し合いを拒否できます。以前、ご高齢のご利用者様の、娘さんとの調停手続きに付き添わせていただいたことがありますが、何度か調停を重ねられる中、最後まで娘さんと対面で話される機会はありませんでした。ご本人はそれをとても残念がっておられました(顔を見たいという思いもお持ちだったようです)。しかし、同席(対面)がない事実を一つのメッセージとして受け止め、冷静に考えるための材料とされていました。
介護に関する家族のトラブルは、一人で悩まず第三者へ相談することをおすすめします。ケアマネジャーや地域包括支援センター、法的問題なら法テラスなどにも相談できます。
それでもなお話し合いの仲介が必要と感じたら、「家庭裁判所での調停」を検討されてみてはいかがでしょうか。
裁判所:家庭裁判所の調停(家事調停)とは
https://www.courts.go.jp/kanazawa/vc-files/kanazawa/file/106054.pdf
裁判所:調停委員
https://www.courts.go.jp/saiban/zinbutu/tyoteiin/index.html
裁判所ホームページ:裁判手続き家事事件Q&A:第7 扶養及び親族について
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_07_06/index.html
裁判所:家事手続案内
https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_02-01/index.html
裁判所ホームページ:調整手続きの流れ
https://www.courts.go.jp/kyoto/saiban/katei/kaji_tyoutei_flow/index.html
公益財団法人 日本調停協会連合会
https://www.choutei.jp/familyconciliation/flow/index.html
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