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2025.03.21
介護と育児のダブルケア ── ひとりで頑張るあなたの為に大切なこと
現代は晩婚化、出産年齢の高年齢化、親の高齢化に伴って、介護と育児の期間が重なる「ダブルケア」と言われる状態の人が増えています。けれどもその実態や大変さについては、まだあまり知られていません。 ここでは、介護と育児を並行して行うダブルケアの状況や対応策についてお伝えします。
ダブルケアとは、主に「介護」と「育児」という2つの大きなケアを、同時期に行う状態のことをいいます。
内閣府の調査によると、日本の平均初婚年齢は妻が約30歳、夫は約31歳で、第一子出生時の平均年齢は約31歳です。
第一子出産時年齢は1985年に26.7歳でしたが、2022年には30.9歳となり、晩婚化とともに出産年齢も上がっています(内閣府 こども家庭庁:参考資料1.結婚に関する現状と課題について.pdf)。
そのためにどうしても子育ての時期と親の高齢化の時期が重なって、介護と子育ての「ダブルケア」になりやすい状況です。
ダブルケアを行っている人は30代~40代が多く、その数は女性17万人、男性8万人と推計されていますが、実際にはもっと多いであろうと考えられています。
子育ては身体的、精神的、金銭的な面で子供へのケアが必要です。そうした時期に高齢者への「介護」というケアが加わると、担う人の心身が疲弊してしまう場合も多いのです。
40代女性の実例を挙げてみます。
彼女には小学生の子供がいて、将来の学費や生活のために仕事に就いています。
そんななか、近くに住む母親が認知症、かつ、父親では介護が難しい状況となりました。母親の認知症が進むにつれ早朝や夜間も呼び出されるようになり、女性は睡眠不足と疲労で限界に近い状態となりました。
家事、仕事、母親の通院介助、介護サービスの調整。子供の習いごとの送迎、学校行事への参加。毎日がフル回転で身体は辛いのですが、仕事を辞めると経済的に困窮するため、どうしようもないと感じてイライラが募ります。
さらに子供は学校を休みがちで気になるものの、ゆっくり話をする時間も余裕もありません。
このようにダブルケアは、介護と育児、それぞれのケアの持つ困難さが複雑に絡み合って、さらに大きな負担や苦しみへつながりやすくなります。
無理をしてダブルケアを続けると、介護者にさまざまな影響が現れる可能性があります。
【考えられる影響】
〇健康面
・睡眠不足、疲労の蓄積、体力消耗による体調不良
・介護と育児のストレスや不安、イライラ、抑うつなど、精神的に不安定となる
・自分のことを後回しにして、健康管理がおろそかになる
〇経済面
・介護費用や医療費が増えることによる支出の増加
・介護離職やパートなどへの勤務形態変更による収入減少
〇将来の生活設計
・子供の教育・養育費用への影響
・自身の老後資金への不安
・介護離職によるキャリア喪失、ブランクがあることによる再就職の難しさ
・いつまで続くかわからない介護への不安
また、ダブルケアでは「主介護者でなく、こまごまとした面のサポート役として介護や育児を担っていて、その大変さが周囲に理解されにくい」という場合もあります。
【例】
①育児で仕事の時間を短縮していたら、近くに住む義親が要介護となった。夫や夫の兄弟姉妹から「手の空いている時は頼む」と言われて手伝ううち、通院やデイサービスのお迎えなどが自分の担当になっていった。介護が嫌なわけではないが、徐々に増える役割に不安やストレスを感じる。
また、子どもを保育所に預け、介護・家事・仕事・育児を必死でやりくりしているが、その大変さを周りに相談しても「子育て中はそんなものよ」などと言われるだけで、わかってもらえない孤独を感じる。
②夫を介護しているなか、娘が鬱状態になり、孫の世話も担当に。介護の合間に、小さい子供の世話、娘への気配りなど、体力的にも精神的にも負担が大きい。最近はイライラしたり、物忘れの症状が出るようになってきた。
ダブルケアで悩むのは、介護や育児を自身のことより優先し、負担やストレスを明らかに感じても我慢して受け入れる、真面目で心優しい人が多いのではないでしょうか。
また、育児仲間の友人へ連絡・相談する余裕や時間もなくなることで、孤立感や孤独感につながりやすくなります。
当事者は、まず、自身の辛さや疲労の原因がダブルケアであることをしっかり認識する必要があります。「介護や育児は家事の一部」「家族や家庭の問題」としてしまうと、負担や辛さを感じても「頑張りが足りないだけ」「親子だから(嫁だから、妻だから、夫だから)当たり前」と責任ばかり感じ、助けを周囲へ求めにくくなる傾向があります。
実際、「何もないのに、涙が急に出てくる」「やる気が起こらない」となって初めて、「私はダブルケアが辛いのだ」と気づく方も少なくありません。
なかには、周囲の心配する声を「私が頑張っているのに、できないと否定されているみたい」と、逆に、うとましく感じていた人もいました。
また、ダブルケアに限らず、介護や育児では「満点を求めない」ことも重要です。満点の介護や育児を目指すあまりに疲弊して、自分が体調を崩しては、元も子もありません。
介護・育児・仕事などの悩みは一人で抱えず、早めに周囲へ相談することや支援を求めることが大切です。
【介護】
地域包括支援センターや担当ケアマネジャーに相談し、デイサービスやショートステイの利用など、介護負担の軽減策を一緒に検討しましょう。
介護保険サービスの利用だけでなく、地域ボランティアの活用、サポート事業の利用などについて情報をもらえるはずです。最近はダブルケアの専用相談窓口を設けている市町村もあります。
また、介護費用についても、高額介護サービス費申請など、負担軽減策を相談できます。
【育児】
市区町村の子育て支援の窓口、ファミリーサポートセンター、児童相談所などで、利用できるサービスやサポート体制について、情報をもらったり相談ができます。
ほかに、ダブルケアの経験者との交流会などで、悩み相談や情報交換をする方法もあります。
行政のサービスだけでなく、自費サービス(ベビーシッターや家事代行サービス等)なども併用できれば、さらに負担を軽くできます。
・育児・介護休業制度の活用
・時短勤務やフレックス、テレワークなど柔軟な働き方について、会社の上司や企業の相談窓口へ尋ねましょう。
ダブルケアの問題解決には、家族内や周囲へ「ダブルケアという共通認識」を広めることが必要です。そのためにも早いうちから、介護や育児を家族で役割分担することを相談し、周りのサポートや公的サービスを積極的に利用しましょう。
そして介護が辛いと感じたら、どうぞケアマネジャーや地域包括支援センターにまずご相談ください。
【参照】
東京商工リサーチ 介護離職についてのアンケート
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1198090_1527.html
内閣府:「育児と介護のダブルケアの実態に関する調査」 (内閣府委託調査:株式会社NTTデータ経営研究所実施)
https://www.gender.go.jp/research/kenkyu/pdf/ikuji_point.pdf
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