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2025.01.10
冬の介護:高齢者を守るために、知っておきたいリスクと対策
高齢者にとって冬は、体調管理に注意が必要な季節です。 高齢のご家族がいると「寒さで体調を崩さないかな」「ヒートショックが……」など、心配することがたくさんあるのではないでしょうか。 今回は冬の高齢者の生活で、気になるリスクと対策についてご紹介します。
冬になると日照時間が短くなるうえ、気温の低下や空気の乾燥など、さまざまな環境の変化が起こります。
これらの変化が高齢者の身体へときに影響を及ぼし、思わぬリスクを引き起こすことがあります。
【体温調節機能の低下による低体温症】
高齢の親の家を訪ねた際「ちょっと寒くない?」と感じる方は多いのではないでしょうか。エアコンの使用を嫌う高齢者は多いようで、夏の冷房や冬の暖房を控える傾向にあります。
人の身体は、体外で感じる温度に応じて体温を調節し、ある程度まで自動的に一定に保つ機能を持っています。脳の指令によって体内で熱をつくったり汗をかいたりする、自律機能と呼ばれるものです。
高齢になると、筋肉量の低下、運動不足、血管の収縮力の低下などからこの機能が徐々に低下します。そのため、寒さを感じにくくなったり、寒さを感じても身体を温めにくくなるのです。
その状態で気温の低い中、温度調節や防寒対策を十分にせず長時間過ごすと、知らないうちに低体温症*1)になる可能性もあります。
*1)低体温症とは、身体の深部が35℃未満に低下した状態のことをいい、意識が朦朧とする、最悪の場合は命に関わることもあります。
【血圧の急激な変化】
寒くなると血管が収縮し、血圧が上がりやすくなります。また、屋内でも、寒暖差がある部屋の間を移動すると血圧が上下に変動します。
なかでも、高血圧や心臓の持病がある高齢者には、血圧の急激な変化がかなりの負担となります。心筋梗塞や脳卒中などを引き起こす危険もあるので、室温と体温の調整・調節には注意が必要です。
【免疫力の低下による感染症へのリスク】
冬は、インフルエンザやノロウィルスなどの感染症が流行する季節でもあります。加齢による免疫力の低下は感染症リスクを高め、また重症化も引き起こしやすい状態と言えます。感染リスクを下げるためのうがい・手洗い以外に、流行の時期に合わせた予防接種を受けることなども検討しましょう。
【冬の乾燥の身体への影響】
空気が乾燥すると、肌だけでなく鼻や喉の粘膜も乾きます。粘膜には細菌やウィルスなどの侵入を防ぐ役割がありますが、乾燥でバリア機能が低下すると、感染症にかかりやすくなるとされます。部屋の湿度を保ったり、マスクなどをつけて乾燥をできるだけ防ぎ、鼻とのどの湿度を保つことが大切です。
【転倒・骨折のリスク】
外気温が低くなると路面が凍結し、足元が滑りやすくなるため転倒リスクが高まります。早朝や日陰の時間帯に霜が降りたり薄氷が張る場所もあるので注意しましょう。高齢者の転倒は、骨折や大きな事故につながりかねません。歩行を助けてくれる誰かと一緒に出掛けるなどの工夫が必要です。
冬の暮らしを安全・快適にするため、生活環境を整えることは大切です。以下に具体的な対策をご紹介します。
【快適な温度を保つ】
室温は少なくとも、WHOが推奨する18℃以上を目安に保ちましょう。とくに寝室やトイレ、脱衣所など、温度差が大きくなりやすい場所には、積極的に暖房器具を利用します。トイレや廊下、脱衣所などで「人感センサー」付きの暖房器具を使うのも便利です。
【乾燥対策:加湿が重要】
暖房は室内を乾燥させるので、加湿器などで湿度を40~60%に保つよう心がけましょう。洗濯物を室内干ししたり、濡らしたバスタオルを干すことでも加湿効果が期待できます。また、100円均一ショップなどでは、ペーパー式加湿器等の簡易加湿グッズも売っています。
【暖房器具は安全に:火災や低温やけどに注意】
ストーブやヒーターなどは狭い範囲をすぐに暖められますが、火災には気をつける必要があります。
加湿対策も兼ねて洗濯物を室内干しするなら、必ず暖房器具から離れた場所に干す、電気器具のコンセント付近にほこりを溜めない、余った配線を束ねない(過熱で発火のおそれあり)、などの配慮が大事です。
また、就寝時に電気毛布や湯たんぽを使う方は、低温やけどのリスクにも注意しましょう。
【定期的な換気での空気の入れ替え】
部屋の換気は、暖房による空気の汚れを解消するとともに、感染症の予防対策にもなります。窓を開けて空気を入れ替える際は室温が下がりすぎないよう、短時間でこまめに入れ替えましょう。
【整理整頓で転倒防止】
足元暖房のマットやホットカーペットを使用するなら、へりやコードなどにつまずいて転倒しないよう、床の整理・整頓をしましょう。冬は身体の動きも固くなりがちでとっさの反応がしづらく、転倒リスクが高まります。
生活環境以外にも、日常で「ひと手間」を加えることで、冬の安心生活につながります。
ポイント① 入浴:ヒートショック対策を万全に
冬の生活でもっとも用心したいのが、入浴時のヒートショックです。入浴前後に通る部屋や廊下、脱衣所、浴室を先に暖めておき、できれば温度差を5℃以内にすることを目指します。
また、湯船へ入る前に必ずかけ湯をして、身体を湯温に慣らします。浴槽内の湯温は41℃以下、つかるのも10分程度が目安です。血圧が下がりやすくなる長湯は避けましょう。
ポイント② 睡眠:布団の中は温かくして保温
就寝時は毛布や布団を上手に重ね、湯たんぽや電気毛布などで事前に内側を温めておくのがおすすめです。
ただし低温やけどへの予防策として、湯たんぽや電気こたつは皮膚に直接当たらないよう使いましょう。電気毛布は肌の乾燥の原因にもなるため、就寝時には消すか、タイマーを利用して長時間使用しないほうが安心です。
また、就寝の少し前に温かい飲み物(白湯がおすすめ)をとり、体内温度を上げるのも効果的です。
ポイント③ 体温調節:厚着でなく重ね着を
室温を適温に保ち、吸湿性や保湿性が高い素材の肌着を着て、着脱しやすい上着を重ね着すると、細かな体温調節が可能です。外出時には手袋、マフラー、帽子などでしっかり防寒して、とくに首回り・手首・足首の「3つの首」を冷やさないことが大切です。
ポイント④ こまめな水分補給:乾燥予防
冬は汗をかく機会が減るため、水分補給を忘れがちです。冬の乾燥や暖房でも身体の水分が減少するので、こまめな水分補給で脱水症を予防しましょう。できれば冷たい飲み物でなく、常温か温かいものを飲むように心がけましょう。
ポイント⑤ バランスの良い食事で栄養補給
寒い時期には、身体を温める根菜類、免疫力アップに役立つビタミンCを多く含む野菜類、身体の基礎をつくるタンパク質を多く含む食品などを、積極的に摂りましょう。バランスの取れた食事は冬の健康維持に必須です。
ポイント⑥ 適度な運動:身体の中から温める
寒いとどうしても家に閉じこもりがちですが、室内でできる軽い体操やストレッチなど、運動で身体を動かすと、体温を上げる効果が期待できます。
また、天気の良い日に20分ほど日光浴すればビタミンDが生成されやすく、高齢者の健康に効果があるとされます。
ポイント⑦ 安否確認:定期的な見守り
一人暮らしの高齢者の場合、定期的な訪問や安否確認が大切となります。
暑い夏や寒い冬には、廊下等での転倒が熱中症や低体温症につながる可能性もあるからです。
玄関、廊下、寝室の出入り口などへ見守り用カメラなどを設置できれば、万が一への備えとなります(ただし設置前に、ご本人のプライバシーへの配慮や承諾が必要です)。
また、緊急時には様子を見に行ってもらえるよう、近所の方へお願いできる関係を構築しておいたり、介護保険範囲内のサービス、民間の緊急対応サービスなどに申し込んで体制を整えておけば、さらに安心です。
同居の場合でも、朝のあいさつや入浴前後の声掛けなどを習慣づければ異変に気付きやすく、早めに対応できるため大事に至るリスクを下げられます。
これまで述べてきたように、冬には高齢者のさまざまなリスクが高まります。しかし日ごろから高齢者の生活に注意を向け、適切な事前準備や対策をすれば、冬ならではのぬくもりを味わいながら快適に過ごせる季節でもあります。
ご紹介したポイントを参考に、安全な環境で暖かい冬を過ごしていただければ幸いです。
参照
【低体温症】 MSDマニュアル 家庭版: 低体温症 - 25. 外傷と中毒 - MSDマニュアル家庭版
厚生労働省:冬を快適に過ごすためのヒント
https://e-kennet.mhlw.go.jp/wp/wp-content/themes/targis_mhlw/pdf/leaf-temperature.pdf?1735689600042
独立行政法人 国民生活センター:低温やけどにご用心 見た目より重症の場合も
https://www.kokusen.go.jp/mimamori/pdf/shinsen241.pdf
国立環境研究所/環境儀 No.79紫外線モニタリングデータを活用し、適切な日光浴で健康に
https://www.nies.go.jp/kanko/kankyogi/79/04-09.html
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