2024.06.04

親を施設に入所させることは親不孝? 迷い悩みながら、最善を選ぶために。

親を施設に入所させることは親不孝? 迷い悩みながら、最善を選ぶために。

高齢化社会の進展に伴い、「親の介護をどうするか」について悩む人が増えています。 最近の傾向としては特に、親を在宅で介護することが困難になり、施設入所を検討されることが多いようです。 状況的に他の選択肢がない状態でも、多くの家族にとって、悩ましく難しい決断を迫られる問題について考えます。

1.親の施設入所を考えるタイミング

 一般的に、下記のような状況がきっかけになると考えられます。

・親の一人暮らし、親世帯だけの二人暮らしが難しくなってきた
  (火の不始末、鍵の管理ができない、転倒増えた、食事がとれない、身体や家屋を清潔に保てない等)
・介護者の身体的・精神的負担が限界に達している
・自宅の住環境が、本人の身体状態に適しておらず、住宅改修等での改善も困難
・在宅介護の費用負担が、介護保険の限度額を超えている(高額な介護費用の負担)
・本人が入居を希望している(していた)

 

2.施設入所について子の立場で思い悩む理由

子供が親の施設入所を悩む主な理由は、主に4つほど挙げられます。

・親への罪悪感

「自分を育ててくれた親を、施設に預けることは親不孝なのでは……」と考え、罪悪感を持たれる家族は少なくありません。
特に、親自身の意思を確認するのが難しい場合や、本人が施設入所を拒否しているときには、「子である自分のせいで入所をさせてしまうのだ」と、自分を強く責めてしまいます。

・周囲の理解を得ることの難しさ

 親せきや知人に、「親の面倒をみるのは子供の役目」と非難され、施設入所を反対されることで、さらに罪悪感や自責の念が強くなることがあります。

・在宅介護へのこだわり

「住み慣れた自宅で最後まで過ごさせてあげたい」と在宅での介護に強くこだわりすぎ、かえって現状を冷静に判断する視点が失われる可能性があります。

・経済的負担

 施設入所には、初期費用や月々の費用が必要で、契約時には特に、ある程度の資金が必要です。 

親の資産状況について、事前に話をすることは簡単なことではなく、詳細不明のこともあるでしょう。

それゆえに、将来的にどの程度まで費用の負担が可能かどうかなどの見通しが立たず、経済面で不安が生じてきます。

3.施設入所のメリット・デメリット

 施設入所で気になるのが、そのメリットとデメリットです。

そこで、一般的なメリットとデメリットについて、例をあげてみます。

【メリット】

・介護者の負担が改善される

 介護サービスの利用で家族が自分たちにかかる負担を軽減しているつもりでいても、実際には、気づかない緊張や疲れが溜まっていることがあります。「介護疲れ」で限界を感じていた方は、入所後は、休息をとれるようになるので、自身の健康回復や再就職などの社会復帰が可能になります。

 

・親の安全確保

 食事では、栄養や衛生面に配慮したものが規則的に提供されることで、健康な生活を送ることができます。
また、24時間365日の介護体制をとっている施設であれば、見守りや緊急対応等で、転倒や徘徊のリスクを軽減できます。
あくまでもリスクを減らすだけで、転倒事故が完全に無くなるわけではありませんが、トラブルが発生した際には、適切な対応をしてもらえます。

 

・医療体制が整っている

 施設によっては看護師が常駐し、医師の往診や理学療法士のリハビリを受けることができます。
そうした施設では通院の負担がありません。緊急時の対応も可能なところが多く、医療のケアが必要な方にとっては安心です。
 また、胃ろうや、痰の吸引などに関する医療ケアを受けられる施設もあります。(対応できる医療行為については各施設にご確認ください。)

 

・人とのつながりや刺激がある(寂しくない)

 施設では、介護や医療だけでなく、食堂での食事や、レクリエーションやイベント、リハビリなども提供されます。
これらは日常生活の一部として行われ、他者とのコミュニケーションの機会も増えます。
職員の年齢層も幅広いことが多く、他の世代とのふれあいがあります。

 また、もし何らかの事情でコミュニケーションをとることが難しくても、すぐそばに人の気配があり、会話の流れや人の動きを肌で感じることは、
高齢者にとってよい刺激になるでしょう。。

・今後の生活にかかる費用が分かりやすい

 施設入居には費用がかかり、施設によって金額に違いがあります。
事前にしっかり調べて無理のない費用負担が可能な施設を選ぶ、さらに公的制度なども活用できれば、在宅介護のときより負担が楽になることがあります。

 

【デメリット】

・環境が変化する

 高齢者にとって、住環境や人間関係などが変わることは、ストレスとなることが否めません。
認知機能の低下がある方は、症状が悪化する可能性もあります。
そのようなリスクは、施設に入所するすべての人に共通しているため、施設側でも特に配慮して対応することが多いようです。

 また、事前の体験利用やショートステイの対応をしている施設なら、それらを積極的に利用して、親に少しずつ環境に慣れてもらうことで、リスクを軽減できます。

 

・家族とのつながりの変化

 施設に入所すると、家族と接する時間が減り、関係が希薄になってしまう可能性があります。
1日1回は電話する、定期的に差し入れをするなど、親が寂しくないように工夫する人もいます。

けれども、親の方から、施設に入所してから毎日、一日何回も電話がかかり、かえって疲弊されている方もいる、という話も聞きます。
適度な距離で関係を継続する工夫がお互いに必要と言えます。

 

・経済的な負担について

 本来、施設の費用については、事前にしっかり検討できていれば、デメリットになることはほとんどありません。
けれども入所を急ぐあまり、将来さらに介護が必要になったときの追加費用(要介護度の変更によって施設費用が変わることが多い)や、医療費の負担などをきちんと検討しないで入所した場合は、経済的困窮につながる可能性があります。

 施設に入所するときは、初めから「介護状態が重いときの費用負担」を想定し、将来を含めた予測の費用を確認しておくことが大切です。

4.最善を選ぶために

 

 親の施設入所については最終的に、親の意思を尊重しつつも、上記にあげたさまざまな事柄を踏まえ、ご家族で話し合うことになります。
「親の幸せ」と「子の幸せ」を秤にかけるような思いをされることもあるかもしれません。

「親の幸せ」を考えるための材料になる「親の意思」をできるだけ多く集めるためにも、早くから「もしも」のときの話を、親としておくことが大切です。

親にとっても、「入所をするかしないか」と迫られる状況で意見を問われると、嫌と言いづらかったり、逆に「絶対に嫌」と意地を張ったような返答にもなりやすいと思いますが、
一般的な話として語り合えれば、気軽に本音も言いやすくなります。

「将来は、自宅でずっと過ごしたい」との言葉も、もしもの話であれば、「それでも、もしどうしても家で過ごせなくなったら、どんなところがいい?」「こんなところは嫌、とか希望はある?」などと、一歩踏み込んだ形に持っていきやすいのではないでしょうか。

 

 そしてできれば、入所施設についても、「後学のため」「社会勉強で」などうまく理由をみつけて、早いうちから親子で数か所、見学してみることをお勧めします。
施設選びでは、施設側の説明だけでなく、職員の対応、入居者の様子を肌で感じてみましょう。
たとえば食事の様子や、職員、入居者のやり取りの様子。施設の雰囲気を知ることが重要です。
施設見学後、親に感想を聞くことで「どんな施設を希望しているのか」も分かります。

 施設に入所することをマイナスにとらえるのではなく、親と家族みんなにとっての幸せの在り方を、前向きに考えていただければと思います。

 

 

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最後までお読みいただきありがとうございました。


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執筆・監修者

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竹本さん

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