2025.02.14

介護保険で自宅をバリアフリーに! 住宅改修の基礎知識から申請方法、注意点まで詳しく解説

介護保険で自宅をバリアフリーに! 住宅改修の基礎知識から申請方法、注意点まで詳しく解説

高齢になって足腰が弱り、住み慣れた自宅でも「廊下や階段に手すりが欲しい」「段差につまづきそうで怖い」「トイレやお風呂が使いにくい」などと、不便を感じることはありませんか? 介護保険には、要介護の高齢者が住み慣れた自宅で安全・快適に暮らせるよう、住宅改修を支援する制度があります。 そこで、介護保険を利用した住宅改修の基礎知識や申請の流れ、改修例、注意点などを解説します。

介護保険を利用した住宅改修

 介護保険を利用した住宅改修は、経済的な負担を軽減できる以外のメリットとして「丁寧さ」が際立っています。

たとえばトイレの手すり1本でも、さまざまな角度から検討が行われます。要介護者の現在の身体状態と今後の変化の予測。トイレの動線では立ち座りだけでなく、入ってから出てくるまでの一連の動作を確認。

さらに介護や医療の専門家の意見を参考に、手すりを使う人の手の位置、高さ、角度などを丁寧に検討し、本人が安全に安心して使えるように取り付けます。

*対象者は?*


居宅で生活している要支援又は要介護認定を受けている方(要支援1~2、要介護1~5)。

また、対象となるのは原則、住民票の住所地となります。万が一、介護保険被保険者証の住所と違っている場合は、介護保険被保険者証の住所地が対象となります。

*費用負担の割合は?*


改修費用のうち、介護保険の負担割合に応じた1~3割を利用者が負担。残りを、申請により給付が受けられます。

*支給限度額:住宅改修費の支給は「1人20万円まで」*


介護保険を使った住宅改修支援は、原則最大20万円までです。(上限を超えた分は全額自己負担)。

また、限度額の20万円は、複数回に分けて利用できます。例えば手すりの取り付けで5万円分を申請した後、残りの15万円分は、必要に応じて別途、申請・利用が可能です。

 
介護保険を利用する住宅改修は「被保険者が、住民票を置いている住居」のみに適用されます。そして被保険者1人につき支援額が20万円に達すれば、原則、終了となります。
ただし、以下のような状況となった場合は再度、必要に応じて20万円まで申請できます。

 ・被保険者が転居した場合(介護保険で「被保険者証の住所地の変更」を伴う、つまり住民票を異動する引っ越し)
 ・以前、改修した時より、要介護度が3段階以上上がった場合

(ポイント)
介護保険の住宅改修は、住宅に対してではなく、被保険者に対して個別に適応されます。
そのため、同居のご夫婦がともに要支援・要介護認定を受けているケースでは、それぞれの身体状態に合わせ各20万円まで、同じ家屋に対する支援申請が可能となります。

 

介護保険が利用できる改修とは

 介護保険での住宅改修は、どんな改修にでも適用されるわけではありません。介護保険を利用して行う住宅改修の種類は、介護保険法で定められていて、以下の6種類の工事が支援対象となります。

①手すりの設置
②段差の解消
③滑りの防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更
④引き戸等への扉の取り換え
⑤洋式便器等への便器の取り換え
⑥その他、①~⑤の住宅改修に付帯して必要となる住宅改修


基本的にどれも、日常生活の支障となる点を解消するための改修です。介護保険の目的である「自立支援」に合致するものとして定められています。

それ以外の工事、例えば壁紙の張り替えや屋根のふき替え、外壁塗装、間取りの変更や増改築などの工事は、介護保険の対象外となります。

介護保険を利用しての住宅改修を検討するなら、対象となる改修かどうか、必ず事前に確認が必要です。



*介護保険の費用支援が適用される住宅改修の例*

【玄関】
・玄関の上がり框(かまち)が高い場合に、手すりを設置したり踏み台を付けることで、安全に出入りできるようにします。


【トイレ】

・便器を和式から洋式に取り換えたり、手すりを取り付けたりすれば、立ち座りによる膝や腰への負担を軽減し、座位やトイレ内での動作を安定させられます。
・トイレの扉が開き戸の場合、車いすや歩行器を使用する人は扉が邪魔で出入りしづらいことがあります。そこで扉の開く方向を変えたり、引き戸に変更します。


【浴室】
・浴室がタイル張りで滑りやすい時、滑り止め機能の付いた床材へ変更したり、滑り止めマットやシートを購入して敷きます。また、浴室の入り口や洗い場、浴室の縁などに手すりを設置すれば、浴室内での歩行や立ち上がり、浴槽の出入り動作を支えられるので転倒を予防できます。
・脱衣所と浴室の床の高さが違っていたり、浴槽が高くてまたぐのが大変な場合には、浴室の床に滑らないスノコを敷くなどして、高さを調整します。

 

 

住宅改修費の支給方法は2通り

 住宅改修の援助費は「償還(しょうかん)」と「受領委任(じゅりょういにん)」、どちらかの方法で支払われます。

・「償還払い」は、被保険者がいったん、住宅改修費の全額を事業者に支払います。その後、介護保険の負担割合に応じた金額(1~3割)を除いた残りの費用分を、自治体から受け取ります。

・「受領委任払い」は、被保険者が介護保険給付分の受領を施工業者に委任。そのうえで「被保険者が施工業者に負担割合に応じた金額を支払い」、「残りの介護保険給付分を、保険者(市区町村)が直接、施工業者に支払い」となる方式です。

最初から自己負担分のみの支払いで済む「受領委任払い」を利用したいなら、「保険者(自治体)へ事前登録している施工事業者」に改修してもらう必要があります。登録の有無は、改修を決める前に必ず確認しておくことが大切です。

また、「受領委任払い」を受けるためには、他に「介護保険料の滞納がないこと」など条件が色々あります。
支給方法についても、大阪市のように給付券方式*)が導入されている地域などもあるため、詳しくはケアマネジャー等の専門家や役所に確認しましょう。

*)大阪市ホームページ 住宅改修費の支給

介護保険を使う住宅改修は、事前申請が必要

 介護保険を利用して住宅改修を行うと、費用の負担を抑えることができますが、住宅改修工事を行う前には必ず市区町村へ申請が必要です(要介護認定を受けていない方は、まず要介護認定を受けること)。また、申請にはいくつかのステップがあります。申請から工事まで時間がかかるため、早目に手続きを始めることが大切です。
この際、とくにお伝えしたい注意点は、事前申請せずに改修を行った場合、介護保険を利用できない可能性があることです。介護保険の制度を利用したい場合は、事前の申請を必ず行ってください。

 

*住宅改修の流れ*

①相談

【介護保険サービスを利用していない人】

改修工事の前にまず、介護度認定を受けます。お住まいの市区町村の介護保険担当窓口、もしくは地域包括支援センターに相談しましょう。制度の説明や申請方法を教えてもらえます。

【介護保険サービスを利用している人】

担当のケアマネジャーに相談します。本人、家族、ケアマネジャー、施工事業者、サービス事業者、主治医等と相談しながら、本人の症状や身体状態に合わせた、介護に必要な住宅改修について検討します。

なお、介護保険を利用する住宅改修に関しては、まれに、住宅改修だけを目的とした悪質な事業者(たとえば不要なところに手すりを何本も設置し、上限の20万円を使い切ってしまうなど)も、残念ながら存在します。そのため、まずはケアマネジャーや地域包括支援センター、市区町村の福祉窓口などへ希望の改修についてご相談いただくと安心です。

②必要書類の準備

ケアマネジャー等が「住宅改修が必要な理由書」を作成します。また、事業者が工事の見積書などを作成します。

③申請

保険者(市区町村)に必要書類を提出します。内容は支給申請書、住宅改修が必要な理由書、工事見積書、家屋の平面図や立体図、改修前の写真等々です(必要な書類については役所やケアマネジャーへ確認してください)。


④審査・承認

市区町村が申請内容を審査し、介護保険の適用が承認されると自宅へ通知が届きます。


⑤住宅改修工事

介護保険の適用が決定したら日程調整のうえ、住宅改修工事が始まります。


⑥利用者負担分の支払い

住宅改修工事完了の後、支払いは以下のようになります。

受領委任払い・・・費用の1割~3割(負担割合によって違う)を事業者へ支払い

償還払い・・・事業者にいったん、自費で全額支払い

⑦費用の請求

住宅改修完了後の状態を確認できる、書類や領収書などの資料を、市区町村へ提出します。

⑧審査・支給

改修前と工事後の申請書類が審査され、支給が決定したら、以下の流れになります。

受領委任払い…残りの住宅改修費が、市区町村より施工事業者へ渡される

償還払い…支払った工事費(全額)から、自己負担分を差し引いた金額を、市町村より受け取る

 

以上の情報を参考に、住宅改修で介護保険制度を上手に活用していただければ幸いです。

住み慣れた家で安心・快適な生活を送り続けられるよう、まずはケアマネジャーや地域包括支援センターなどへご相談ください。

 

 


参照】

・厚生労働省:介護保険による住宅改修
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/toukatsu/suishin/dl/07.pdf

・厚生労働省:介 護 保 険 最 新 情 報 「介護保険の給付対象となる福祉用具及び住宅改修の 取扱いについて」の改正について(計22枚)  Vol.1059 令和4年3月31日
https://www.wam.go.jp/gyoseiShiryou-files/documents/2022/0401094229450/ksvol.1059.pdf

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

ケア21の「介護なんでも相談室」は、介護に関するお悩みをお持ちの皆様からのご相談を、簡単な登録のみで無料でお受けします。

コラムトップへ

 

執筆・監修者

管理者

竹本さん

管理者

竹本さん

【経歴】

相談方法

メール、LINEでのご相談は、24時間受け付けています。
電話でのご相談は、平日の9:00~18:00の時間帯で受け付けています。