2025.05.02

自分の「暮らしの選択肢」 ~ インフォーマルサービスの有効活用

自分の「暮らしの選択肢」 ~ インフォーマルサービスの有効活用

超高齢化社会とされる今、「自分らしい生活」を望む高齢者は増えています。介護保険制度は、そんな思いを支える大きな要(かなめ)ですが、生活の中では介護保険サービスに含まれない「日常のちょっとした困りごと」や、「自分らしくいるためのお手伝い」を必要とする場合もあります。ここではそのような、介護保険サービス以外の手助け、「インフォーマルサービス」の活用方法についてご紹介します。

インフォーマルサービスとは?

 

 一般的に、介護保険サービスなどの公的支援を「フォーマルサービス」、それ以外のサービスを「インフォーマルサービス」と呼び分けることができます。インフォーマルサービスには、主に家族、親戚、隣人やボランティア、NPOなど、家族や地域の助け合いのほか、専門業者による「自費サービス」なども含まれています。

 

介護保険サービスは在宅生活を支える基本的なサポートとなりますが、受けられる支援が内容・時間とも限定されていて、原則、「日常生活の範囲を超えたサービス」「本人以外への援助」「本人ができること」については支援を行えません。

例えば、換気扇やエアコンのクリーニング、ペットのお世話、庭木の水やりなど、利用者にとっては大切であっても、介護保険サービスでは支援できないことがいくつもあります。

 

そうした点を埋められるともいえる介護保険外のインフォーマルサービスは、上手に使えば利用者の希望に合わせた生活支援から趣味活動のサポートまで、幅広く日常生活を支えてくれます。

 

【家族以外のインフォーマルサービス】

 ケアプランでは、家族による支援や介護もインフォーマルサービスとして計画されますが、家族・親族以外の支援やサービスはいろいろあります。

 

(例)

*地域住民やボランティアによる支援

地域の自治会や老人会有志、公民館や社会福祉協議会などからのボランティアが、高齢者の見守り、話し相手、簡単な家事手伝い、外出の付き添い、ゴミ出しなどの活動を行います。地域の助け合いが基盤となっていることが多いため、費用負担も実費・交通費のみであったり、低価格であることが多いようです。

 

*地域のサロン・交流スペース

認知症カフェやふれあい食堂、100歳体操教室などでは、高齢者が気軽に集まり、趣味活動を楽しんだり交流したりする場が用意されています。

 

*家族会・当事者会

同じ病気や障がいのある当事者同士や、介護の悩みを抱える家族が、情報交換やコミュニケーションをする集まりです。NPO法人などが主催したりします。

 

【自費サービス】

外部の事業者が行う家事系のサービスを利用することは、必要な支援を希望に合わせ、好きなように選択できる点で、主体的かつ自由なサービスと言えます。

 

(例)

*家事代行サービス 

掃除、洗濯、料理、買い物など、日常生活の家事をプロのスタッフが行います。必要な時間だけ依頼が可能です。

 

*訪問介護事業者による自費サービス

介護保険の訪問介護事業所の中には、介護保険外のサービスを自費で提供できる事業所もあります。

入退院の付き添い、ペットの世話、草木の水やり、冠婚葬祭の付き添い、散歩や趣味の外出同行、などです。

ふだんから介護を受けている事業所ならではの安心感があるのが利点です。

 

*見守り・安否確認 

警備保障会社や郵便局、ガス会社、食品配達会社などが、定期的な電話かけや訪問による安否確認を行います。また、センサーや緊急ボタン等による見守り・駆けつけサービスなどで、日常生活の安心と安全を守ります。

 

*なんでもサービス (日常生活の困りごと)

エアコンクリーニング、不用品の処分、家の大掃除(片付け)、家具の配置換え、害虫駆除、水漏れ修理、リフォーム、家電類の交換やメンテナンス等、日常生活のさまざまな困りごとに対して、相談のうえ可能なら対応します。

ただ、ニュースでもときどき報道されるように、便利サービス業の中には良くない業者も含まれるため、依頼前にしっかりとサービス業者の情報を把握してから、連絡する必要があります。

 

*配食サービス 

栄養バランスの取れた食事を自宅まで届けます。同時に見守りサービスを依頼できるところもあります。

 

*訪問理美容サービス

美容師によるカットや毛染め・シャンプーなどを、自宅で受けられます。

 

 活用例 

 カメラが趣味のKさんは、年齢を重ねて遠出をすることがだんだん難しくなり、近頃は近隣の公園などで写真を撮るだけになっていました。しかし、自分の思い出の地の撮影に90歳記念で行きたい、と考え、外出時の付き添い人を探すことにしました。

地域のボランティアに問い合わせたところ条件に合う人が見つかりませんでした。そこでKさんは、自分の健康や身体状態をよく把握している方がやはり安心だろうと考え、利用中の訪問介護事業所へ自費対応を依頼しました。日程調整がうまくいった結果、いつものヘルパーさんに同行してもらえて、撮影を安心して楽しむことができました。

 

 ほかにも、たとえばテレビで見た話題の店に行ってみたい、と、同行サービスを利用される人もいます。

このように一人では不安で、難しそうだとあきらめそうなことも、支援や介助を受けて「できる」に変わることが、たくさんあると思います。

 

また、一人暮らしの高齢者や、遠く離れて暮らすご家族にとって、緊急時の駆けつけ・見守りサービスや、なんでもサービスなどでちょっとした困りごとに対応してもらえることは、日常生活上の安心につながります。

 

インフォーマルサービスの注意点

柔軟で多様な対応が可能なインフォーマルサービスですが、利用には注意が必要です。

 

*費用が全額自己負担 

介護保険サービスと違い、費用は全額、自己負担となります。料金はサービスの内容や頻度やかかる時間に違います。無料や実費のみのところもあれば、1時間3,000円程度から月に数万円程度のサービスもあります。

 

*サービスの確認

介護保険サービスのように介護専門の資格や経験を持つ人が担当するとは限らないため、求める支援の内容について、しっかりと事前に話し合って確認してから利用しましょう。

 

*契約は自己責任

介護保険外のサービスは、ケアマネジャーが間に入ることがほとんどありません。契約やトラブル対応については、利用者や家族で行うのが基本です。

 

このように、介護保険外のインフォーマルサービスの利用は自由度がかなり高い分、当然ながらある程度のリスクや自己選択の責任が伴います。


地域とのつながりや実績があるか、スタッフの資格や教育体制はどうか、料金やサービス内容が明確か、担当者との連絡や話し合いがスムーズか、などの点で注意して、慎重に選ぶことが大切です。


また、いきなり大きな(長時間、単価が高いなどの)支援を依頼するのではなく、まずは簡単なことや短時間サービスで「お試し」的に利用して、お互いの相性やサービスの提供の善し悪しを確かめるのも一つの方法です。

 

 

 

インフォーマルサービスについては、地域の社会資源として、地域包括支援センターや居宅のケアマネジャーからも情報をもらうことができます。
介護保険サービスと併用すれば、より柔軟で質の高い介護生活が期待できるでしょう。

インフォーマルサービスを上手に利用しながら、自分らしい豊かな生活を満喫していただければ幸いです。

 

 


参照:

厚生労働省:ケアマネジメントにおけるインフォーマルサービスの 活用状況に関する調査研究事業 報告書

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000140259.pdf

 

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

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執筆・監修者

管理者

竹本さん

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