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2022.11.01
認知症って老化?病気?認知症の特徴と種類、6つの予防策について
高齢になるとともに上がる認知症のリスクと、その特徴や種類、また予防策についてまで解説します。認知症のことが何となくわかる方から、全く分からない方までご参考に頂けると幸いです。
認知症は、老化と密接な関連はありますが、単なる老化ではなく病気です。認知症とは、認知症状が現れるいくつかの病気の総称です。その中で最も多いアルツハイマー型認知症は、加齢に伴い出現する脳内物質が異常に増加して脳が障害を受け認知機能の低下をきたす病気です。いうなれば認知症は、長生きすれば、誰にも起こりうる病気です。
認知症は年齢が上がるごとに認知症の有病率は上がっていきます。65歳では1.5%の有病率に対し、85歳以上は約半数の高齢者の方が認知症になってしまうことが分かっています。
認知症とは、一旦正常に発達した知的機能が持続的に低下し、
と定義されています。
生まれつき知的機能が低下しているのは、発達遅滞とよび、脳炎などの病気や外傷で知的機能が低下したものは、疾患や怪我からくる後遺症であって、いずれも認知症とは言いません。
記憶は、短期記憶と長期記憶に大まかに分かれますが、具体的には、
「その日の朝食を取ったことを忘れた」「数分前に話した内容を覚えていない」
などを短期記憶の障害といい、今さっきのことを覚えていないのに、小学校時代や若かったころの話は鮮明に覚えているというような状態が認知症でよく見られます。ちなみに長期記憶は認知症がかなり進行するまで残り続けています。
<物忘れと認知症の違い>
加齢によるものは出来事の一部を忘れますが、認知症の人は、自分の体験したことや出来事の全てを忘れます。これをエピソード記憶の障害と言います。
例えば昼食を数人の友人と取った直後、
「ある人の名前をどうしても思い出せないが、昼食を取ったことは覚えている」
というのは健常者の物忘れです。
ところが、
「昼食を取ったこと自体を忘れてしまう」
のが認知症のもの忘れです。こうなると、日常生活・社会生活に支障をきたすようになります。
現在の体験は常に過去からの延長戦上にあって未来へと続きますが、認知症の人はすっかり忘れ去られるので、過去から未来へと続く帯が線ではなく「不連続な点」になります。
そのため、
になったりして、認知症の行動心理症状・周辺症状のきっかけになります。
また、加齢による物忘れは自分で気づいて自覚していますが、認知症の場合、自分の物忘れを自覚出来ず、健康の変化や、病識を持つことが難しくなります。
軽度認知障害(MCI)とは「 Mild(軽度)」「 Cognitive(認知)」「 Impairment(機能障害)」の頭文字をとったものです。正常老化と認知症の間の「軽度認知障害」のことをいいます。認知症とは通常、正常の老化の状態から発症するのではなく、いつともなく正常的な老化から外れて進行します。
MCIの定義は、
というものです。
MCIの時期は、もの忘れや理解力の低下があっても日常生活は自立しているため、「年のせい」と考えてあまり気にかけないことが多いのですが、MCIの人の約10%~30%がアルツハイマー認知症に移行するという報告もあります。
しかし認知症の予防として防御因子になる活動を積極的に行ったことで、正常化に戻った人も報告されています。5年後に38.5%が正常化したという報告もあります。
認知症の予防策としての防御因子を説明していきます。
高血圧、脂質異常症、肥満、糖尿病を持っている人はこれらを治すこと、症候群を予防することが大切です。生活習慣病は血管性認知症の危険因子ですが、アルツハイマー型認知症の発症を早めることも最近の医学で明らかになっています。
例えば高血圧は生活習慣病の前兆と考えてかかりつけ医に相談してなるべく早期に高血圧を発見し、適切な検査や治療をしておくことが大切です。
文章を読んだり書いたり、碁、将棋、トランプなどのゲームや楽器の演奏などの知的活動は認知症の危険度を低めると言われています。
栄養面では、アルツハイマー型認知症の予防として、不飽和脂肪酸と抗酸化作用を持つ食品が有効です。
魚に含まれるDHAやEPAはアルツハイマー型認知症の危険度を減らすことが知られていて、赤ワインに含まれるポリフェノール、野菜や果物に含まれるビタミンE,ビタミンC、ベータカロチンなどの抗酸化物質の摂取が発症の危険度を低下させることが報告されています。
つまり、肉食よりも魚をメインとして緑黄色野菜を多くとり、偏食を避けて、1日に30品目程度の種類の食品をメニューに組み込み、取る事が理想なのです。
運動習慣をもつ人は、もたない人に比べてアルツハイマー型認知症の発症が少ないことが分かっています。
体操やジョギング、水泳、テニスなどを楽しくやることが習慣として長続きしますし、ウォーキングなら手軽にできるのでお勧めです。若いうちから、自分にとって無理せず楽しむことが出来るトレーニングメニューに取り組んでみても良いかもしれません。
睡眠は、長さよりも規則的な睡眠ができるようにすることが大切です。
最近注目されるのが、6番の「笑い」がとても良いとされていることです。みんなとおしゃべりするだけで効果があります。人とのコミュニケーションの場を積極的に作りましょう。
人との会話やお出かけや散歩もとても重要で、マンネリ化した日常から解放され、会話の中で相手を気遣ったり、自分の存在を自覚できたり脳に非常に良い影響を与えます。
笑いが「認知トレーニング」になるのです。是非今日から実践してみてくださいね。
日本人の多い4大認知症について理解を深めましょう。
<4大認知症>
認知症はそれぞれのタイプによって症状の特徴があり、その原因疾患によって 様々な症状や薬物療法、またケアサポートの手法があります。
「認知症」という一つの括りにしてしまうと、適切な介護や見守りができません。大切な人が認知症になってしまった時、
医療や介護の専門家や本人と話し合ってこそ適切な介護ができて、本人や周りの人にとって暮らしやすい生活を実現できるのではないでしょうか。
それでは、4大認知症を詳しく学んでいきましょう。
最初はアルツハイマー型認知症です。
アルツハイマー型認知症は、緩やかに発病していきます。進行も緩やかです。
症状は、
の3つが主なものです。
これらの症状は図のように病変の進行に伴って、
「軽度→中等度→高度」へと進行していきます。
アルツハイマー型認知症は、認知障害が始まり、末期、そして死亡に至るまでの全経路は多くは10~15年で、平均8年位とされています。
では、症状について詳しく学びましょう。
中核症状の特徴の一つは「記憶障害」です。
記憶障害とは、言われたことや言ったことなどをすぐ忘れることです。新しいことが覚えられない、最近のことが思い出せないなどの症状が出ます。
例えば
などが思い出せなくなります。
特徴的な記憶障害としては、「エピソード記憶の障害」が上げられます。これは、「体験した出来事全体を忘れてしまう」もので、
を忘れてしまいます。
人間の記憶の分類としては、短期記憶と長期記憶に分けられます。
<短期記憶>
情報を保持する時間が数分単位の記憶を指し、さらに短く数秒から1分間ほどしか保てない記憶を即時記憶と言います。
<長期記憶>
「近時記憶」と「遠隔記憶」があり、近時記憶は”記憶の保持が数時間から数日のもの”を指し、遠隔記憶は”記憶の保持が数週から数十年のもの”を言います。
認知症の初期のころは遠隔記憶が保持されますが、進行するにつれて近時記憶の低下に加えて遠隔記憶にも障害がおよび、妻や夫、子供の名前、自分の職業も思い出せなくなります。その他の中核症状として「認知機能障害」があります。
<実行機能障害>
初期によくみられる症状です。手順を踏んで作業をすることが出来なくなります。
例えば、料理の食材を揃えて適当な大きさに切ったり刻んだり、鍋に入れて煮たり焼いたりして、調味料で味付けし、盛り付けるといった一連の作業です。
<見当識障害>
失見当とも言って
の障害が起こります。
時間、季節、年次もわからなくなり、自分の年齢もわからなくなったりします。また、歩いて行けそうにもない場所に向かって歩き始めたりします。
症状が進むと、周囲の人との関係が分からなくなり、自分の子供の顔や名前が分からなくなります。
<失語>
初期に起こる脳の障害です。アルツハイマー型認知症では、感覚性失語と言って、流暢にしゃべりますが、無意味な内容で、会話が成立しないこともあります。
<失認・失行>
脳の神経細胞のネットワークの障害によるもので、原因疾患によって起こり方が異なり、症状の現れ方には個人差があります。
失認とは物事が理解が出来なくなることで、失行とは出来ていたことが出来なくなることをいいます。
<判断力の低下>
考えるスピードが遅くなり、自分の考えを纏める情報処理能力が低下します。そのため時間をかければ自分なりに判断できます。本人のペースに合わせてゆっくりと話しかけることが大切です。
また、一度に2つの情報が入ってくると混乱するので、まずは一つのことを伝えて、それができたら次のことを行ってもらうのが望ましいです。
以前は周辺症状と言われていた症状のことです。
Behavioral(行動)and Psychological(心理的な)Symptoms(症状)of Dementia(認知症)の頭文字をとったものです。
中核症状は脳の神経細胞の死滅に基づく症状で必ず出現します。そして時間とともに進行していきます。
一方、BPSDは中核症状があるために生ずる心理的ストレスに基づく症状で、必ず発症するものではありません。周囲の対応や環境によって、良くなったり悪くなったりします。不安やストレスが多いほど、BPSDが現れやすいと考えられます。周りの環境が本人とうまくかみ合わなかったり、身体の不調があってもBPSDが現れやすくなります。
家族や友人、介護ヘルパーなども人的環境の1つです。家族の不適切な対応がBPSDを引き起こしてしまうこともあります。
これは、脳血管性認知症の特徴をアルツハイマー型認知症と比較した表です。
脳出血や脳梗塞を起こし、脳神経細胞が損傷を受けると、血管性認知症を起こします。1回の脳出血や脳梗塞によって脳の組織が広い範囲にわたって壊されると、その直後から認知症になることもありますが、多くの場合は脳梗塞を繰り返すうちに、認知機能が段階的に低下して認知症になります。
そのため、多発梗塞性認知症ともいわれます。
血管性認知症では認知機能の障害が全体的に低下することはなく、直前のことは全く思い出せない反面、一般常識や計算力、判断力などの障害は比較的軽いことが多いです。認知障害の進行も段階的で、進行が停止したり、多少の回復を示すこともあります。
このように進行の不安定さが特徴です。
次にレビー小体型認知症について説明して参ります。
レビー小体型認知症は診断が難しく、認知症=記憶障害という固定観念をもつと見落としてしまいます。
特徴は、記憶障害よりも先に幻視やパーキンソ病に似た症状が出現することが多くあります。
典型的な特徴:幻視、妄想、抑うつ症状、睡眠障害など
最後は、前頭側頭葉型認知症です。ピック病は、前頭側頭型認知症の一つで、前頭側頭型認知症の約8割はピック病だといわれています。
前頭側頭型認知症とは、主に前頭葉、側頭葉前方に委縮が見られる認知症ですが、その中でも脳の神経細胞に「Pick球」が見られるものを、ピック病とよぶことが多いです。
アルツハイマーに対しては、進行を遅らせる薬の開発が進んでいますが、ピック病に関しては現在有効な薬はまだ開発されていません。
落ち着きの無さなどの精神症状に対し、対症療法として抗精神病薬を使うこともありますが、症状によっては精神病院への入院も検討していきます。
典型的な特徴:抑制が効かず、本能のままに行動する。言語障害、同じ行動を繰り返す
認知症患者を持つ家族への支援のあり方について説明していきます。在宅に限らず、施設においても認知症の人を支えていくためには家族の協力が不可欠です。
認知症を持つ人と関わりを持つ人の気持ちは「合わせ鏡」の様に同じ様になる事が多いと言われています。
私たちが認知症の人との関わりの中で経験する「負担感」「不快感」「いらつき」「不満」「ストレス」などがそのまま認知症の人に伝わり、
などを利用者自身が抱き、周辺症状へと発展していくのです。
私達は、その周辺症状への対応が上手くいかないと負担感などを感じ、その感情がまた患者に伝わり周辺症状が悪化する悪循環を引き起こします。逆に、笑顔で穏やかに接していけば、認知症の高齢者も安心感を覚え、穏やかに過ごすことが出来るようになっていきます。
このように、認知症を持つ人と接するときの私たちの態度や姿勢もまた認知症を持つ人の行動や感情に大きな影響を与えてしまいます。「認知症」の症状だけに囚われず、本人が「どんな気持ちで、何に困っているのか?」という事を自分に置き換えて考えてみて下さい。
認知症の方としっかり「対話」をして本人の苦しみや不安に気付くことではじめて、よりよい関わり方をできるようになります。
「親愛なる子供たちへ」という詠み人知らずの詩があります。
これは年老いた親が自分の子供たちに向けて作った詩だと言われています。
読む人を感動させるとても素晴らしい詩なので紹介させて頂きます。
手紙 ~親愛なる子供たちへ~
年老いた私が、ある日今迄の私と違っていたとしても
どうかそのままの私のことを理解してほしい
私が服の上に食べ物をこぼしても、靴ひもを結び忘れても
あなたにいろんなことを教えたように見守ってほしい
あなたと話すとき、同じ話を何度も何度も繰り返しても
その結末をどうかさえぎらずに、うなずいてほしい
あなたにせがまれて、繰り返し読んだ絵本の暖かな結末は
いつも同じでも、私の心を平和にしてくれた
悲しいことではないんだ、消え去っていくように見える
私の心へと励ましのまなざしを向けてほしい 楽しいひと時に
私が思わず下着を
濡らしてしまったり お風呂に入るのを嫌がる時には思い出してほしい
あなたを追い回し、何度も着替えさせたり、様々な理由をつけて
嫌がるあなたとお風呂に入った 懐かしい日のこと
悲しいことではないんだ、旅立ちの前の準備をしている私に 祝福の
祈りをささげてほしいいずれ歯も弱り、飲み込むことさえできなく
なるかもしれない足も衰えて立ち上がることすら、できなくなったなら
あなたが、か弱い足で立ち上がろうと私に助けを求めたように
よろめく私にどうかあなたの手を握らせて欲しい
私の姿を見て悲しんだり、自分が無力だと思わないでほしい
あなたを抱きしめる力がないのを知るのはつらいことだけど
私を理解して支えてくれる心だけを持っていてほしい
きっとそれだけで、それだけで、私には勇気が湧いてくるのです
あなたの人生の始まりに、私がしっかりと付き添ったように
私の人生の終わりに少しだけ付き添って欲しい
あなたが生まれてくれたことで、わたしが受けた多くの喜びと
あなたに対する変わらぬ愛を持って、笑顔で応えたい
私の子供たちへ 愛する子供たちへ
読んでみていかがだったでしょうか?
人は様々な機能が低下して誰かに依存しなければならない状況になったとしても、最後の日まで尊厳をもって暮らし、その生涯を通じて〝人間らしい〟存在で あり続けたいという欲求があります。
そして、人が当然に守られて然るべき尊厳を大切に扱い、接することが認知症ケアの原理原則になります。
皆さんもいつの日か、認知症の方と接するときにそのことを思い出して頂けると 幸いです。
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