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2025.04.18
認知症対応型デイサービスとは? ~ご本人とご家族への、笑顔とやすらぎを~
社会の高齢化により、認知症と軽度認知障害の高齢者数は増加し続けており、ご家族を含めた支援への社会的ニーズはますます高まっています。認知症対応型デイサービスとは、認知症の方に合わせた専門ケアを日中に提供して、ご本人の穏やかな生活とご家族の介護負担軽減をサポートするものです。介護保険制度が適用される、この日帰りサービスの内容や特徴をご紹介します。
そもそもどうして、一般的なデイサービスだけでなく「認知症対応型」のデイサービスも必要なのでしょうか。
認知症になると、記憶や判断力、時間や場所の感覚などが、ご自身でも気づかないうちに変わりやすくなります。そのため一般的なデイサービスだと、集団活動へ参加し続けることや、他の利用者との関わり方が難しくなることがあります。
認知症対応型デイサービスには、認知症の方の特性を理解できる専門的知識と技術をもつスタッフがいるため、利用者一人ひとりの状態に合わせて細やかにケアができる、とされています。
認知症対応型デイサービスと一般のデイサービスでは、主に次のような違いがあります。
【専門性の高いスタッフの存在】
認知症対応型デイサービスには「認知症ケアへの知識と経験がある専門職種の人員」を置くよう、規則で定められています。そうしたスタッフによる、認知症の多様な症状や進行段階に応じた適切なケアが行われます。
【認知症の症状や進行に特化したプログラム】
認知症の利用者それぞれの症状や行動、心身の様子に応じた、専門的な個別プログラムが提供されます。これによって、利用者の認知機能の維持・改善、BPSD(行動・心理症状)の緩和、社会性・生活意欲の維持向上を目指せるとされます。
【安全に配慮した環境】
認知症の方が落ち着いて過ごせるよう、屋内外の色彩や照明を工夫しています。また、施設では通常、手すりや床材、物の配置や動線などで、安全へ配慮した環境整備がされています。
【家族に対するケアや情報提供】
認知症ケアでは、家族に対するケアも大切とされます。家族会や定期的な情報交換、介護相談などを通じて、家族への精神的なサポートや在宅介護に関するアドバイスを、専門スタッフが提供します。
ここで、標準的な認知症対応型デイサービスで行われていると思われる、具体的な取り組み例をいくつかご紹介してみます。認知症対応型デイでこれらすべてを網羅するわけではなく、利用者の状態などに合わせて、適したプログラムを組み合わせています。
【認知機能訓練】
回想法、脳トレーニング、音楽療法等、リアリティオリエンテーション等
*回想法
過去の経験や思い出を共有することで、脳の活性化、精神的な安定、コミュニケーションの促進などをはかる心理療法の一種です。
たとえば、昔の地域祭りの写真やニュース映像を見たり、昔ながらのお菓子を食べたりしながら、当時の思い出や話題を記憶から引き出し、自分のエピソードや感じたことを共有します。
*音楽療法
懐かしい童謡・唱歌や流行した歌を聞いたり、みんなで歌ったりします。当時の記憶を想起し、一体感や感情表現を高めるとされます。
また、音楽に合わせ、簡単な楽器(鈴やタンバリン等)を演奏したり、リズムに合わせて手拍子したり身体を動かしたりすることで、手指の運動や身体的刺激にもなります。音楽療法士による指導が受けられる施設もあります。
*リアリティオリエンテーション(現実見当識訓練)
日常会話の中で、現在の日時、場所、人物などの現実感覚を繰り返し伝えることで、見当識障害による混乱・不安の軽減を目的とした訓練です(「見当識障害」とは、季節、日時、場所、目の前の相手が誰かなど「今の状況・状態」がわからなくなる障がいのこと)。
たとえば、デイサービスの始まりで、スタッフは利用者へ「今日は××年●月□日、■曜日です」「ここは △△市(区町村)の▲▲デイサービスです」などと、日時、曜日、場所をしっかり伝えます。現在の季節が意識できる飾りつけや、季節感のある写真を利用したカレンダーを飾って、毎日、日付を確認するなどの方法も取られます。
また、スタッフや利用者の名前をわかりやすく表示したり、日常のあいさつ・声掛けの際に「○○さん、おはようございます。今日は良く晴れていい天気ですね」などと、今が午前中で晴天であることを伝えられるよう、会話の言葉を意識して選びます。
【行動・心理症状(BPSD)緩和ケア】
感覚統合療法やアロマセラピー、個別対応等が行われます。
*感覚統合療法
味覚や触覚などの五感だけでなく、室温や湿度などを感じ取る、自分の動きや身体の平衡、位置を感じ取る、身体にかかる荷物の重さなどを感じ取る。このような「外部の刺激を感じ取ること」、「自身の動作や姿勢、状態を感じ取ること」は、高齢になるにつれその力が衰えます。認知機能と感覚は深い関係があって、認知症になることで様々な感覚機能が低下します。ですので、適切に感覚機能を刺激することで、認知症状にも影響を及ぼして和らげる効果があるとされています。
「感覚統合法」は、それらを運動や刺激などで取り戻すために考案された療法です。香り当てゲーム、キャッチボール、バランス運動など、ゲームや運動の形で行われることがあります。
【日常の生活動作に関する訓練や指導】
機能訓練や生活リハビリを理学療法士や作業療法士の指導のもと、行われます。
例えば、食事のときに箸やスプーンを使いやすくするための練習や、食事中によい姿勢を保つ練習、安全に入浴できるような声掛けやアドバイスを行います。
また、買い物や簡単な調理(お茶を入れる、おにぎりをつくる、野菜を切るなど)を一緒にしながら、手順を記憶してもらい、安全に行えるよう練習します。
【その他】
ほかにも、書道、園芸、手芸、絵を描くなど趣味活動で自己を表現してもらい、感情の発散を促します。
認知症の方は、筋力向上のトレーニングを行うのが難しいケースも多いため、皆で行う体操やレクリエーション、ゲームなど、自然に身体を動せるよう意図したプログラムを実施します。
また、地域の活動や行事などに加わることで、社会参加や世代交流を促進する取り組みも見られます。
さらに
*個別的ケア:穏やかな環境での休息、個別的な声掛けや見守り
*食事・入浴サポート:栄養バランスに配慮した食事の提供、安全な入浴のための介助
なども行われているようです。
【家族・介護者の悩み相談】
ご家族の方も、スタッフへ認知症に関する悩みや不安を相談できたり、専門的なアドバイスや専門知識・技術に基づいたサポートを受けられることが多いので、安心して在宅介護を続けられます。
認知症対応型デイサービスでは、施設によって、専門職の配置が違っていたり(運動療法士や心理の専門家が定期的に来るなど)、専門的プログラムの内容に違いがあります。全般的に見ると、安全に配慮した環境で、認知症に特化したプログラムと専門性の高いケアが受けられると言えます。
認知症の方とそのご家族にとって、単に「日中を過ごす場所」だけでなく、多様な活動や温かい交流を通じて、安心と希望を提供してくれる場所とも言えます。
認知症の高齢者の方がいるご家族から、ご本人が認知症の症状の表れで一般デイサービスの雰囲気に「なじめない」と感じられ、他の利用者との交流もうまくいかなくて、デイサービスに通うのが嫌になってしまった、などのお話を聞くことがあります。
そんなとき、「本人の問題だ」ととらえしまうご家族はどうしても多いでしょうが、その一般デイサービスで提供されているプログラムやシステムを、この機会に、一度見直してみてはいかがでしょうか。もしかすると、上記のような認知症対応型デイサービスであれば、続けてご利用いただけるかもしれません。
一度、お近くの認知症対応型デイサービスを見学されてみることもおすすめします。
ケア21でも認知症対応型のデイサービスを提供しています。
所在地と簡易説明があるサイトページをお知らせいたしますので、よろしければご参照ください。
参考:
厚生労働省:認知症及び軽度認知症外(MCI)の高齢者数と有病率の将来推計
https://www.mhlw.go.jp/content/001279920.pdf
厚生労働省:認知症対応型 通所介護
https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/pu/group10.html
感覚刺激を含む介護行為による認知症の進行予防効果に 関する介護職員の認識~介護行為の状況の比較から~小車 淑子 松山 郁夫
https://saga-u.repo.nii.ac.jp/record/23350/files/oguruma_201209.pdf
(上記は佐賀大学の各種論文の掲載サイトで、クリックすると「oguruma_201209%20(2).pdf」というPDF形式の論文ファイルをダウンロードし、読める形式になっています)
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