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2025.04.25
介護の悩み:介護を担う若い世代…家族への思いと将来への不安や葛藤
少子高齢化が進む今、親や祖父母への在宅介護で就学・就労の機会を失い、将来への不安を抱え、悩む、20~30代の若者がいます。今回はそうした進学・就職の節目に立つ若い介護者の、介護負担について考えていきます。
在宅介護で、時折、子どもや若者が日常的に、過度な介護や家事などを担っていても、家族や親類、本人ですらそれを「お手伝い」「家族の役割」ととらえて、家族全員が状況の問題点に気付かないことがあります。
このような状態の子供や若者は「ヤングケアラー」「若者ケアラー」などと呼ばれ、その問題に近年、社会的注目が高まっています。
こども家庭庁によると、ヤングケアラーとは「家族の介護その他の日常生活上の世話を過度に行っていると認められる子ども・若者」とされており、その数は、中学生では17人に1人、高校生では24人に1人とされています(厚生労働省調べ)。また、日本ケアラー連盟では18歳から概ね30代までのケアラーのことを若者ケアラーと定義しています。ここでは特に、その「若者ケアラー」について考えていきます。
家庭で、子どもや若者が家事や介護の一部を担ったり、手伝ったりすること自体は、とくに問題ありません。実際、祖父母や親を大切に思う自然な気持ちから介護に取り組んでいる人は多くいます。
しかし、なかには介護を最優先し、自分の思いや希望を封じてしまい、進学や就職をあきらめる若者ケアラーがいます。介護は状況が変わりやすく、年々、介護負担が増える可能性もあるため、若い人がふつうはあまり感じない精神的ストレス、孤立感、孤独感などを抱えやすくなります。
実際、「自分だけが取り残されているように感じる」「働いて収入を得たいけれど、自分が就労してしまうと、家族みんなが困る」といった切実な悩みをご相談いただくことがあります。
家族にはわがままを言うようで相談できず、親族からは「すごいね、しっかり親を助けてあげないとね」などと、かえってプレッシャーになるようなことを言われたりもするようです。友達に話しても共感があまり得られなくて結局、自分一人で悩みを抱えてしまいがちです。
その結果、自分の願望や希望、思いを持つことを「わがまま」と思い込んだり、自分の望みを優先することに罪悪感を抱いて「自分だけ幸せになってはいけない」などと思い詰めてしまったりもします。
若者が「家族の一員」としての役割意識を持つこと、その思い自体は大切です。
ただそれが「自己犠牲」や「自己否定(どうせ私は~だから……)」などの形で継続すると、将来的に心身の健康を害したり、自分の人生への挑戦の可能性を損なう恐れがあります。そうならないため、現在の介護状況をいったん、客観的に見直してみましょう。
高齢者の介護は、一般的な想像以上に大変です。たとえそれが排泄や入浴の介助などではなく、見守りや食事準備、通院の付き添いであっても、時間の確保や気持ちのうえでの負担はかかります。
家庭の都合に子どもが応じてくれ、家事や介護を担ってくれるのは、家族にとって確かにとてもありがたいことです。ですが、最初は介護の「見守り」「お手伝い」程度だったものが、事情が変わると「あれも、これも」と、少しずつ負担が増えてしまう可能性もあります。
そうしたとき若者ケアラーが、自分の体調や希望、将来の展望について、周りの大人へきちんと気持ちを伝え、介護負担について皆で再検討できるようであれば、問題ありません。
しかし社会経験の少ない若者が、介護をしながら勉強したり就職活動をしたり、さらに段取りを考えて都度の状況判断をしつつ、計画をきちんと遂行して……という状況を続けるのは、実は難易度がかなり高いと思います。
たとえ本人が自然に、介護負担を受け入れているように見えても、周囲の大人の「家族だから当たり前」という都合や解釈が、無言の圧力や決めつけとなっているかもしれません。
若者ケアラーがきちんと自分のこと、自分の未来を考えられているか。その時々の思いを、親や家族へ素直に伝えられているか。周りの大人は、注意をはらい続けることが必要です。
そもそも、介護を担っている人は「疲れた」「辛い」と感じても、その状況自体を疑問に感じたり、自分の本当の気持ち、願望、必要性へ目を向けることは少なく、どちらかといえば「自分がやらないと」「私がやるべきだ」という気持ちで自分をしばりつけ、追い込んでいる面も強いようです。
介護を担っていても、現在の自分にとって必要なことやしたいこと、楽しみ、将来の夢や希望、可能性を考えることは、とても重要です。すぐに実現・実行することは難しくても、外部の各種サービスや支援を利用して、状況改善に取り組むことは可能です。自身の心や身体、将来の生活について、考えるタイミングを持つようにしましょう。
介護は確かに、家族・家庭の問題です。けれども家族は、それぞれが社会の一員でもあります。
一人ひとりが社会とつながり、交わっていることで世の中が成り立っていることを考えると、介護は実は、家族内だけの問題ではないとも言えるのです。
介護のために、学業や仕事に支障が出ている。進学・就職ができない。夜、眠れない。身心ともに、とにかくつらい。こうした悩みがあれば、遠慮なく、自分から進んで周囲へ相談しましょう。家族や親戚だけでなく客観的な視点も必要ですので、まずは、学校の先生や職場の上司、相談窓口、地域包括支援センターや担当のケアマネジャーなどに相談しましょう。介護保険サービスや公的支援、地域の社会資源などを活用すれば、問題点の解決を図る方法を見つかる可能性が高まります。
介護の合間に自分で、学費負担や介護費用負担を軽減できる制度、介護休暇や介護休業、勤務時間の調整など、公的な制度も含めて調べてみましょう。自分で調べることが難しければ、上記の相談窓口で情報提供を受けることも可能です。
介護を受けている人(要介護者)の周囲の人は、介護を担う人の中に、ヤングケアラー、若者ケアラーがいないかどうかを注意して、必要があれば状況を確認してみることが大切です。
介護サービスにおいても、計画書に通院やデイの送り出し、見守り、朝の準備など「家族による介護」などと記入されている場合は、それを担っている人がどのような状況にいるのか、どのような思いがあるのかなどに、心を向けてみてください。
介護を担う子供や若者の、「家族を大切にしたい」という思いやりと、「自分自身を大切にすること」「自分の夢や将来の事を考えること」を両立させるためには、周りの大人の支援が不可欠です。
なかには、自分の意思でいろいろ考えた末、ケアラーとして介護を担う若者もいることでしょう。そのような人へ、単に若いからと「自分のことを優先して」と伝えても、大人の思いや心配はなかなか届きません。
ただ、そのような若者でも先々、事情や状況が変わる可能性があります。その際にしっかりと、改めて介護について話し合い、他の選択肢や代替え策を考えられる「土台の環境づくり」は大切です。ぜひ、検討してみてください。
参照 :*1 日本ケアラー連盟:若者ケアラーとは
https://carersjapan.com/about-carer/young-adult-carer/
厚生労働省:ヤングケアラーに関する小・中学校教職員の認識
https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000753054.pdf
文部科学省ホームページ:令和2年度調査研究(報告)*三菱UFJリサーチ・コンサルティング:ヤングケアラーの実態に関する調査研究 報告書
https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2021/04/koukai_210412_7.pdf
こども家庭庁ホームページ:ヤングケアラーについて
https://www.cfa.go.jp/policies/young-carer/
厚生労働省:ヤングケアラーの実態に関する調査研究について
https://www.mhlw.go.jp/content/11907000/000767891.pdf
日本ケアラー連盟:若者ケアラーとは
https://carersjapan.com/about-carer/young-adult-carer/
政府広報オンライン:「ヤングケアラー」を知っていますか? ヤングケアラーを支える取組と私たちができること
https://www.gov-online.go.jp/article/202312/entry-5265.html
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